強い自己意識を育むことに関するフロイトの意見

ジークムント・フロイトは、強い自己意識をもつためには、エスと超自我が調和していなければならないと考えました。つまり、欲求と社会的義務が一致すべきだということです。
強い自己意識を育むことに関するフロイトの意見
Valeria Sabater

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Valeria Sabater.

最後の更新: 22 12月, 2022

ジークムント・フロイトは、強い自己意識(エゴ)をもっていれば、自分のニーズを理解し、社会が自分に課す制限を直感で察することができると信じていました。強い自己意識をもっていれば、人生を通して自由に動くことができます。自分の内に存在する抑圧を認識することに問題がなく、日々の生活が充実し、満足できます。

多くの基礎精神分析学の考えが、今は有効ではないという所から始めましょう。ペニス羨望や女性ヒステリーは時代遅れです。しかし、精神分析学は、現代に合わせ新たなアイデアを含めることで時代に適応してきました

当時、フロイトのアイデアは新しく、際どいものでした。人々は彼のテクニックがあまりに突拍子もないことから、「ウィーンの偽医者」というニックネームもつきました。こうして彼が過去に起こした火は、いくらか熱を失ったもののまだ燃え続けています。スウェーデンのリンショ―ピング大学などの研究で、最近の精神分析学の主な問題は、治療にかかる期間にあると示されています。

この種のセラピーは、1週間に4セッション、患者が必要とするだけ何か月、何年とかかります。最近、このように決まった時間を見つけるのは簡単ではありません。現代の生活は厳しく、私たちはその場の満足に慣れてしまっています。このような長い治療を適用することが可能とは限りません。そのため、現代のセラピストは、より短期間のセラピーに頼っています。

ジークムント・フロイトは、これに完全に反対するでしょう。精神分析学者のカギとなる目標の一つは、患者の自己意識に働きかけることだと彼は考えていました。精神分析学者は、精神的な力を健康的なものに変換し、自由や健康を阻害するあらゆる衝突を癒すべきなのです。

そのためには、約束、時間、深く探りたいという意志のある患者が必要だとフロイトは考えます。

「自分自身に完全に誠実でいることは、とても良い訓練だ。」

-ジークムント・フロイト-

人型ランプ

 

精神的力が限定される中での強い自己意識

彼のもっとも興味深い功績のひとつは、著書「精神分析概説」にあるでしょう。おもしろいことに、この本は未完成です。フロイトがこの本を書いていた時、第二次世界大戦で亡命していたのです。すでに、年をとっており、書き終える前に死を迎え、死後明らかになった本です。

この本は彼が今まで書いたものの統括でした。また、彼のもっとも妥当な理論をより深く掘り下げるために使われました。心的装置、夢分析、精神分析技法などはその一例です。この本で一番重要なのは、「エス、自我、超自我」の定義です。

この有名なウィーンの精神分析学者は、初めて、精神構造の中で自己意識を統合することを人は必要としていること、そして、強い自己意識という考えを深く掘り下げました。また、フロイトは、健康的な自己意識を育むことは複雑であると言っています。そのため、私達の多くが充実、幸せ、自由でないと彼は考えます。

自己意識が上手く育まれない理由

あなたの中には、2つの相反する力が共存しています。ひとつは「エス」で、基本的、自然なニーズです。もうひとつは、社会の厳しい規則の内在化を反映する超自我です。超自我は欲求、希望、夢を制限します。

  • フロイトによると、エスは常に何かを必要とし、いつも満足していません。エスは不安で、落ち着かず、過去や未来を理解しません
  • 反対に、超自我は複雑な存在で、私達に我慢させます。自由を制限し、行動をコントロールし、夢を壊します。超自我はエスを抑制し、私達を形成する社会的文化的存在です。
  • 自我、自己意識は、この間にあります。社会の型にはまった義務、夢、欲求などのせいで、ニーズを満たすことはいつも可能だとは限りません。これがひとつの理由となり、私達は強い意識を育まないのかもしれません。さらに、このために私達は欠片となり、見失ったように感じることがあるのです。
打たれる像

 

強く、健康で、幸せな自己意識を育むには?

著書「精神分析概説」の中で、強い自己意識を育めるかどうかには、ある一連の要素が影響するとフロイトは言っています。次のような原因を主張しました。

  • 両親への過剰な依存:子どもが、自立し大人になるためにより長い時間を要するようになっているとフロイトは考えていました。彼らが解決策を見つけ主導権を握る時期が遅くなっているのです。
  • 幼少期や思春期に規則や罰が多く、厳しい環境で育つ。
  • 最適な発達を促してくれる、親密で愛着のあるロールモデルがいない環境で育つ。

お分かりいただけたように、人生で幼少期は非常に大切な期間だとフロイトは考えます。言うまでもなく、彼の遺作で本当に価値があるのは、強い自己意識を育むことに関するアドバイスです。

強い自己意識を育む女性

強い自己意識をもつには

  • 強い自己意識(自我)をもつには、自分のエスや超自我と闘ってはいけません。
  • これらの力のバランスを保つことが重要です。ニーズと責任の調和をとる努力をしましょう。
  • この2つのエネルギーが共存するには、抑制された部分や自分の内側に隠された部分に光を当てなければなりません。この面に働きかけると、隠されたニーズやモチベーション、不安が見えてきます。また、まだ処理しきれていない幼少期の恐怖、トラウマ、記憶にも対応すべきです
  • 自律に働きかけることの重要性についてもフロイトは語っています。あなたの様々な面が世界に見えるところに出てきたのであれば、大人として、それと向き合わなければなりません。
  • 自分にふさわしいものが手に入らないと思うことがあるかもしれません。この未解決の不安は、どこまでもあなたにつきまといます。強い自己意識をもつための方法のひとつにこのニーズから自分を解放するという方法があります。必要性が服従は病気につながりかねません。

最後に、フロイトの考えの多くがこの時代にもふさわしく、重要な概念について考えるよう私達に呼びかけています。自己意識を強化するには、人生を通じて、実践的に毎日努力することが必要です。努力を続けましょう。絶対に価値あるものです!


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  • Freud, Sigmund (1998) Esquema del psicoanálisis. Madrid: Debate

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