哲学者ハン・ビョンチョルと「全てが同じである地獄」

2018年10月10日 in 心理学 0 シェア済み
ビョンチュル

ハン・ビョンチョル氏は韓国生まれの作家であり哲学者で、現代社会にとても影響のある人物となりました。いろんなテーマについて書いていますが、彼が最も力を入れているのはテクノロジーと、テクノロジーが生まれることになった文化についてです。また、多くの作品を仕事と創造に費やしています。

現在までに、ハン・ビョンチョル氏は本を16冊出版しています。それらの本で彼は、2つの明確なコンセプトについて書いています。1つは「燃え尽きた社会」で、もう1つは「社会の透明性」です。彼は現代社会を批判的な視点で書いています。彼にとって、人は他人を利用するもので、違いを恐れている生き物で、この考えから「全てが同じである地獄」と述べています

新自由主義に不可欠な暴力、それは個人を表面から破壊するのではなく、鬱や癌といった形で内側から個人を破滅させる」
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現代社会を理解したいなら、ハン・ビョンチョル氏の作品をぜひ読んでみるべきだという人も多いことでしょう。彼は、深く独特で、何よりも現在をとてもよく理解した観点の持ち主です。ハン氏は、ソーシャルメディアや、プライバシー、精神障害者の社会などにまで踏み込んだ作家の一人です。

彼がスペインを訪れた時に受けたインタビューは、大きな反響をうみました。インタビューで彼は、彼の基礎であるコンセプトをまとめて紹介しました。今日はそのインタビューの概要を紹介します。

ハン氏が述べる自由の幻想

現代の自由とは実態のない、幻想にすぎないと彼はいいます。私たちにある主なものとは、自発的な奴隷制度だといいます。例えば、ソーシャルメデイアでは、仮定された表現の自由がありますね。しかし実際は、権力のある者がソーシャルメディアを使って、大衆を見張っているのです。

宇宙

人は、自らの生活を他人に見せたい、いわゆる痴漢のような欲望があると、ハン氏は言います。自分の考え、個人的な行事、感情など様々なことをソーシャルメディアを通して見せびらかします。そしてそれは全て、自発的に行われています。自発的に情報を発信するわけですから、権力のある者達は、特定の人物を詮索したり、スパイしたりする必要がなくなったというわけです。

こういったように、人は、自己満足が確固たる目的であるメディアに、「自発的」に登録しているわけです。ハン氏は、自己満足は自己搾取のようなものだと言います。その結果として、感情的、体力的に燃え尽きて、疲れ切った労働者が多く生み出されるわけです。

全てが同じである地獄と違いを受け入れない社会

彼は、同じであること、と違いについても書いています。彼は、人が一人の個人であると確信しているのも幻想であると述べています。人はみな、人と違って見られたいのです。なぜなら全てが同じであるから。この欲望は、人々の考えが全く同じパターンであることの証明です。

そして、この欲望から根本的な順応主義が生まれました。「他人と同じように生きる」という考えをみんな受け入れているのです。同じようなものを、終わりもなく生産し続け、強要された成功というアイディアを満たすため、自分の生活を見せびらかしています。その裏には、鬱や不安といった感情が隠されています。これといった理由もなく体調が悪くなる人もいるでしょう。ハン・ビョンチョル氏はこの社会のシステムは頑固で、崩壊させることは不可能だと述べ、これが新自由主義であるとしています。

違いを表す図

時間の使い方に革命が必要だと彼はいいます。この考えは、決して見せかけではありません。「働いている時間は、自分のための時間ではなく、無駄な時間」すなわち、現代人には自由な時間が必要だということです。休暇のような、何もかも忘れられる時間が。しかし、それは元の仕事に戻らなくてはいけない一時的な休憩のようなものでなく、ここで彼が指す時間は、新自由主義の社会でも何もしない個人の時間が「効率的」だとされる、時間です。

彼の考えは新鮮で、先を見据えた考えです。彼の批判は鋭く、直接的ですが、熟考され議論された批判です。彼の作品のほとんどが英語に翻訳されており、オンラインで無料なものもあります。現在の物事のあり方に疑問を持つ方には、彼の作品はとてもおすすめです。

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