体外脱離の経験とは?
体外脱離は、幻想的で複雑な複数の現象を含むものです。自分の体を抜け出し、浮いていることを想像してみましょう。これが、まさに体外脱離の経験です。これについての説明は、長い間少数民族の中で信じられているような神秘的なものでした。しかし今、これが脳の中で起こっていることが分かっています。
体外脱離の経験は、錯覚のような動きを含む体験で、知覚的な現象です。中には、空を飛ぶ、落ちる、浮かぶ、外から自分を見るようなものがあります。この解離的経験は、健康、不健康に関わらず生じる、神経学、心理学に関わる現象です。
体外脱離のタイプ
明白な特性のある2つのタイプに分けられます。
- 知覚的経験:前庭系に関わる身体的感覚の結合の破壊により、落ちるような、浮かぶような感覚を受けます。
- オートスコープ経験:第三者の視点から、自分の体を知覚します。
体外離脱の経験は、なぜ起こるのか?
体外離脱の経験は、多くの場合意識の状態の変化と関係しています。想像性の高い夢の状態とこの現象が比較されることもあります。さらに、これは本人がその状態に気づいている異常な多感覚統合のプロセスです。前庭、運動、感覚が関わっています。
「私自身の画像をインターネットを通じて、世界に送ってくれ。そこで私の体外離脱の経験は続く。」
-デイビッド・クローネンベルグ-
この現象に含まれるシステム
- 前庭:このシステムの受容体は内耳にあり、バランスを保持する基礎的力で、網膜に安定した画像を保持させます。
- 運動:体外離脱の間、人が実際に動いていなくても、脳は分離的な面で対応する動きを実行させます。
- 感覚:頭頂葉にあるエンジンのようなものです。体外離脱の経験は、体の自己知覚的像だと理論づけている人が多くいます。
体外離脱の経験に関係する障害や現象
上記システムに変性がある場合、体の外へ出る経験をする確率が高くなります。睡眠に関わる障害、薬物、脳の損傷は、これらの現象に最適な条件を作り上げます。
睡眠中に起こる現象は、次のようなものがります
- 入眠時や覚醒時の幻覚:鮮明で混乱しやすい知覚的経験で、睡眠の初めと終わりに生じます。
- 金縛り:手足と実行のモーターが脱同期化し、体の多感覚器プロセスを変性させます。自己認識により、体の外で浮いているような感覚を得ます。
- 鮮明な夢:寝ている間に意識が覚醒し続けます。実際、部分的ですが夢を詳細にはっきりと導くことが可能です。
- レム睡眠:白昼夢は、レム睡眠で起こります。これは、起きている時のように、脳が活性化しているためです。電気生理学研究のおかげで、レム睡眠時に上の3つの状況が生じることが分かりました。
体外離脱の経験を減らすことはできる?
何世紀もの間、これらの経験は超常現象と結び付けられていました。昔の人は、これを研究する知識がなかったため、そのように考えたことも理解できます。今、私達はこれが自分の体のイメージの歪みによるもので、記憶や自己認識、想像などの認知プロセスと関係することが分かっています。
体外離脱の経験とファンタジー
この経験は体内の臓器が基本になっていますが、精神的要因も大きく関わります。性格がもっとも大きな要因です。その人の性格が最も顕著です。この経験はファンタジーや開放性が高い人に、頻繁に起こるという研究結果もいくつかあります。体外離脱は、個人の性格や示唆が原因になっていることも示されています。
人為的誘導
体外離脱の経験は、人為的に作ることができます。もっとも効果的なテクニックをご紹介します。
- 脳の周波数の変化:バイノーラル・ビートを使い、睡眠時と覚醒時の脳のシータ波を引き起こすことができます。
- 経頭蓋磁気刺激法:パーシンガー実験のように、側頭葉の刺激を通して行います。脳の領域の間の過剰な接続が、右脳で空間的「自分」を作り、左脳で言語的「自分」を作ります。
- 直接刺激:前庭や運動皮質の直接刺激を通し、これらの経験を生み出すことに成功しています。
- 側頭頭頂接合部の電気刺激:アージーの実験のように、このエリアの刺激の大きな多感覚処理は、自己知覚にエラーを及ぼします。
- 感覚剥奪:見当識障害は、意識の状態を変性させ、空間や時間の証明をすべて取り除くと、心のイメージは過度の現実性を負わせます。
体外離脱の経験と瞑想
脳の状態が睡眠時に近く、意識が活性化した状態が続くと体外離脱が起こります。研究員は、定期的に瞑想を行う人はこの経験をしやすいと言います。これは、アストラル投射と呼ばれます。シータ波は、通常、瞑想など非常にリラックスした状態で増幅します。
ミラーニューロンの関わり
ハラルとラマチャンドランは、ミラーニューロンシステムは非常に接続が強く、第三者に虚像を見せると言います。誰かが何かをしている所を見た時、ミラーニューロンはすぐに活動を始め、例えそれが象徴的であっても、それを真似したり、先を見込むためにより高度の中枢と繋がります。このニューロンと大脳皮質や求心路との繋がりは、感覚障害の状態で「体からの離脱」を引き起こします。
精神生物学的現象
体外離脱の経験には、神経や運動系、認知機能、個人の性格が関わります。また、それはある条件を満たすと病理である可能性もあります。
このタイプの経験を求めることは必ずしも健康的だとは限らず、精神の危機にも近いため、危険な可能性があります。
体外離脱の経験は異常だと思われがちのため、当人は何年も話さずに過ごすことは珍しくありません。心が不安定だと思われたくないのです。ですので、この現象の本当の原因を理解することは、正しく治療するための第一ステップになるでしょう。