大人になった子どもを精神的に虐待する親

感情操作、批判、比較などで、大人になった子どもを精神的に虐待する親はたくさんいます。このような見えない行為は、親に依存し続けてしまう大人の健康をおびやかします。
大人になった子どもを精神的に虐待する親

最後の更新: 02 12月, 2020

操作、脅し、言葉の暴力、幼少期の不安を大きくしてしまうような言葉など、大人になった子どもを精神的に虐待する親はたくさんいます。時間の経過したからといって、傷ついた幼少期の愛着が破壊されたり、あるいは修繕されるとは限りません。大人になっても自尊心や幸福感に悪影響を与え続けることもあるのです。

精神的虐待には様々な形があり、誰でも対象になりえます。高齢の親を虐待する子ども、小さな子どもを虐待する親、また、独立した大人でも父親や母親あるいは両親から虐待を受け続けることがあります。

この場合、何ができるでしょうか? 社会福祉事務所やその他問題に関連する組織はありますが、虐待にあっているのが大人の場合、対象にならないようにも見えます。子どもの頃から抱えている問題を解決しようとすることに意味はあるのでしょうか? 精神的虐待の被害者の多くが、状況を変えることは不可能だと思い込んでいます。自分をその状況に置き続け、虐待をする親と接触し続けるのです。

分かっているのは、虐待のある家族にも絆があり、その繋がりが依存、恐怖、愛を大きくしているということです。この愛は危険な愛で、虐待という毒が混ざっています。残念ながらこのような状況は珍しくなく、慢性的になりがちです。

子ども 精神的 虐待

大人になった子どもを精神的に虐待する親

恐怖、操作、恥、脅し、罪悪感の投影、強制、持続的不承認により人をコントロールしたり、支配しようとする行為はすべて精神的虐待です。

このタイプの虐待で身体的な傷は残らないかもしれませんが、精神的完全性に影響が及びます。例えば、子どもの心に与える影響は壊滅的にもなりえます。このような虐待が数十年も続いた時の影響を想像してみてください。自尊心、アイデンティティ、個人的安心などの基本的要素に大きく影響します。

このタイプの虐待は、被害者が大人になってから始まるものではありません。幼少期に始まった行為にルーツがあります。そのため、多くの人が大きな感情の負荷を背負い大人になることも理解できるでしょう。実際、長期間の精神的虐待は、PTSDにもつながります。

また、虐待を受けている人は、すべてがうまくいっているかように振舞うことに優れています。親戚や友人、仲のいい友達でさえも虐待に気づくことはほとんどありません。この状況は隠され、厳重に守られているのです。

敵は親:精神的虐待を普通とする

先ほどお話したように、多くの親が精神的に子どもを虐待しています。まず、なぜこのようなことが起こるのかでしょう。なぜ、人はこのような悲惨な状況を我慢するのでしょうか。虐待をする親とは縁を切った方がいいのではないでしょうか。

これは、言うほどシンプルではありません。虐待者と被害者の関係は複雑です。この悲惨な状況に不安、恐怖、恥、軽蔑の思いがあっても、自分を傷つける人を愛することができます。結局のところ、自分の親だからです。自分以外の親子関係を知らなければ、このような行動も「普通」に見えるのです。

その結果、大人になっても虐待を我慢し、愛、恐怖、愛着、憎悪の間で揺れることになります。子どもが大人になったからと言って、虐待をする親の行動は変わりません。軽蔑、批判、恥、感情操作は、力の行使やコントロールに有効なため、親はこれを使い続けます。

時間がたっても、怪物が天使に変わることはありません。それが人格の一部であるため、親は力関係やコントロールを維持し続けます。

精神的虐待の影響とは?

幼少期に始まる感情や精神の虐待の影響のひとつに心的外傷後ストレス障害(PTSD)があります。ユトレヒト大学とポルトガルにあるコインブラ大学の社会研究により、この関係の意味が明らかになりました。

大人になっても続く精神的虐待には、次の影響がみられる傾向があります。

  • 問題となる満たされない精神的関係
  • 低い自尊心、自分は無駄だと感じる、傷ついたプライド、不安、モチベーションが低いなど
  • 精神的抑圧、感情を隠す傾向
  • 睡不安、ストレス、眠障害など
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抜け出す方法は?

このような状況に希望はないかのように見えますが、虐待の関係から抜け出す方法はあります。まず、虐待を受けている大人が虐待に気づき、それを変えようとすることが必要不可欠です。虐待の関係において依存は珍しくなく、これを実行するのは言うほど簡単ではありません。精神的依存のみでなく経済的依存も関係します。このような状況にある多くの大人が、経済的に自立していないために、親の家を出ることができずにいるのです

そうはいっても、経済的に安定していても虐待の関係を断ち切ることは容易ではありません。虐待者の操作や批判は持続的で、これを断つのは難しいものです。被害者が、この状況はよくないということ、変化の必要性を強く信じることがポイントです。

選択肢は2つあります。虐待する親を完全に切り離す、あるいは、コミュニケーションを大きく減らすかのどちらかです。

このように、虐待をする親を持ち大人になった子どもには、精神的助けが必要です。数十年続いた恥や苦しみは深い傷となっており、これを癒す必要があります。目標は、自尊心、個人の安心を回復し人生を立て直すことで、自律し幸せになれるようにすることなのです。

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  • Dias, A., Sales, L., Mooren, T., Mota-Cardoso, R., & Kleber, R. (2017). Child maltreatment, revictimization and Post-Traumatic Stress Disorder among adults in a community sample. International Journal of Clinical and Health Psychology17(2), 97–106. https://doi.org/10.1016/j.ijchp.2017.03.003