マネジメントにおけるマクレランドの欲求理論

2019年4月7日
マクレランドの欲求理論は、業績や力、付き合いを求める欲求がどのように人の行動に影響するかを説明するものです。

マクレランドの欲求理論は、業績や力、付き合いを求める欲求が、マネジメントにおいてどのように人の行動に影響するかを説明するのを試みた動機付けモデルです。

1940年代初頭、アブラハム・マズローという人物が独自の欲求理論を提唱しました。この理論では、生理的欲求、安全欲求、所属欲求、承認欲求、自己実現欲求という人間の基本欲求を説きました。

20年後、デイビッド・マクレランドが「The Achieving Society(成功する社会)」という本を出版しました。この本の中で、マクレランドは、私達はみな、達成動機(欲求)、権力動機(欲求)、親和動機(欲求)の3つの動機を持っているという考えを提唱しました。事実、どの動機が強いか応じて、人は様々な特性を持っています。

マクレランドの欲求理論によると、こうした動機は学習されるものだと言います。これが、この理論が時に「学習欲求の理論」とも呼ばれる理由です。

優位動機

マクレランド曰く、性別や文化、年齢に関係なく、私達には3つの動機があり、そのうちの1つが一番強くはたらいています。この優位動機は、私達の人生経験によるところが大きいものです。

両手を広げる人

マクレランドの提唱する3つの優位動機とは以下の通りです。

マクレランドの理論欲求の利用法

マネジメントの観点からすると、マクレランドの欲求理論は、チームのメンバーの主な動機を認識するのに役立つため、決断やフィードバックを行う過程、インセンティブや報酬に影響します。これらの動機は、各メンバーの特性に合った仕事を与えることに利用することもできます。そうすれば、成果を上げることにもつながります。

達成動機(欲求)

達成動機は、やることなすこと全てにおいて秀でたい時の欲求です。人を仕事へと突き動かす欲求であり、また、達成したい結果へと奮い立たせる欲求です。この欲求が強い人は秀でたいという思いがあるため、特に以下のようなことは避けましょう。

  • 低リスク、または低報酬
  • 難しすぎる状況、あるいは高リスクな状況

達成動機が強い人は、一般的に、難しい目標を設定し、それを達成したいという強い欲求があります。そのため、明確で特定された結果を得ることに集中できる環境で働くことを好み、自分の仕事に対して常にどんなフィードバックも受け入れます。

業績で心が動く人は、目標を達成するために計算を必要とする業務を行い、リスクが高い状況も低い状況も回避する傾向にあります。また、一人で作業をするのが好きなことが多いです。そして、職場での業績に主に応じた階層構造がいいものだと信じています。

また、フィードバックについては、バランスの取れた公正な評価を好みます。自分のしていることで何が良くて、何が間違っているのかを知って、改善につなげたいと思っています。

親和動機(欲求)

親和動機は、他人や特定の人達と人間関係や社会的関係を持ちたいという欲求です。この欲求に動機付けされる人は、常にフレンドリーで関係が長続きしそうなグループの中で働きたいと思っています。また、他人に愛されていると感じる必要性があります。競争するにも他人と協力して行うのが好きで、通常、リスクが高い状況や不確かな状況を避けることを好みます。

この欲求に動機が左右される人は、自分のグループに対して所属意識を得られた時に満足します。自分の時間を社交関係を維持するのに費やすことが好きで、愛され、受け入れられたいという欲求を持っています

また、職場における社会的ルールに従う傾向にあり、通常、拒否される恐れからそうしたルールを変えようとはしません。競争するよりも協力することを好みます。そして、カスタマーサービスなどの他人と接する役職で力を発揮します。

また、私的で個人的なフィードバックをもらうのが大好きです。また、この欲求が強い人にとって、自分が相手と築いてきた信用を相手に認めてもらえることが非常に重要になります。更に、こうした人は目立ちたくないことが多いことを頭に入れておきましょう。そのため、個別に話をするのが得策です。

手を取り合うメンバー

権力動機(欲求)

権力動機は、全てが自分のコントロール下にあることを望み、他人に対して権力を持ち、自分の欲求や願望に応じて人の意見を変えたり、それらに影響力を持つことを求める欲求です。自尊心や評価を良くする欲求によって強く動かされます。この欲求が強い人は、他人の視点やアイデアよりも自分の視点やアイデアを受け入れてもらうこと、導入してもらうことを望みます。また、こうした人は強力なリーダーとなる傾向にあります。

権力動機には2種類の欲求があります。

  • 私的権力欲求
  • 組織的権力欲求

私的権力欲求があると、他人をコントロールしたいという思いが生まれます。組織的欲求があると、リーダーシップを取る必要性を感じ、共通の目標を達成するためにチームに協力を求めます。

いずれにしても、競争が彼らをやる気にし、口論で勝つことを楽しみとしています。彼らにとってステータスや承認、また「勝ち組」のリーダーであることが大事なことです。自制心が大変強く、同僚にも自分と同等の自制心を求めます。

この欲求に動機付けされる人には、直球のフィードバックをしなければいけません。加えて、こうした人達の職業面での目標や抱負を達成するのに会社が援助してあげると、成果が上がります。

比較対照となる理論

マクレランドの理論と似たものに、デビッド・シロタの「三要因理論」というものがあります。この理論は、平等・公平感、達成感、連帯感を3つの動機として提唱しています。

シロタによると、人はみな、新しい仕事を始める時は情熱があり、よい仕事をしようというやる気があります。ですが、時と共に、粗悪な会社のポリシーやその他の状況が労働者のやる気を喪失させると言います。ですが、マクレランドの理論は、動機が労働者にとって実に重要なものであると主張しています。

  • McClelland, D. C. (1961). The Achieving Society. New York: Van Nostrand Reinhold
  • McClelland, D. C. (1975). Power: The inner experience. New York: Irvington