統合失調症患者:日々の挑戦と課題

2019年11月18日
統合失調症を発症した人々は、その症状とともに生きていくだけでなく、社会からの誤解や社会的非難にも対処しなければなりません。

統合失調症患者の日々の課題は、生物学的、心理的、そして社会的な問題などにわたっています。

どのような病気を発症している場合でも、多かれ少なかれ対処すべき挑戦がありますが、精神疾患の患者の場合は、社会的不名誉や周りからの誤解などの要因にも対処する必要があります。

スペインのテレビ番組Redesが製作したドキュメンタリー「Follow the Challenge of Schizophrenia (統合失調症の挑戦を追う)」において、エデュアルド・プンセット氏は、精神科医のマリア・ロン医師にインタビューを行いました。

インタビューの中でロン医師は、統合失調症に苦しむ人々がこの病気を理解して生きていく別の方法を提案しました。

ドキュメンタリーでは、診断と分類、専門家の処方による薬剤治療、ジェネラリストの薬物治療、社会的不名誉、そして患者が社会復帰をするのに役立つ可能性のある代替治療法の欠如などが取り上げられました。

専門家は、統合失調症は個人の問題というだけでなく、コミュニティ全体の問題であると指摘し、問題が大きくなっているため、医師や専門家の主導による診断だけでは、問題を減らすことができないと主張しました。

「絶望を理解せず、統合失調症を理解することはできません。」

-ロナルド・レイン-

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統合失調症の症状

統合失調症は「病気を発症している期間によっても患者ごとにその症状が異なるのが特徴的」だとマリア・ロン医師は語ります。

症状には、陽性症状と陰性症状の2つの種類があります。

陽性症状

  • 幻覚
  • 思考障害
  • 妄想など

陰性症状

陰性症状は、社会的な行動と患者の気分に関連しており、患者の毎日の生活や人生に大きな影響を及ぼします。

主な症状は以下の通りです。

  • 感情鈍麻
  • 会話の貧困
  • 思考の低下
  • 他者への無関心
  • 社会性の喪失
  • 社会的衝動の減退
  • 意欲の減退
  • 社会的関心の欠如など

一般的に、処方薬は陽性症状の治療には効果的ですが、陰性症状にはあまり有用ではないと考えられています。

統合失調症の治療は多次元的であり、認知刺激、音楽療法、リラクゼーションなどの治療法と薬物療法を組み合わせることで、最大のメリットを享受できると考えられています。

また、患者のニーズに合わせて治療を決定することがとても大切であり、これは強調するべき点でもあります。

統合失調症の症状には個人差があり、万能の治療方法はありません。

こちらからさらに詳しく:統合失調症の陽性症状と陰性症状

危険因子

遺伝は留意すべき危険因子の一つですが、それ以外にも次のような要因の影響を受けると考えられます。

  • 薬物の使用(大麻、コカイン、アンフェタミンなど)
  • 睡眠パターンの変化
  • ストレスの多い生活
  • 社会的要因
  • 競争の激しい生活
  • 過労
  • 幼児期に母親から引き離された人
  • 受胎時の父親の年齢
  • 都市部に住んでいる人
  • IQ値の低さ:いくつかの研究によると、IQが低い人は統合失調症を発症する可能性が高くなります。

聞くことの重要性

統合失調症の人々が社会に溶け込むのをサポートするために、多くの人やプロジェクトが始動しています。また、統合失調症の陰性症状の中でも、薬への耐性があるものに対する治療を提供するプロジェクトもあります。

スペインで始動しているプロジェクトの1つがラジオニコシアです。ラジオニコシアは、統合失調症に関して開かれた対話やコミュニケーションを推奨することを目指しています。

統合失調症の患者が、「精神障害者」というレッテルから抜け出して、正しく理解されるための安全な場所を提供する活動を続けるラジオニコシアは、統合失調症の患者がこの病気によって本来の自分を制限してしまわないためのチャンスを与えることを目指しています。

メンタルヘルスの専門医は、患者の性別、年齢、体重などをはじめとする要因を考慮せずに、同じ基準ですべての患者を治療する傾向があります。

しかし、統合失調症患者の中には、現在の診断方法や処方薬による薬剤治療が治療の基準となることを批判しています。

統合失調症患者がめったに犯罪を犯さないことをデータが示しているという事実にもかかわらず、患者自身が自分を危険だと考える傾向があります。

逆に何か犯罪を犯した犯人の動機がわからない場合には、統合失調症のせいだと判断されることもよくあります。

ただ、一部の犯罪行為が統合失調症に起因するのは事実です。具体的には、犯罪を犯した統合失調患者は妄想傾向にあり、自分が脅威に感じている何かを本物だと感じることが原因で犯行におよびます。

しかし、このような犯罪が起こるのは比較的まれなケースだと考えてよいでしょう。

こちらもご覧ください:妄想型統合失調症とは?原因と治療

統合失調症患者 日々の挑戦 課題

統合失調症患者の日々の課題

統合失調症患者が適切な治療方法を見つけるための鍵は、原因となる問題を根絶することだと主張していますが、現時点では症状の緩和に焦点が当てられています。

そして治療の目標は、統合失調症患者の精神状態を落ち着かせて、周りの人の迷惑にならないようにすることが中心です。

統合失調症患者は医学界に対し、患者の声にもっと耳を傾けて各個人に合う治療方法を提案するように呼びかけています。

統合失調症患者の日々の課題や挑戦を理解するための第一歩は、この病気の陽性症状と陰性症状を考慮して、この病気の複雑さを認識すること、そして患者の言葉に耳を傾けることです。

多分野にまたがる治療や多次元の治療が、統合失調症に効果的である可能性も示唆されています。

薬剤のみによる治療に変わる多次元的なアプローチを使い、すべての患者のニーズに合う治療方法が見つかることを願っています。