スポットライト効果:全員から見られているような感覚

13 8月, 2020
皆さんは今までに、『トゥルーマン・ショー』の主人公になったかのような感覚を味わったことがありますか?心理学の世界には、「スポットライト効果」として知られるものがあります。これは、自身の存在を過大評価し、他人から注目されている、と感じてしまう現象です。

スポットライト効果とは、周囲の人々から(実際以上に)注目されていると感じてしまう現象のことです。この現象を支持するような社会心理学の研究は多数存在しています。スポットライト効果は、どのように説明されるのでしょうか?実は、基本的にこれは手に負えないほどの自己本位性の結果起こります。

私たちは皆、自分自身の世界の中心人物です。これは、私たちが傲慢だという意味でも、他人よりも自分を高く評価しているという意味でもありません。むしろ、私たちは自分自身の経験に基づいて自己の存在を分析しているということなのです。

あなたは、周りの人全員が自分を見ている、あるいは観察しているという感覚を利用して、他者を含む周囲の世界を評価しようとします。しかし、当の周りの人々はあなたのことを何一つ知りませんし、あなたが人に対して抱いているであろう考えも知りません。なぜでしょう?なぜなら、他人もまた自身の世界の中心人物なのであり、それぞれ別のことに集中して生きているからです。

人は、何か非常に大きな影響力を伴うようなことに集中している時、自分には人々から注目される価値がある、と思い込んでしまいがちです。これこそが、社会心理学者たちがスポットライト効果と呼ぶ現象の心臓部分なのです。

スポットライト効果

スポットライト効果と、バリー・マニロウ実験

バリー・マニロウ実験は、アメリカ合衆国のとある大学で行われました。研究者たちは10人の人々に、心理学部を訪れるよう頼みます。彼らはそのうちの9人を正しい時間に呼び出し、いくつかの調査フォームに回答させるためにある部屋に連れて行きました。

しかし、最後の一人は他の被験者たちよりも15分遅い時間に呼び出されます。研究者たちのオフィスに入ると、この被験者は、今着ている服の上から少し大きめのサイズのTシャツを着るよう指示されます。そのTシャツには歌手バリー・マニロウの写真がプリントされていて、多くの人から「ダサい」「派手すぎる」などと思われそうなデザインでした。

そのTシャツを着た後、一人の研究者がこの被験者を他の被験者たちがフォームに回答している部屋に連れて行きます。そして立ったまま5分ほど待たされた後、別の研究者がこの被験者の元にやって来て、遅れたのは構わないからフォームへの回答を始めてください、と伝えます。

さらに5分後、この被験者には、到着が他の人よりも遅かったことで結果に影響がでてしまったので、もう回答に参加しないように、という指示が与えられます。

最後にこの被験者は、フォームに回答していた人たちの中の何人がバリー・マニロウのTシャツに気づいたかを予想してみるよう言われます。この実験の間ずっとバリーTシャツを着させられていたその被験者は、8人くらいが気づいたと思う、と答えました。

その後、フォームに回答していた残りの被験者たちに質問したところ、驚くべきことに誰一人としてバリーTシャツに気がついた人はいなかったのです。

スポットライト効果:存在の過大評価

バリー・マニロウのTシャツを着させられた被験者は、そのTシャツに気づいた人物の数を過大評価しました。この人物の立場になってみれば、その答えに合点が行くと思います。もし、バカバカしいTシャツを着させられて他の人たちのいる部屋に入れられたら、皆さんも同じように全員から気づかれていると感じてしまうのではないでしょうか。

これは単なるバリー・マニロウのTシャツによる効果ではありません。同じ実験が、ヴァニラ・アイスのTシャツでも行われています。実験レポートの中で研究者たちは、「この実験が行われた時、ヴァニラ・アイスはそのつかの間の名声がすでに失われたポップアイコンだった」と皮肉交じりに説明しました。

スポットライト効果をオフに

しかしながら、例外についても一つ触れておくべきでしょう。似たような内容の別の実験では、新しいポップカルチャーのTシャツを着てもらう被験者たちに、次の部屋に行かせる前にTシャツを着ていることに慣れるための時間が与えられました。すると、スポットライト効果はそれほど認められなかったのです。

つまり、自分のTシャツに気づいた人はそれほどいなかっただろう、とこの被験者たちは考えたということです。この結果が重要なのは、スポットライト効果が起こる原因についてのヒントがここから得られるからです。実は、スポットライト効果は人が自分自身の存在に意識を向け過ぎている時に起こります。しかし、気が散っていたり慣れていたりすれば、スポットライト効果は薄れるのです。

したがって、もし周りの全員から自分のやったことが見られている、と感じるのであれば、それはただ私が自分の行動に気を取られすぎているからに過ぎないのではないか、と自問してみてください。実際のところ、自分のことを見ているのではないかとあなたが考える人々は自分自身の行動に集中しているのです。そしてその人もまた、周りから注目され過ぎていると考えているかもしれません!

スポットライト効果

それは全て自分のこと?

人間が持つ信念の中で、自分自身に制約を与えてしまう力が最も強いものの一つに、全ての物事は自分を中心に回っている、という思い込みが挙げられます。人は生活のあらゆる場面で、巨大なスポットライトが存在していて自分たちのやることなすこと全てが照らされているかのように感じながら暮らしています。監視されているような、そして全員が自分を見ているような気がしてしまうのです。

もし見られていると感じるのであれば、それはあなたが生涯ずっと他人を喜ばせたいと願いながら生きてきたということを意味します。周りから悪く見られるのを嫌い、持てるエネルギーの全てを費やして周囲の人々の期待に答えようと努力してきたのではないでしょうか。しかし、私たちが思い込んでいるほど他人は私たちのことを気にしていないということは科学が証明していますので、それを忘れないようにしていてください!