脳とコンピューターを繋ぐチップ、ニューラリンク

脳にチップを埋め込む、ということに恐怖心を抱く人は多いでしょう。しかし、ニューラリンクは多くの人の生活を良くする将来のインターフェースになると考える人もたくさんいます。人間の脳とコンピューターの結合はもうすぐ実現するかもしれません。
脳とコンピューターを繋ぐチップ、ニューラリンク

最後の更新: 11 1月, 2021

イーロン・マスクは称賛を受け、同時に物議をかもす実業家です。ミダース王あるいはニコラ・テスラ2世(彼の電気自動車の名前から)とも呼ばれています。いずれにせよ、彼は将来のテクノロジーの促進に一躍かっているようです彼の作った最新のコンピューターと脳の繋がりがこれを示しています。それが、ニューラリンクと呼ばれるチップなのです。

このニュースのヘッドラインを読み、多くの人がそのを意味を考えたことでしょう、チップのサイズは硬貨ほどで、努力せずに多くの情報を貯蔵することができます。アプリからダウンロードするだけで、新しい言語を学ぶことができるのです。アイザック・アシモフ、アーサー・C・クラーク、フィリップ K・ディックなどの未来小説に出てくるような話ですよね。

少なくとも現時点で示されているのは、単純な理想です。主に動物で実験が行われており、移植されたチップは、ガートルードという若い子豚を含む豚のグループの脳活動のみを記録しています。

短期的な医学目標は、てんかん発作を抑えたり、脊髄を損傷した人のクオリティオブライフを高めることです

イーロン・マスク ニューラリンク

ニューラリンクについて知っておくべきこと

ニューラリンクの最終目標は、人工知能と完全に同期させることです。イーロン・マスクが脳とコンピューターのインターフェイスに特化したニューロテクノロジーの会社を作った理由がこれです。このような考えは、不安、好奇心、希望、やってみようという複雑な思いと共に恐怖を生み出します。

人間の生命と機械をつなぐという提案は、人類の革命的な変化の兆しです。体、特に脳とテクノロジーの融合だけにとどまりません。倫理や社会的問題のパンドラの箱を開けることを意味するため、このことについて考え始める必要があります。読み進め、もっと詳しく学びましょう!

「テクノロジーは一般的に中立である。家を建てる道具であり、家を壊す道具であるハンマーのようだ。ハンマーは何も気にしない。テクノロジーの良し悪しを決めるのはほとんどの場合人間なのだ。」

-ノーム・チョムスキー-

ニューラリンクとは?

ニューラリンクは4年間開発が進められているテクノロジーの一種です。2019年、マウスの脳に小さなデバイスを埋め込むという研究が行われました。そして、8月28日第二世代ができました。このデバイスは硬貨ほどの大きさで、豚の頭に直接移植されました。

  • デバイス、インターフェイスは直径約8㎜で小さな探り針が付いています。
  • 探り針には人間の髪の毛ほどの細さの柔らかい電極が約3000個付けられています。そして、1000もの神経の活動を観察することが可能です。また、移植は局所麻酔で行われます。実験に用いられたガートルードとその他2匹の豚は、デバイスが埋め込まれていることも(科学的には)気づかずに普通の生活を送っています。
  • この技術はブルートゥース接続も可能で、外的コンピューターと繋ぐことができます。現時点でイーロン・マスクは動物の脳の記録やこの機械が情報をどう収集し、処理するかについてほとんど明らかにしていません
  • ニューラリンク・テクノロジーの次のステップは麻痺、脳の損傷、うつ病など脊椎や神経系の症状を治すことです。

イーロン・マスクは、これらの問題は神経ネットワークの変性によるものだと指摘します。コンピューターにつながった移植可能な神経とのリンクにより、複雑な繋がりを解決することができると言います。

将来の目標:超人的認知

ニューラリンク・テクノロジーの願いの一つに、超人的認知があります。では、超人的認知とは何でしょう?何を意味するのでしょうか?イーロン・マスクが何より求めているのは、人間に仕える機器であり、その反対ではありません。目標は、人工知能が手の届くところにあり、いつでもこれをコントロールできる状態を作ることです

将来、人間の脳は素晴らしいポテンシャルを持ち、何より健全になるかもしれません。記憶やその他の認知機能が保たれ、アルツハイマー、パーキンソン病、その他の神経変性などの病気がなくなるかもしれないのです。

脳とコンピューターをつなぐには時間がかかる

基礎的な機器にも脳とコンピューターの繋がりを利用しているものがあります。例えば、脳波図(EEG)などは、脳波を測ります。同様に、DARPA(国防口頭研究計画局)は外科マイクロチップを作っており、これは麻痺した人が模擬飛行機を操縦することを可能にしています。

ニューラリンクは、コンピューターと脳の情報を継続的に交換することにより、次の段階に進めることを意味します。四肢麻痺の人の歩行を可能にしたり、体の機能を回復させようとしているのです。また、うつ病の人の心の状態を漸進的に良くするために、他のタイプの精神的刺激を与えることも可能になるかもしれません。

このような進歩には時間がかかります。イーロン・マスクはニューラリンクの人体実験を2020年に開始すると発表しています。しかし、インターフェイスの移植はまだ発達段階にあるため、これは叶いません。目標は、これらの介入を行うロボットを最適化することで、速く正確に、局所麻酔で行えるようにすることです。これは1時間もかからず、また、デバイスが見えることはありません。つまり、本人は何も感じないということです。

ニューラリンク

倫理的問題を伴う実現可能な目的

このテクノロジーを担ったイーロン・マスクチームメンバーの一人は「これは全くサイエンスフィクションの世界の話ではない」と発言しています。「いつかは発展し、実践的かつ商業的なものになるだろうが、まだやらなければならないことはたくさんある」と言います。また、倫理あるいは社会的問題も残っています。ニューラリンクは、人の思考やその貯蔵にもアクセス可能なのです

これにより、例えば病気になったり事故にあったりしても、回復することができるかもしれません。しかし、コンピューターに貯蔵された個人的な記憶に他の人がアクセスしたらどうなるでしょう? また、精神的バランスを整えるために、コンピューターがトラウマになるような経験を削除することも可能です。これは違法にはならないでしょうか? また、権利の侵害の問題もあります。

これらは答えを出さなければならない問題で、社会はできる限りこれと向き合うべきです。将来の進歩は目まぐるしく、劇的な変化に備えなければなりません。

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