社会的手抜きとその回避策とは?

2020年5月11日
社会的手抜きとは、グループでタスクに取り組む際に、おそらく気付かないうちに一人で同じタスクを行う時よりも労力をかけなくなってしまう現象を指します。

惰性は、私たちの時間を脅かす敵の一つです。怠惰、仕事への意欲の欠如、あまりにも長い暇な時間…。これに関連して時折、グループで作業をしているとある奇妙な現象が起こります。それは、まとまって動くと個人個人で作業した時より効率が悪くなる、というものです。各人の貢献度合いは、グループになると減少します。この現象が、「社会的手抜き」として知られているものです。

社会的手抜きとは、グループでタスクに取り組む際に、おそらく気付かないうちに一人で同じタスクを行う時よりも労力をかけなくなってしまう現象を指します。グループで作業するという経験により、人々はあまり力を発揮しなくなり、パフォーマンスも低下します。これが起こる原因は、モチベーションの不足、組織や協力体制の不備などです。それでは、もう少し詳しくこれについて見ていきましょう。

「手抜き」の始まり

1880年に、農学者のマックス・リンゲルマンが世界で初めて社会的手抜きを研究しました。リンゲルマンは14人の被験者に荷車を引かせ、それぞれが発揮した力の強さを記録しました。また、同じグループの人々に、一人ずつ荷車を引かせました。その結果、一人で荷車を引いた時の方が全員で一緒に引いた時よりも強い力が出されていることが示されたのです。

リンゲルマンはこの力の弱まりを協調性が無かったためであるとしましたが、のちに行われた研究ではその他の原因も発見されています。被験者に最大限に拍手をして大声で叫ばせるという実験では、グループが大きくなればなるほど各個人の出す音の大きさは減少しました。このことから結論づけられたのは、多くの人が集団に紛れることの方を望む、ということです。

社会的手抜き 回避策

他の人々と同じくらい怠惰に

人々は、集団の中での各個人の貢献度合いが特定出来ない状況では、自らのパフォーマンスが悪くても気にかけません。つまり、全力を出さなくても非難されない場合には、私たちは本来よりも力を抑えてしまう傾向があるということです。しかし、社会的手抜きが影響を受ける要因は、関わっている各人の貢献度合いが特定されるか否かという点のみではありません。

公平さや社会的比較なども関連する要因ですグループの中の一人が手を抜いていると、他の人々も同じように力を入れようとしなくなるのです。一方で、それぞれのパフォーマンスを他のメンバーのものと比較すると、実際に自分が発揮できる以上の力を出さねば、というプレッシャーの感覚が生まれます。

頭脳の惰性

社会的手抜きが起こるのは、体を使った作業が求められるタスクを行う時だけではありません。認知的なタスク、特に思考を要するようなタスクを行う際にもこの現象は発生します。例えば、ブレインストーミング(アイディアを出し合う会議)などです。グループが大きくなればなるほど、各人が提案するアイディアの数は減少するでしょう。肉体を使う作業と同じように、知的労働もそこに公平さや社会的比較による影響が多くあれば手抜きが発生してしまうのです。

社会的手抜きが頻繁に発生する領域は、職場でのチーム内です。チームとして働かなければならない時、私たちは全力を出さなくなることが多く、同じことが他のメンバー全員に当てはまります。しかし、タスクを上手く割り当てられるような人物が協力者として存在していれば、労働者たちが全力を出せることも多いものです。

一人あるいはそれ以上のメンバーが全力を出していれば、他の人たちもそれに続こうとする可能性が高くなります。しかしこれに対して、最小限の力しか出さないという反応を取るメンバーも存在します。

社会的手抜き 回避策

怠け心と戦う重要性

こういった現象に大きな影響を与えるのは、労働者たちが行っているタスクの種類です。社会的手抜きは、タスクが興味深いものであるほど起こりにくくなります。また、独立性が上がれば、その分手抜き度合いも減少します。結果を成功に導くために個人個人のタスクが必要な状況では、成功を勝ち取らねばならないという社会的圧力により、惰性が抑えられるのです

したがって、グループで作業する際に常に社会的手抜きが発生してしまうとは限らないのです。これを回避するための、あるいは少なくとも抑えるための対策がこちらです。

  • 各メンバーの発揮している力を特定できるようにする。
  • タスクを効率的に実行するための積極的な取り組みを増やす
  • 個人の貢献度合い、およびグループ全体の貢献度合いを評価する機会を設ける。

グループで作業しなければならない場合は、メンバー全員が高いモチベーションを持つことが重要です。その条件が整っていないようであれば、少なくともメンバーそれぞれのパフォーマンスを査定し、最終目標の重要性を伝えるという対策を試すことができます。チームでの作業を上手く管理することで、各メンバーが自らの、そして同僚の仕事を高く評価できるようになるのです。