シナプスの種類:化学シナプスと電気シナプス
私達の脳がうまく働くためには、神経の伝達が必要です。この相互作用はシナプスとして知られています。それでは、シナプスはどのようにつながり、シナプスの種類はいくつあるのでしょうか?
シナプス伝達には基本的に2つの形があります。それが化学シナプスと電気シナプスです。シナプスを通して行われる伝達の多くが、情報を送る神経の軸索の端(最も長い部分)と情報を受ける神経の細胞体の間で行われます。
シナプス間で直接的な繋がりがないことに、人は驚きます。神経間には、シナプス間隙と呼ばれる隙間があります。この記事で、シナプスの種類を一緒に学んでいきましょう。どちらも特異な性質をもつ神経間の接続です。
1つ目のシナプスの種類:化学シナプス
化学シナプスは、神経伝達物質を通して、情報を送ります。神経伝達物質が情報を送る化学的物質であるため、これは「化学シナプス」と呼ばれます。
化学シナプスが興味深いのは対称性がないことです。つまり、神経間でまったく同じことが起こるわけではありません。また、一方向性をもちます。情報を受けるシナプス後は、情報を送るシナプス前に情報を送ることができません。
また、化学シナプスには高い可塑性という非常に特異な性質があります。これは、より活発なシナプスは情報を伝達しやすいことを意味します。また、可塑性により、シナプスは環境の変化に適応できます。神経系は、賢く、私達がもっともよく使うものに焦点を当てます。
この種のシナプスには、インパルス伝達の修正が可能であるという利点もあります。どのように働くのでしょうか?次の値を調整することによって、これを可能にします:
- 神経伝達物質
- 発火率
- インパルス強度
神経間の化学伝達は、修正可能な神経伝達物質を通して行われます。電気シナプスに移る前に、化学シナプスが関わるプロセスを詳しく見ていきましょう。
化学シナプスのプロセス
- まず、脳は神経伝達物質を合成し、小胞に貯蔵します。
- 次に、活動電位がシナプス前膜をいっぱいにします。
- そして、シナプス前の軸索末端の脱分極により、カルシウムチャネルが開きます(その大きさは、電圧に左右されます)。
- カルシウムがチャネルを通って流れ始めます。
- このカルシウムにより、小胞がシナプス前膜と融合します。
- そして、神経伝達物質は、開口放出を通り、シナプス間隙に放出されます。
- 神経伝達物質がシナプス前膜の受容体と結びつきます。
- そして、シナプス後電位が開く、あるいは、閉じます。
- その後、シナプス後電流により、抑制性または興奮性のシナプス後電位が引き起こされます。これはシナプス後細胞の興奮性を変化させます。
- さいごに、神経の細胞膜にある小胞が閉じます。
電気シナプス
電気シナプスは局所電流を通して情報を伝達します。この種のシナプスでシナプス遅延(シナプス接続が作られるのにかかる時間)が生じることはありません。
また、化学シナプスとは正反対です。電気シナプスは対称性があり、双方向で、低い可塑性をもちます。低い可塑性とは、いつも全く同じように情報を送信することを意味します。神経内で活動電位が活発になると、次の神経に複製されます。
2つの種類のシナプスは共存する?
化学シナプスと電気シナプスは、多数の生き物や脳構造の中で共存することが分かっています。電気シナプスについてはまだ分かっていないことがたくさんあります。実際、無脊椎動物や変温の脊椎動物のみに電気シナプスがあると考えられていました。しかし、多くの哺乳類の脳で発見されたことから、これは違うことが分かっています。
最近の研究によると、両方の種類のシナプス(化学シナプスと電気シナプス)は、常に協同し、互いに影響しています。電気シナプスの速さと化学シナプスの可塑性が結びつき、同じ刺激に対し、そのときによって異なる反応を示すのに役立っているようです。
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