精神病理における認知の重要性

02 7月, 2020
認知プロセスは、多くの精神障害で、非常に重要な役を占めています。精神的な苦痛において、注意、記憶、推論などのプロセスが通常とは違う動きをします。

精神病理において認知が重要であることは明らかです。様々な認知的変化により、精神的な問題が出るか否かが決まるからです。

これには、不安、悲しみ、叱責(感情)、不適応行動などが関係します。不安発作、自傷性うつ病の危機や、強迫性障害(OCD)の人に出る儀式のような行動をご存知の人もいるかもしれません。

しかし注意、推論、記憶などのプロセスは、精神障害のタイプにより異なった表出をします。うまく適応できる人々のプロセスとは異なり、この表出は不適応行動のある人の日常生活に影響を及ぼします。しかしだからと言って、精神障害をもつ人全員にこれらが同じように働くというものではありません。

例えば、OCD、全般性不安障害(GAD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の人は、不適切な期待をもちますが、いつもこのような症状があるか、または症状が永遠に続くかはわかりません。

精神病理 認知

精神病理における認知的要因

様々な病理障害で影響を受ける精神的プロセスには、記憶、推論、思考、注意、知覚、感情調整があります

ここでは、幅広い障害を例に挙げお話していきます。そして、病理学における認知的要因の重要性の理解を目指します。

注意力:過剰あるいは欠如

注意力には、病理学における認知の重要性がうまく表れています。精神的プロセスのひとつで、精神障害を持つ人の不適応なパターンがこれに現れます。

また、この不適応パターンは過覚醒と関係します。心の病の症状がある人は、恐怖や心配をあおる刺激により注目する傾向があります。

例えば、社会恐怖症の人は、ネガティブな情報や個人的機能に、より注意を向ける傾向があります。周囲の人は受容していないことが示されるシグナルに対し超警戒するだけでなく、体の感覚(心拍や呼吸の変化など)も過覚醒になります。つまり、自己に注意を向けています。

記憶ゲーム

病理タイプにより、記憶の認知プロセスで何が起こるかが変わります。

  • 選択的記憶:パニック障害、OCD、PTSD、GAD、気分障害、摂食障害の人は、自分の恐怖を有効化する情報を記憶する傾向があります。また、うつ病の人は、家族が自分を理解しない、あるいは支えてくれないという考えをもっており、この考えに反する記憶を消しがちです。
  • 記憶の過剰な般化:自伝的記憶は、特定的あるいは過剰に般化されることがあります。気分障害、摂食障害、PTSDの人は、般化された物事を記憶したり、漠然と物事を記憶し、記憶をゆがめます。
  • 繰り返される記憶:PTSD やパニック障害の人は、トラウマとなる状況に関する、わずらわしく、望まない記憶に悩まされることがよくあります。
  • 記憶を信じる力:OCDの人は、自分の記憶がきちんと機能していると信じることができないと感じます。記憶を信じられなければ、火を消したか、ドアのカギを閉めたかが分かりません。この不確かさが強迫性へとつながります。

推論バイアス

推論におけるバイアスは誰にでもあります。より度合いの激しいバイアスから、精神病理における認知の重要性を学ぶことができます。障害と関係する推論バイアスには様々ありますが、その例を以下にご紹介します。

  • 曖昧な刺激の解釈バイアス:全般性不安障害や気分障害では、曖昧な刺激をネガティブだととらえる傾向があります。体の動きや表情の変化などが刺激になりえます。
  • ネガティブな帰属スタイル:この推論バイアスは、特にうつ様障害で見られます。ネガティブな帰属スタイルとは、内的要因からもたらされるネガティブな物事を意味します。これは安定しており、変化はあまりありません。また、精神異常では、ポジティブな帰属がみられる傾向にあります。例えば、悪いことがあった時、「人」に責任を押し付けます
  • 可能性判断:障害によっては、何か悪いことが起こるのではないかという可能性を過剰に信じる傾向があります。このような人は、ひどいイメージをもつ物事の悪い結果を信じます。これは、恐怖症、OCD、GAD、PTSD、精神異常やうつ様障害で見られがちです。

思考の罠

反芻、侵入、先入観は、精神障害に関連し、強調されたり、激化されやすい要素です。その結果、OCDなどの障害では侵入や繰り返しの思考が増強され、ここから精神病理における認知の重要性が分かります。また、これらが起こりやすくなるのに加え、思考がより激しく強力になります。

うつ病の人には、「自分には価値がない」という考えがあります。また、不安を抱える人は、「私は人にとって大切じゃなくなる」と考えます。一方で、OCDの人は、「自分は汚染される」と考えがちです。一般的に、精神病理のある人はこのような思考を重要視します。そして最終的にこれがその人の現実になるのです。

例えば、思考の抑制はOCDの人にとって特に問題になります。ある物事について、考えない、自分をごまかす、思考を消すなどを意識的に行おうとすると、その反対のことが起こるのです。

精神病理

まとめ:変化の難しさ

精神病理における認知の重要性を学ぶことで、自分で働きかけない限り、変化が非常に難しいことが分かってきます。また、メンタルヘルスの専門家が、OCD患者の治療計画を立てる際には、次を理解する必要があります。

  • すべての裏には認知的要因があり、これにより問題を解決することが難しくなる
  • この認知的障害があるために、治療方法の成功を得ることが難しくなる

ネガティブな帰属スタイルをもっているうつ病患者の場合、ネガティブさとポジティブさの両方をもつルーティンと向き合う時、この体系的ルールを破ることは非常に難しくなります。そのため、専門家の介入が非常に重要です