ポジティブ・リフレーミング:新たな視点で人生を見る

03 11月, 2020
周囲で巻き起こる物事を変化させるのは不可能な場合もありますが、様々な状況をどう解釈し、それにどう対応するかについては私たち自らが選択できます。考え方を改良することでちょうどいいバランスを見つけることに繋がり、苦境に上手く対処できるようになるでしょう。

物事を別の視点から見ることが、困難な状況に対処する能力の向上に繋がる場合があります。このための方法の一つが、ポジティブ・リフレーミングというものです。生活の何らかの側面について考え直してみることで、私たちは日々感じる混乱や苦痛、緊張の度合いを減らすことができます。これは、誰もが用いることのできる非常に有益なテクニックなのです。

ここで認識しておいていただきたいのが、このテクニックを日常生活に取り入れるのは思った以上に簡単な場合が多いということです。私たちは、世界の捉え方や色々なシチュエーションや環境、関係性の評価方法を滅多に変えることがありません。例えば常に機嫌の悪い同僚がいれば、私たちはすぐさまその人物を有害だと決めつけてしまいます。また、例えば命令にばかり縛られている人のことは「あの人は支配欲が強い」、などと噂し始めるでしょう。

私たちがそこで一度立ち止まり、この「有害な」同僚はもしかしたら今困難な時期を経験していて静かに苦しんでいるのかもしれない、と考え直したり、あるいは命令に縛られた人物はもしかしたら私たちが参考にできるような優れた頭脳の持ち主かもしれない、と思い直したりすることはほとんどありません。現実世界にはたくさんの様相がありますが、その中でもネガティブなものばかりに目を向けてしまうと、概して有害な結果しか生まれないのです。

もっと客観的に物事を見て、今までとは違う心優しい観点へと目を開かせることができれば、私たちの生活の質をグッと改善できるかもしれません。

ポジティブ・リフレーミング:新たな視点で人生を見る

ポジティブ・リフレーミングとは?

ポジティブ・リフレーミングは、心理療法で幅広く用いられているテクニックです。これまでとは違ったものの見方ができるように、そして私たちが特定の状況や出来事に付与している意義を変えられるように人々を手助けすることに目標が向けられています。困難な状況に対して自分が抱く観点がフィルターのように働き、あらゆることをぼやけさせて自らの感情や思考、行動を変化させているという事実を理解できるようにする、というのが基本となる考え方です。

ここで一つ例を挙げてみます。例えばあなたの鼻が普通より高かったり、あるいは背がとても低かったり他の人よりかなり痩せているとしましょう。ここで大切なのは、ただ自尊心をケアしたり自分自身を受け入れられるようにすることだけでなく、あらゆるシチュエーションをもっとポジティブな光の下で見るための方法を模索することなのです。パーティーに行ったら皆からジロジロみられてしまうだろう、と考えるのではなく、もっと客観的になって別の事柄に焦点を当てねばなりません。つまり、楽しむこと、誰もがそれぞれ変わった癖を持っているという事実を受け入れること、そしてそれが私たちの個性を作っていることに目を向ける必要があるのです。

自分の見た目に気になるところがあったとしても、本当にそんな理由だけで人と関わる場を避けようと思いますか?もちろん答えは「ノー」のはずです。このようなネガティブな枠組みを通した人生の見方は自分に制限をかけるばかりか、幸福を手にする機会をも奪ってしまいます。多くの人々がこれと同じ精神状態を経験しているということも認識しておかねばなりません。ものの見方は一つしかないと思い込み、その独自のたった一つの観点からのみ物事を考えようとするのは非常に人間的な行為なのです。

問題志向型から目標志向型の考え方へ

物事をもっとポジティブな光の下でリフレームする(別の観点から捉える)ためには、ある非常に具体的なプロセスに従う必要があります。それは、ネガティブ思考から離れ、もっとオープンで建設的かつ希望に溢れた思考態度へ移って行くというプロセスです。これについてもっとよく理解していただけるよう、一つ例を見てみましょう。多発硬化症という病気の診断をたった今受けたばかりの人の気持ちになってみてください。

初めのリアクションは、「もう自分の人生は終わりだ」というものになるでしょう。もう二度と働くことはできず、もう将来は終わったも同然だ、という気持ちになってしまうはずです。

  • 問題志向型の思考態度が採用された場合、この人物は自分の病気が慢性的な変性疾患であることを受け入れます。全ては失われ、これが人生の終わりだという事実を受け入れる以外の選択肢はありません。
  • この治療プロセスにおいて、ポジティブ・リフレーミングは重要な役割を果たします。ここで採用可能なのが、その他の選択肢を見つけるための目標志向型の思考態度です。病気という問題自体にフォーカスするのではなく、具体的な目標に意識を向けるのです。そうすることで希望が生まれ、ネガティブな思考パターンを打ち破るための道が拓けます。
  • このケースで意識を向けるべき目標は、病気への理解を深めること、そしてその進行を遅らせ、生活の質を保ち続けるためにどんなことができるかを学ぶことです。
ポジティブ・リフレーミング:新たな視点で人生を見る

ポジティブ・リフレーミングとは、解決策を見つけるために経験を再考し直すという意味であり、過度の楽観主義とは異なる

ポジティブ・リフレーミングとは、マーティン・セリグマンが1990年代に始めたポジティブ心理学ムーブメントの一部です。ここで、このテクニックは常に人生の明るい面だけを見ようとするものではないということを理解しておかねばなりません。そうではなくこれは、人それぞれが自らのおかれた環境や現実の範囲内で、ある状況に対処する別の方法を考慮したり生活を改善するための手段を探すことの可能性に着目した考え方なのです。

これには、私たちは自分の身に降りかかる出来事を常に思い通りに変えられる訳ではない、と理解するという意味も含まれます。最近深刻な病気の診断を受けた人の場合、その事実を変える方法はありません。しかしながら、ポジティブ・リフレーミングを取り入れることで別のアプローチに目を向けることができ、その試練に立ち向かうための新たな手段を見つけられるのです。

このテクニックは、視点を別の可能性や観点に向けられるよう奨励し、ネガティブで敗北主義者的な思考態度を根絶させることを目指します。これを採用することで新たに生まれ変わったモチベーションの感覚を得ることができ、困難な状況に立ち向かうために身構えておけるようになるはずです。ポジティブ・リフレーミングは心の平穏を取り戻して頭脳を明晰にさせるのに役立ち、様々な状況に対して自身が勝手に付与している意味合いを定義し直すきっかけをももたらしてくれるテクニックなのです。

まとめると、このテクニックを用いることで私たちは思考プロセスを再定義し、再構築できるということです。これは誰もが取り入れて自分のものにすることができる日常的な手段であり、今後待ち受けている困難な日々を乗り越え、前進するための強い味方になってくれます。自分一人で習得するのが難しいと感じる場合は、もちろん専門家に相談していただいて構いません。