メンタルヘルスの問題への対策法はどう進化してきたか

メンタルヘルスの問題への対策法はどう進化してきたか
Adriana Díez

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Adriana Díez.

最後の更新: 21 12月, 2022

テクノロジーの進歩や科学上の新発見によって私たちの生活が楽になってきたのと同じように、心理学も過去のものと比べて変わってきています。その進歩が現れているのが、メンタルヘルスの問題への対応方法です

メンタルヘルスと第一世代の治療法

初期段階の心理学において始まったのが、現在私たちが第一世代の行動療法と読んでいる治療法です。この精神療法は、学習と忘却、そして行動と反応のメカニズムについて考えるものでした。基本的には、刺激とその刺激をどのように経験するように学んだかによって、その人の反応が決まるというものです。

そして、これを繰り返すことによってますますその反応は強くなり、頻度も上がります。素早く報酬が得られる行動ならどんなものでも学習でき、それに対する反応行動も高まります。一方で、報酬が得られないと分かればその反応は消えますし、もしその行動に対して罰則が設けられればもっと早い段階で反応は無くなります。

第一世代の療法により、最も基本的な学習メカニズムである条件付けというものを理解することができます。そして、この考え方を元に大いに発展した心理学の分野の一つが、教育心理学でした。

それらのアイディアの中には、報酬と罰則に基づいた教育モデルが見られます。また、私たちがある種の刺激との間にかなり強い繋がりを持ってしまう理由を解明するのにも役立ちました。

手のひらの上の脳

第二世代の認知療法

時がたつにつれて、メンタルヘルスの問題への対応法は進化しました。ここで登場したのが第二世代の認知療法です。では、この第二世代はどんな変化をもたらしたのでしょうか?

人々は、私たちの行動は必ずしも刺激と反応だけに基づいて起こっているわけではない、と気づき始めました。確かにその二つの間に何かが存在していますが、果たしてそれは何なのでしょうか?実はそれは、脳、つまり感情や認知、そして欲望だったのです。つまり、各個人を形成する根本的な要素です。

ですので、第二世代の認知療法においては、私たちの考え方というのがとても重要です。私たちの人間性は、学んできたものから成っていますが、それだけではなく、学んだことから何を得るかも関係しています。第二世代のアイディアというのは、私たちはもはや受動的な存在ではなく能動的なのだ、というものでした。つまり、どんな行動をするかという可能性はどんどん増えているのです。

認知とは、私たちを何とかして世界と直面させるよう導いてくれるものです。つまり、現実は確かに重要なのですが、もっと重要なのは私たちがどうその現実を知覚し、どう解釈するかなのです。これが、第二世代のセラピストたちが人々の態度や感情、偏見などに働きかけるようになった理由です。

人間とは、学習済みの事柄に基づいて反応するだけの機械以上の存在である、という認識が広まったことで、頭脳自体の研究も進みました。私たちの「ブラックボックス」の中で正確には一体何が起こっているのか理解するために、学者たちはかなりの労力を費やしました。人の心身の不調を加速させたり、矛盾した感情を抱かせたりする要因は何なのでしょうか?例えば、ちょっとした幸運な出来事が実は誰かを悲しくさせるのはなぜなのでしょうか?

この人間の行動を理解するための新しい方法は、今日でもまだ私たちが取り組んでいる課題である、測定方法の問題を明らかにしました。ある二つの場所がどれくらい離れているかを理解するのはとても簡単なのに、人間が経験する不安がどの程度のものなのかを正確に解明するのはとても難しいのです。

第三世代の認知行動療法

第二世代の療法は、自己実現を促してくれるものでした。しかし、この進歩があってもなお、良い解決策が見つかっていないメンタルヘルスに関する問題がたくさんあります。そこで登場したのが第三世代の認知行動療法でした。

これらの療法によって、私たちが理解できていなかったのは問題の解決方法ではなく、問題との向き合い方だったことが分かりました。そこで、学者たちはその人の抱える問題を直接解決しようとするのではなく、問題は解決までのプロセスの一部だと位置付けるようになりました。

彼らの目標は、人々が解決策のない(あるいは少なくともすぐには解決できない)問題を抱えながらも、それが生活に支障をきたすことなく暮らせるようにすることでした。この考え方には、近年の療法とだいぶ共通するものがあります。マインドフルネスセラピーや自己受容セラピーなど、いくつかのセラピーは一大ブームを巻き起こしています。

水に打たれる女性

こういったセラピーの問題点は、その効果に対しての科学的な研究をするのが難しいという点です。これはつまり、真剣に第三世代の認知行動療法に取り組む心理学者も存在するものの、詐欺師や無認可の業者も多々いるということを意味します。これが、心理学の中の一部の分野からはこの療法があまりよく思われていない理由です。

今回は、心理学における三つの世代の療法について簡単に概要を見ていきました。行動や思考、そして感情を理解する方法が三つともそれぞれ異なります。これにより、様々な視点から問題に取り組めるようになったのです。

心理学の進歩をいくつか見たことで、人間の思考や行動や感情について、異なる観点を持つことの大切さをきっとご理解いただけたと思います。そして、いくつものアプローチ法が存在することは、心理学者自身にとっても有益なことなのです。それぞれの世代の療法が、学者たちが実戦に取り入れらるような異なるツールを提供してくれています。


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