“私は深呼吸をし、これまで乗り越えてきたこと全てに感謝する”
“私は自分が克服してきたこと全てに感謝しています、それは、そのおかげで学びと貴重な経験との架け橋を作ってこれたと思うからです。だからこそ、大きく深呼吸をし、恐怖を抱くことなく未来を見据えられます。私の背後には、すでにこれまでの人生のチャプターが描かれており、物語をより良いものにするためにめくられていったいくつものページが存在しているのですから。”
私たち全員が、たくさんのことを経験しながら歩んできました。中には良い経験もあれば悪い思い出もあるでしょう。中国のことわざに、「ドラゴンになるには、その前にアリのように苦しまねばならない」という内容のものがあります。しかし実際には、おそらく皆さんの考えとは反対に、幸せになるために、あるいは人生を理解するためには絶対に苦しまなければならない訳ではないのです。そうは言っても、これまでにみなさんが経験した困難な状況がのちに人生における貴重な教訓を与えてくれた事実を否定する必要はありません。
自己改善は、心理学の中でも非常によく知られた領域であり、人文主義学派では何よりも重視されてきた概念です。これに関しては、人間は力動的であり、変化を続けるものだという事実を示すために、人間性心理学という分野で実存主義が統合されています。
したがって、「運命」のいたずらで予想もしなかったような状況に立たされて困難に立ち向かわなければならない時には、これに対して何らかの対応するのが私たちの責任です。決断力を持ち、周囲で起こっていることについて深く考え、自分の持つ潜在能力を覚醒させなければなりません。
私は自分が乗り越えてきたもの全てに感謝しています
20世紀の実存主義心理学者の中でも際立った存在のロロ・メイは、道に“迷った”時にそれまでより早く“走り”出してしまうのは人類の皮肉な癖である、と述べました。
それでも、驚かずにはいられないような事態に見舞われることは度々あります。時には、予想だにしない瞬間が訪れて足元がぐらついてしまうこともあるでしょう。そうなると恐怖心が襲ってくるあまり賢明な行動ができず、性急に、そして本能的に振舞ってしまいます。頭脳がしっかりと働いておらず、心の中も周囲の状況と同じように混沌としている時には、ゴルディアスの結び目を解くことがとても困難になってしまうのです。
そのような状況の真っ只中では、自分自身を鍛えて熟考したり冷静になったりできるようにし、自らの価値観やニーズの調和を維持することが大切です。
しかしまずは、自己改善とは一体何なのかを明らかにする必要があります。ここでお話ししているのはただ障害物に直面したり、困難を乗り越えたり、問題を解決しようとすることについてだけではありません。これにはそれ以上の意味があるのです。
自己改善とは、結局のところ学習を意味します。つまり、困難な状況下でどのように自らの素質を有効活用し、生活の中で遭遇する様々な状況をどう有利に使っていくかを学ぶことです。開放的かつ受容的になり、恐怖ではなく変化を、そして不活発や停滞ではなく前進を選ぶことこそが、自己を改善するということなのです。
私が今ここにいられるのは、自分で決断したからです
“私は深呼吸をし、これまで乗り越えてきたこと全てをありがたく思っています。なぜなら今この瞬間の自分自身のことが好きだと思えるからです。私は今自分がいる場所を受け入れています。ここが私のいたい場所なのです。確かに昨日は大変なことがあり、それなりの結果も伴いましたが、全ての成長は変革と心理的な変化、そして感情の波を経験したことの証なのです。”
家族療法医で、ダルハウジー大学(カナダ)の教授であるマイケル・ウンガー博士は、レジリエンスの分野を先導する専門家の一人です。
著書『Change Your World: The Science of Resilience and the True Path to Success』の中で彼は、物事が外の世界で起こるのは、心の内側にあるレジリエンスという潜在能力を活性化させるためである場合がある、と説明しています。
彼の考えでは、あらゆる個人的成長や自己啓発には、このレジリエンスという側面の覚醒が含まれているそうです。これを実現するためには、この能力がダンスのようなものだということを知っておかねばなりません。レジリエンスとは自身を変革させ、それが転じて周囲の人々をも変革するようなダイナミックな力なのです。
ここで私たちがお伝えしようとしているのは、自分が乗り越えてきたあらゆることや、自分を苦しめるものを勇気を出して変えることができたという事実に感謝すべきだということです。
これはつまり、あなた自身もまた変化してきたということを意味します。現在、あなたは以前よりもアサーティブになっており、恐れることなくより賢明に決断を下すことができるようになっています。また、人生の各段階で自分が何を望むのかもわかるようになっているはずです。
私は自分が克服してきたこと全てに感謝しており、将来のことを楽しみにしています
“私は明日を楽しみにしています。恐れはありません。それは「運命」が私に幸せを運んできてくれると信じているからではなく、今の私にはどんなことが起きようともそれに立ち向かうためのより良い素質が備わっていることがわかっているからです。だからこそ、私は不安を感じずに未来と向き合うことができるのです。”
私はこれまでいろいろなことを乗り越えて来られたことに感謝しています。なぜなら今、私は笑顔でこの世界に向き合うことができているからです。現在、私は地平線を見据え、毎日新たな夢や目標を設定しています。