視交叉上核:人間の体内時計
視交叉上核(しこうさじょうかく)は、視床下部の前部に位置しており、二万個ほどのニューロンが存在しています。これは人間の体内時計として機能します。眠りや起床の周期を管理します。主に 網膜を通じて刺激を受け取ります。このため、1日の時間によって人は活発になったりそうでなかったりします。
動物と同じように、人も環境の変化に敏感です。地球と地球の自転によって、光と温度のパターンが決まります。これによって、人間の活動度を条件づけます。そのため、そうは思えないかもしれませんが、人間の代謝は自然と密接に関係しています。
概日リズムは、24時間ごとに繰り返す生理的なリズムです。視交叉上核は、脳の中でも最も面白い部分のひとつです。これは概日リズムを取りなしてくれるからです。特に、この核は制御の中心となり、ニューロンやホルモン関係の動きを引き起こします。休息、エネルギー、体温、空腹などの重要な局面を制御しているのです。
「自然を深く見てみなさい。そうすると、すべてがより良く理解できる。」
-アルベルト・アインシュタイン-
視交叉上核:場所と機能
人間は、実は2つの視交叉上核を持っています。どちらも、各大脳半球に位置しており、 視床下部の近くです。視神経交叉のすぐ上にあります。多くの生理的過程を制御するために、網膜が捉える信号を受け取ります。
ジョセフ・ベンドット医師が行ったような研究は、視交叉上核を脳の中央時計と称しています。この脳の構造が、記憶の作成や学びのような重要な過程に一役買っていることはすでに分かっています。
適切で休息の取れた眠りは、脳やその機能にとって不可欠です。概日リズムの機能不全によって、睡眠障害や記憶喪失を引き起こすこともあります。
視交叉上核の機能
視交叉上核は複雑です。これらが作動させている生理科学的な過程は、複雑かつ正確です。
- この部分は、網膜を通じて環境に関する情報を得ます。
- 網膜には、形や色を見分ける光受容体がたくさんあるだけではありません。これに加えて、色素の一種であるメラノプシンが豊富な網膜神経節細胞を持っています。
- この色素と組織は、直接的に視交叉上核に情報を運びます。のちに、この情報を分析して、上部頸神経節に信号を送ります。これらの信号は、松果体や松果体腺に、メラトニンの生成を開始したり阻害したりするように指示を出します。
- 夜、メラトニンの分泌が高まります。特に、これによって活動レベルが低くなり、眠気を誘います。
視交叉上核は体の親時計
数十年前から、キイロショウジョウバエのお陰でこの構造に関してより多くの情報を発見するに至っています。この昆虫の研究によって、生物学と遺伝の原理において貴重な情報を得ました。
今日、視交叉上核のお陰で概日リズムを維持することができていることが分っています。他の概日リズムを調整して同期させることでこれを可能にしています。体も脳も、無数にあるプロセスやふるまいを管理するためのたくさんのメカニズムを持っているようなのです。
これによって制御されているプロセスを見てみましょう。
- 空腹
- 消化プロセス
- 動物の冬眠
- 体温
- ホルモン生成
- 脳と体がメンテナンスと再生を行うことを促進。特に、これらはレム睡眠状態で行われる。
視交叉上核の変容
多くの要因が視交叉上核の機能を変えてしまう可能性があります。それらの多くは、人間の日常の習慣です。
- デジタル機器の画面の前で夜更かし。
- 決まったルーティーンがない。
- 時差ボケ。
- 汚染度の高い街で生活。
さらに視交叉上核は、脳下垂体とメラトニン生成と直接的な関係があります。ホルモンレベルは、年齢と共に下がっていくものです。これによって、睡眠障害、疲労、記憶障害、疲れ、鬱などの問題を引き起こします。
そして、科学者たちは、アルツハイマーのような神経変性疾患も、視交叉上核を支えているニューロンの喪失につながると発見しています。
そのため、規則正しいスケジュールに従うことが重要です。電子機器から出ているブルーライトも制限すべきです。
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