拒食症について学べる映画5選
摂食障害には食に関する様々な障害が含まれます。その心理学的背景は様々で、タイプにより異なります。例えば自尊心、不安、ボディイメージなどの背景は、誰もが思い浮かべることができるでしょう。
拒食症や過食症はよく知られた摂食障害ですが、他にもタイプはあります。思春期に発症することが多く、すぐに治るものではありません。また、摂食障害は一般的に女性が多いですが、治療を求める男性も増えてきています。
摂食障害は様々な健康障害につながります。さらに他の障害や病気を伴うことも多々あります。また、心理的影響には次のような症状があります。
- うつ
- 不安
- 人格障害
身体的影響には、次のような症状があります。
- 心拍の低下
- 頭部やその他の部位の毛髪の減少
- 乾燥肌
- 脱水
- 疲労
摂食障害の原因は?
原因は様々ありますが、人により異なります。(人それぞれですが)一般的に、自尊心の低い人、家族や友達関係において問題に対し自分に多くを求めすぎてしまう完全主義の人がなりやすい傾向にあります。多くの場合、要因はひとつではなく複数あります。
これらの障害は昔からあり、様々な形で現れます。過去数十年で患者の数は増えています。その理由を明確に指摘するのは難しいものですが、ファッションや厳格な体型スタンダードが理由になっていると考えられます。
摂食障害に対する映画の影響
女性の細身の美のスタンダードにより、健康でいることが阻害され始めたのは最近のことではありません。メディアにより強く促され、多くの人が非常にやせていることが普通だと考えるようになっています。
ここでの問題は、メディアがほとんどの人に現実を示していないことです。私達はそれぞれ異なるにもかかわらず、非常に細身であることを標準とすることは、社会に深刻な問題につながる恐れがあります。
そこで、映画やメディアが意識を向けることが重要です。現実のイメージをゆがめるマジックミラーのような示し方をするのをやめる必要があるのです。また、宣伝により、このような体型が理想的で、求められる、普通であるとされているのはよくありません。
有名なハリウッドスターの体のイメージを想像してみてください。彼らは私達のようだと思いますか? 私達と同じような生活を送っているでしょうか?
有名人とメディア
映画を現実の公正な表現とみることは難しいものです。優勢な美のスタンダードから外れている俳優はどれほど少ないでしょう。登場人物、俳優、モデルを理想化し、私達は彼らのようになりたいと思うようになります。
しかし、特に若い女子にとってこれは大変危険です。拒食症や過食症を患った経験があると告白した有名人がたくさんいることも驚くべきことではありません。アレグラ・ヴェルサーチ、メアリー=ケイト・オルセン、ビクトリア・ベッカム、レディーガガ、エルトン・ジョンなど挙げればきりがありません。
また、太った有名人に対する批判の記事を見ることはよくあります。数年前、クリスティーナ・アギレラがダイエットをやめた時のことを覚えていますか? 数キロ太っただけで、メディアは彼女を非難しました。
有名人が太ったり痩せたりすると、批判やコメントがやむことはありません。残念ですが、才能よりもイメージのほうが重要になっているようです。
「完璧は磨かれたエラーの集合体だ」
-マリオ・ベネデッティ-
拒食症が描かれた映画
映画で現実を反映したいのであれば、現実を表象する俳優を探す必要があります。理想化された体ではなく、平均的な人間の体をもつ人が必要です。では、拒食症の映画を作ろうとする時、どうしたらいいでしょうか?
映画で示そうとすると、いくつか問題が生じ、実際にその例はあまり多くありません。あまり良くない例もいくつもあります。映画に拒食症や過食症の登場人物は出てきても、その登場人物はあまり深く掘り下げられていません。実際にどのようなものであるか本当に示そうとする映画は少ないのです。
この種の病気は人により異なるため、これを表そうとするのは簡単ではありません。さらに、役を演じるには俳優が実際に体重を落とさなければならず、これは健康的ではありません。そのためこのような映画は多くはありませんが、うまく表現されている作品を5つご紹介します。今後この問題にもっと意識が向けられることを願います。
1.Primo Amore
これは2004年のイタリア映画です。この映画は、拒食症を別の視点からとらえます。非常にやせた女性を好きな男性ヴィットリオは完全を求める男性です。そして、非常にやせた女性という彼の欲求をみたす人を探します。
映画が始まると間もなく、ヴィットリオはソニアと出会います。ソニアは彼が求めるほどやせてはいませんが、2人は恋に落ち、付き合います。そして、ソニアは彼への思いからやせようとしますが、その後悲惨な事態に陥ります。
この映画は、別の視点からあなたを拒食症の世界に導きます。単に拒食症に関する映画なのではなく、体の種別を理想化する過程についても映し出されています。
2.17歳のカルテ
ウィノナ・ライダ―主演の1999年の映画です。映画自体は、摂食障害に焦点を絞った作品ではありません。非常に不安定で、初期症状が現れやすい時期であるティーンエージャーに関する様々な障害が登場します。
その中に、拒食症や過食症を患う人物がいます。特に目立つのは若い女性デイジーで過食症を患っており、性的虐待の被害者でもあります。
3.Malos hábitos (悪い習慣)
2005年のメキシコ映画で、様々な摂食障害を呈する小さな家族の話です。映画全体に、最近の美のスタンダードに対する厳しい批評がみられます。一例をあげると、ティーンエージャーの子を持つ母親は太った娘を恥ずかしく感じています。
4.Thin
これは正確には映画ではなく、少なくともフィクションではありません。ドキュメンタリーですが、ここで紹介すべき作品です。イメージへの社会の執着や拒食症に関し深く掘り下げています。私達自身が美のスタンダードを促進していることを考え直させられる作品です。
5.心のカルテ
2017年サンダンス映画祭に出品され、ネットフリックスが配信している映画です。深刻な話題をきれいに見せているという批評もあり、物議をかもしています。しかし、目的を達成したと評価する人もいます。
拒食症の女性エレンを通し、それを克服するための厳しい闘いと、その闘いが望んでいるほど効果が出ないものであることを学ぶことができます。
ちなみに、エレンを演じた女優リリー・コリンズは後に拒食症であったことを告白しました。すでに治っていたのですが、映画に向けて体重を落とした時には、非常に細い体を皆にほめられたと言っています。
繰り返すようですが、美のスタンダードを標準化することは非常に危険です。女性の理想的なイメージに彼女がはまったために、やせたことを人々は称賛したのです。
『ある日家を出ると、母親くらいの歳の昔からの知り合いに会った。彼女は私を見て、「まあ!見違えるようね!」と言った。私が役のために体重を落としたことを説明すると、「そうじゃなくて !どうやって痩せたのか教えてよ!ほんとにきれい!」と彼女は言った。私は母親と車に乗り言った「これだから、この問題はなくならないのよね」』
-リリー・コリンズ-