ビタミンDと気分の変調との関係性とは?

「曇りの日は気分が下がる」と言っている人に対して大げさだなあ、と感じたことはありますか?「冬はなんとなく落ち込んでしまう」というあなたの言葉を誰かから疑われたことはありますか?そう思ってしまうのはあなただけではありません!記事を読み進め、ビタミンDと気分との関係性について学んでいきましょう。
ビタミンDと気分の変調との関係性とは?

最後の更新: 05 11月, 2020

冬や秋になると憂鬱な気持ちになりませんか?曇りの日や雨の日に気分が落ち込んでしまうことはないでしょうか?あなたの気分を左右する、胸いっぱいに広がったその感覚はビタミンDの不足によるものかもしれません。この物質は、浴びる日光量が減ることで減少してしまいます。あなたは、屋外で過ごすことの方が少ないタイプの方ですか?

では、日光量の不足は本当に気分を変容させてしまうのでしょうか?実はビタミンDには、まさしく気分に関連する神経伝達物質の調整役という重要な役割があるのです。

今回の記事では、ビタミンDについて、体内でこの物質が不足することの影響について、そして最適な血中濃度を維持するためにできる対策について詳しく学んでいきましょう。

“おお、日光よ!地球上で見つかる最も尊い黄金よ”

-ローマン・ペイン-

ビタミンD 気分の変調 関係性

ビタミンDについてわかっていること

ビタミン類は、身体の機能を適切に保ってくれる物質です。その中でもビタミンDには、主要な機能としてカルシウム値とリン酸塩値を調節するというものがあります。これは骨格の形成に必要不可欠です。

これらが不足すると、子どもの場合はくる病に、大人の場合は骨軟化症になるリスクがあります。ビタミンDのもう一つの機能は、単球(白血球の一種)のマクロファージへの変形を促し、免疫系を調節することです。

このビタミンは、以下の三通りの方法で摂取・合成することができます。

  • タラの肝や、脂ののった魚類(マグロ、サーモン、サバ、イワシなど)といった食べ物から取り入れることができます。これらすべてがビタミンDを豊富に含む食材です。量は減りますが、牛のレバー、卵黄、天然のマッシュルームなどから摂取することもできます。
  • サプリメントで摂取することも可能です。
  • 最後に、太陽光に含まれるUVB(紫外線B波)を浴びることにより、皮膚でビタミンDが合成されます。人間の体内にあるビタミンDのほとんどがこの方法で合成されたものです。

気分の変調にビタミンDはどう関わっているのか?

ビタミンDには、トリプトファンをセロトニンに変換する酵素を調節する役割があることが証明されています。セロトニンは、気分を調整(気分をより良いものにしたり、攻撃性や衝動性を減らすなどの調整)したり、妊娠中には胎児の脳の発達に関わったりする重要な物質です。

さらに、ビタミンDの不足と人口の10%に観察されている季節性情動障害との間には明白な相関性があることが研究によってわかっています。この事実が、季節性情動障害患者に光線療法が有益であることの理由なのでしょう。

ビタミンDの不足と、抑うつ症状や不安症状の頻度の上昇には関連性があると考えられていますが、まだ因果関係が証明されているわけではありません。

ビタミンDの不足が抑うつ症状の原因なのか、または抑うつ症状がビタミンD不足を引き起こしているのかを判断するのは非常に難しいのです。この物質は主に、紫外線を浴びる量が減ったり適切な栄養摂取への配慮が欠けていることが原因で不足します。そのため、現時点までで実証されているのはその両方の状況が並存している場合のみの事実なのです。つまり、ビタミンDの補給による抑うつ症状減退効果を支持するような研究は存在していないということです。

感情面の症状に加えて、ビタミンDの不足は以下のような他のメンタルヘルスの問題とも関連しています。

アルツハイマー病

ご存知の通り、この残酷な病気の出所はまだわかっておらず、複数の原因が提唱されています。しかし、研究によりビタミンDが不足している人の方がアルツハイマー病にかかるリスクが高いことが明らかにされているのです。

自閉症

この病気も複数の原因から発生するものですが、特定されている原因はまだ一つもありません。ただ、脳の発達においてビタミンDやセロトニンが果たしている役割を踏まえると、これらが不足することで自閉症スペクトラム障害(ASD)の進行に影響が出る可能性があると考えられます。

事実、妊娠中の女性がビタミンDを補足的に摂取することで、ASDの進行リスクが減少する可能性があるという証拠が見つかっています。

精神病

イギリスで行われた研究で、精神崩壊を起こした経験のある被験者のビタミンD値が健康な被験者のものよりもかなり低かったことが示されました。

また、フィンランドで行われた別の研究では、通常の食事に追加でビタミンDのサプリメントを摂取していた若い男性たちの精神病進行リスクが、摂取していなかった被験者たちよりも低かったことが明らかになっています。

ビタミンDと気分の変調との関係性とは?

太陽の光、力を貸して!

これで、ビタミンD不足が精神疾患の原因であるかどうかの判断が困難であることがはっきりしました。それでも、太陽光を浴びることによる健康への効果や気分への好影響はよく知られています。

したがって、たとえ冬季であっても(そして厚着をすることで浴びられる紫外線量が減るとしても)屋外で時間を過ごせばビタミンD合成を増加させられますし、できる限り増加させるべきなのです。

これは、屋内で過ごすことの多い高齢者たちにとって特に重要です。これまでにご紹介したあらゆる機能に加えて、ビタミンDは骨量の保持にも欠かせません。そのため、ご家庭にいる年配者にもっと日光を浴びさせてあげてください。ただ、やりすぎは禁物ですよ。

最後に、食生活の重要性についても心に留めておいてください。特に日照時間が減る季節はなおさら気を使ってビタミンDの豊富な食材を食べましょう。それでも不足している場合、医師に相談すればあなたに最適なサプリメントをお勧めしてくれるはずです。


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