パラドックスの力で人を動かす

· 2017年9月25日

パラドックスは、一般的に正しいとみなされているけれどもそうではない、不思議な考えのことです。そのため、パラドックスは一見お互いが矛盾するような言葉やフレーズなどで成り立っています。パラドックスには多くのタイプがあり、論理、無限、確率、物理、幾何学などを扱ったものがあります。

こうしたパラドックスの多くは、私達が気づいていないところで日常的に存在します。こうしたパラドックスの一つが、モンティ・ホール問題です。この問題を知っていますか?

モンティ・ホール問題

モンティ・ホール問題は、アメリカのテレビ番組であるゲームショーで放映されていた数学的確率の問題です。このコンテストで、参加者は3つの閉まったドアの中から一つだけを選びます。一つのドアの裏には賞品である車が用意されてあり、後のもう二つにはヤギが用意されてあるというものです。

挑戦者がドアを選ぶと、各ドアの裏に何があるかを知っているゲーム番組の司会者が挑戦者が選ばなかったドアの一つを開け、ヤギを見せます。その後、司会者は挑戦者が初めに選択したドアから別のドアへ変えてもよいという選択権を与えます。

この状況下で、挑戦者には2つの選択肢があります。ドアを変えるか、初めに選んだドアのままでいるかです。挑戦者は初めにした選択を貫くべきでしょうか、それとももう一つのドアを選ぶできでしょうか?そして、違いはあるのでしょうか?

モンティホール問題

確かに違いはあります。少なくとも確率でいうと、初めにした選択を変更することがより良い選択です。一度ヤギがいるドアが開けられると、そのドアはもう考慮に入れる必要はありませんから、このドアの確率はゼロになります。

最初の選択で、挑戦者が車があるドアを選ぶ確率は3分の1なので、選ばれなかった2つのドアのうちの一つに車がある確率は3分の2になります。ゲーム番組の司会者がヤギを見せるためにドアを開けると、そのドアは考慮に入れなくてよいのでその確率はゼロになります。

ゼロになると、この3分の2の確率がまだ閉じている状態の初めに選ばれなかったドアに行きます。ここでよくある間違いは残りの2つのドアには50パーセントずつ同等の確率で車があると考えることです。挑戦者の初めの選択は司会者が後に開けたドアの確率も含むので、これはランダムな出来事ではないのです。

もし挑戦者が一発で車のあるドアを選んだ場合、司会者はもう2つのドアのうちのどちらかを開けることができます。そしてここでもし挑戦者が選択を変えると、車を失ってしまいます。逆に、もし挑戦者が初めにヤギがいるドアを選ぶと、司会者にはヤギがいるもう一つのドアを選ぶしかありません。この場合、残ったドアに車があり、選択を変えることが賞品獲得を意味します。

まとめると、もし車が初めに選んだドアの裏にあるのなら、挑戦者はその選択を変えないことで賞品を獲得できます(そして、これは3分の1の確率です)。しかし、もし初めの選択がヤギがいるドアだった場合、選択を変えることで車を獲得できるのです(そして、これは3分の2の確率です)。つまり、車を獲得する確率を最大限に引き上げたいのであれば挑戦者は選択を変えるべきなのです。

モンティホール問題の確率

パラドックス的思考

パラドックス的思考は明確だと思える物事に対する不条理の説明を含んでいます。この思考によって、人の態度を変えることもできます。もし物事の不条理やメリットのなさを露わにするパラドックスを使ってあなたの信じることがバカにされたとしたら、自分の信じることを変えるまでに疑問を持ち始めるかもしれません。例を見てましょう。

極右に投票する確率が高いことで知られるある小さな町でイスラエルの科学者グループが実験を行いました。同グループは、過激な人達の意見を和らげようとパラドックス的思考を扱ったキャンペーンを行いました。

6週間の間に、科学者達は、その町の住民を地球儀やクリップ、Tシャツなどのグッズ、インターネット上のビデオや告知などを通した宣伝活動や道端に貼ってあるポスターを通してキャンペーンに触れさせました。ポスターやクリップには、「彼なしでは、私達は正義ではいられない・・・正義であるには、おそらく紛争が必要だ」、「英雄にとって、紛争が必要だ」といったアイデアやフレーズが導入されました。町民にとって、ビデオは関連のある画像と共に同様のメッセージが放映されていました。

パラドックスの実験:ポスター

このキャンペーンの後、パレスチナ・イスラエル間の紛争に関する人々の意見を調査するアンケートが行われました。キャンペーンが行われた地域に住む人達のアンケート結果は、キャンペーンが実施されていない地域の住民のものと比較されました。

このアンケートに参加した人達は、これが心理学的実験であることは全く知りませんでした。結果は、どのグループにおいても紛争への視点は同様でしたが、一つのグループに例外があることが分かりました。はじめに極右を支援した人とキャンペーン活動に触れた人は、長期的な紛争を支援する態度が控えめになっている様子が見られたのです。

このパラドックス的思考による介入が右翼参加者の信条や態度に影響を及ぼしたのです。そして彼らは、攻撃的な政治に対して以前より非支持的な態度を示した他、融和的な政治に対してより支持的な態度を示したのです。人々の考えを不条理だと思わせることで、戦争支持欲求は抑えることができるのです。