予期不安とは?

2020年3月31日
予期不安に悩まされている人は、常に悪いことが起きそうだと考え、それがいかに辛いかを知っています。この記事を読んで、予期不安とは何かを学びましょう。

予期不安を抱えている人は、不確かな物事や悩み事に対応して息が詰まりそうになってしまいます。常に最悪を想定しては、焦り追い詰められた思考に陥っている、いわば被害者なのです。延々と続く漠然とした不安に心身共に恐怖に囚われることほど、嫌な気持ちというのはそうそうありません。

簡単に言えば、予期不安とは、まだ起きていない物事に対してネガティブな結果を予想し、そうなると予期する思考になっている状態のことです。私達のほとんどが多かれ少なかれこういう状況に陥ったことがあることでしょう。では、私達はなぜそんなことをしてしまうのでしょうか?なぜ今の社会においてこのような不安がより一般的になってきているのでしょうか?

その謎を解くにはまず、基本的な人間の性質を二つ理解しておかなければいけないでしょう。一つ目は、人間とは本能的に物事を全て自分の思い通りにコントロールしたいと思っていること、そして二つ目は、人間は不確かなものに対して絶対的な恐怖を抱いていることです。不確かなものに対して我慢がきかないか、うまく対処する方法が分からないというのが私達人間です。こうした状況は想像以上に腹立たしく、疲れを招く出来事だったりします。

予期不安があると、仕事の面接やテスト、病院の予約などに対処するのが困難になります。来月分の生活費を払えるかどうかを考えるだけでも負のスパイラルへと落ちていくきっかけになったりします。最悪の事態を予期することで、これまでしてきた目の前の困難に向き合いそれを乗り越えるための努力を全てかき消してしまうのです。

「悩んでも明日の後悔は無くならない。今ある強さを無くしてしまうだけだ。」

-コーリー・テン・ブーム-

予期不安

予期不安によって恐怖が権力を握る

何かを憂うことに多くの時間を使ってしまっている人が多い昨今ですが、心配の種を適切に対処する方法を知っていれば、心配すること自体は問題になりません。信じがたいかもしれませんが、不安も適切な数値やバランスというものを見つけることによって自分の味方につけることが可能だったりします。不安を自分の味方につけることで、不安によって高まった警戒心や自覚を柔軟かつ前向きな物の見方と合わせて日々の困難に向き合う糧にすることができるのです。

とは言え、言うは容易く行うは難しです。なぜなら、脳は理性よりも本能に従うからです。不確かな事態に直面した時に最悪の事態を想定してしまうのはそのためです。こうした不安な気持ちは、扁桃体という脳内に存在する恐怖と関係する分野をすぐさま刺激します。扁桃体は体が生理的反応を起こすようにする役割を担っています。素早く行動できるようにするコルチゾールなどのホルモンの分泌を誘発したりします。

人によって予期不安に悩んだりそうでなかったりするのは、扁桃体が理由なのかもしれません。科学学術誌「ネイチャー」に掲載されたウィスコンシン大学マディソン校による研究によると、不確かなことや脅威に対してより「反応」してしまう脳を持つ人がいることが分かっています。つまり、神経学的にこうした状況への耐久性が低い人は不安が高まると反応を起こしてしまうのです

予期不安

症状と特徴

不安がつきまとう生活は、本当に生きている心地がしません。それどころか可能性として恐ろしい未来が目の前で繰り広げられるのを見ながら、訳の分からない状態に陥っているようなものです。今日立てた予定は全て意味をなさなくなります。それが明日、あるいは5年後のものであってもです。いつかどこかで全てがうまく行かなくなると考えてしまうのです。

予期不安を抑えてより良い暮らしを送る方法

偉大なローマの詩人ホラティウスは、「逆境は、順風満帆な状況下では眠っていたであろう才能を呼び覚ましてくれる力がある」と言っています。この世界、そして人生というものはいつも激動に富んだものです。予想できない変化に対処しなければいけないものです。プレッシャーというものが常についてまわり、物事は大概自分の思い通りに行かないものです。逆境に対応することは人生の一部なのです。

ですが、私達のほとんどがこうした現実に適切に対処する方法を教わっていません。ましてや、不確かなものに対処するようにできている人間というわけでもありません。怖くなるのは普通のことです。間違っているのは、恐怖に自分の人生を支配させてしまっているという点です。予期不安を乗り越え、良い人生を歩むための鍵は、以下のような点を振り返ってみるところにあります。

  • 「自分の感じている感情=自分の行動」である必要はありません。恐怖や不安を感じるのは普通のことです。自分の感情を受け入れ、それが普通の感覚であるとしてしまいましょう。ただし、その感情に行動が支配されないようにすることが大事です。
  • 自分の思考をコントロールできるのは自分ただ一人です。心が暗闇に囚われてしまう時間を増やさないようにし、恐怖で麻痺してしまわないようにしましょう。吐き出すべき物は吐き出し、自分の周りのことにフォーカスし、今という時の中で良いバランスを見つけましょう。一番大切なことは「今、ここ」です。なんだかんだで、明日はまだ訪れていないのですから。
  • 自発的な行動を実践しましょう。古い自分の行動・思考パターンには別れを告げましょう。じっとしていると、恐怖とネガティブな思考がじわじわと攻め入ってきます。ルーティンは、時に脳が強迫的思考を追いはらう気力を失うきっかけになってしまうことがあり、結果自分を腐らせてしまうこともあります。腰を上げて、動きましょう。考えず、ただ感じるのです。運動し、マインドフルネスを実践し、周りの世界と心がつながるように励みましょう。新しい人に会い、新しい場所を見てまわりましょう。
予期不安

予期不安に支配された人生でなくていい

最後に、誰だって一度は予期不安というものを経験したことがあるのものです。こうした類のネガティブ思考に簡単に負けてしまうのが、今日の社会なのでしょう。ですが、不安な気持ちによって自分が弱くなると考えないで下さい。そうではなく、そうした機会は自分を強くしてくれるものだと考えましょう。その経験を身に着けたスキルを試す機会として利用し、より幸せな人生を送っていきましょう。

  • Chua, P., Krams, M., Toni, I., Passingham, R., & Dolan, R. (1999). A functional anatomy of anticipatory anxiety. NeuroImage9(6 I), 563–571. https://doi.org/10.1006/nimg.1999.0407
  • Grupe, D. W., & Nitschke, J. B. (2013, July). Uncertainty and anticipation in anxiety: An integrated neurobiological and psychological perspective. Nature Reviews Neuroscience. https://doi.org/10.1038/nrn3524