予期不安にうまく対処するためのカギ

最悪で破滅的なシナリオばかりを心配してしまうような思考をうまくコントロールすることが、心の健康へのカギです。今回は、こういった状況において予期不安に対処できるようになるための戦略をいくつかご紹介します。
予期不安にうまく対処するためのカギ
Valeria Sabater

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Valeria Sabater.

最後の更新: 21 12月, 2022

人は誰しも、「最終的には全てが悪い方向に向かうのだろう」という感覚を抱いたことがあるはずです。今から搭乗しようとしている飛行機が墜落することを想像したり、昇進がかかった会議や面談で恥をかいたらどうしよう、と不安になることがありますよね。こういった思考がウェルビーイングの大敵であることは明らかです。今回は、上記のような予期不安に対処するための様々なキーポイントを見ていきましょう。

このような類の、宿命論的で感情的なバイアスがかかった認識の仕方の大半が、次第に自己充足的予言の土台を形成していきます。つまり、自分はあのテストできっと失敗するだろうというような考えをやめられずにいると、心の中に積み重なった不安な気持ちや強烈な嫌悪感のせいもあって、実際に最悪な事態が起こる可能性が高くなるのです。

予期不安について話すということは、何らかの悲惨な状況がいずれ起こってしまうのだろう、という強迫観念的な恐怖心について言及することと同義です。この時、近い将来にそれが起きる可能性が実際にあるかどうかは問題ではありません。人の頭脳は時折、近々起こり得ることについての恐ろしいシナリオをでっち上げ、デザインして、いろいろなことを組み合わせてしまうことがあるのです。おそらくあなたもご想像している通り、このような思考態度でいれば、警戒状態や過剰な活性状態がずっと続くことになってしまいます。

上記のような類の思考を上手く処理することができれば、例えばフォビア(恐怖症)やパニック発作、あるいは社交不安といった病態が表出するのを防ぐことが可能です。この特性が私たちの性格、あるいは人生に対する全般的なアプローチの中でどのような役割を知っておくことが、役に立つ場合があります。

それでは、セルフ・アウェアネス(自己認識)を実現する方法について見ていきましょう。

予期不安 うまく対処する

予期不安に対処するための5つのカギ

焦燥感、動揺、緊張、集中力欠如、筋肉の痛み、苛立ち、不眠、頭痛、食生活の変化など、予期不安は複数の症状を引き起こしますが、中でも最悪なのは精神的な疲労感でしょう。ありとあらゆる悪いことが起こるのではというネガティブな考えが頭に重くのしかかっているために、精神的に疲弊してしまうのです。

ウィスコンシン大学マディソン校(アメリカ)で行われた研究などが、不確実性が予期不安の出現において重要な鍵を握っていると指摘しています。今では、かつてないほどに、短期的あるいは長期的にどんなことが起こるのかがシンプルにわからないという精神的な負担が、不安を抱える人の割合を増やす引き金となっていることが明白になってきました。

日常生活で生じるこのような状況に対処するためのコーピング戦略を学び、それを取り入れることが、大きな助けとなるはずです。では、さらに詳しく見ていきましょう。

内なる心の声を望ましい方向へ導く

予期不安をコントロールする方法を身につけるにあたって、理解しておかねばならない重要な側面が存在します。それは、私たちはほぼ常に、過剰な心配をしてしまう自分の傾向や、いつも人生の暗い面にばかり目を向けてしまう傾向、そして何でもかんでも大げさに捉えてしまう傾向に気づけていないという事実です。

何らかの問題に直面した時、私たちには二つの選択肢があります。まず、問題それ自体に目を向け、どんどん深みにはまり続けること。二つ目は、解決策を探すことです。後者を実現するための手段として、内なる心の声を望ましい方向に導くという方法があります。このためには、以下に挙げるような敵を検出し、無力化できるようにならねばなりません。

  • 自分の視界とトンネルの向こう側にある光を隔てている運命論的な考え方。
  • 否定的で破壊的な形態の自己批判。
  • 自分自身への責任を持つことを不可能にする被害者意識。
  • 失敗を経験することを許さず、過去の過ちから学習する機会を妨げている過度の自己批判。

地に足を着け、「今、ここ」に照準を当てる

不安感は、頭の中を将来起こり得る状況についての想像だけが占めている時に生じます。こんなことやあんなことが起きたらどうなるだろう、と考えてばかりいると、今現在への感覚が失われ、苦悩が増してしまいます。人生とは未来ではなく、「今、ここ」を生きることであり、重要なのそれだけなのです。

生活の中で生じる予期不安をうまく手なずけたいのであれば、以下の事柄を理解しておくと役立つかもしれません。

  • 未来は、恐怖心ではなく目標や目的のみが置かれる場にすべきです。
  • まだ起きていない事象について心配しても意味はありません。もし自分の頭脳が未来に逃げ込んで何千もの悲惨な状況を想像しようとしていることに気づいたら、例えば運動などをして肉体と頭脳とを現在に引き戻すと良いでしょう。散歩に出かけたり、ウォーキングをしたり、あるいはエアロビなどをすると効果が期待できます
  • また、日記を持ち運ぶことも良いアイディアです。将来への不安をそこに書き込み、今現在実際に起きていることを踏まえながらそれらを分析してみてください。不安に思っていることが本当に起きるという証拠は少しでも存在しますか?

予期不安をコントロールするには?:セルフケアの重要性

予期不安 対処する カギ

私たちは時折、日常的なセルフケアの重要性を見過ごしてしまいます。しかし、自分に見合ったものを、必要な時に自分自身に与えてあげることもまた、心の健康を維持するためのカギなのです。カリフォルニア大学で実施された研究では、予期不安による影響を軽減するには熟睡することが重要だという事実が強調されました。

肉体の疲れは、脳の疲れも意味しており、疲れている人の脳は推進力や柔軟性を失い、集中することができなくなります。そしてこういったことが原因で思考がますますネガティブな方向に向き、不安感が増大してしまうのです。

  • 1日に7〜9時間は眠るようにしましょう。昼寝も効果的です。
  • 余暇を、時間の無駄遣いに費やしてはなりません。実は、自由時間というのは幸福感を獲得させてくれるものなのです。毎日数時間休息の時間を楽しみ、好きな活動に費やせるようにスケジュールを組むのが良いでしょう。
  • もちろん、適切な食生活もウェルビーイングに欠かせないキーポイントです。
  • また、セルフケアには、穏やかなひと時や誰かとの繋がり、そして感情的解法を得られるような社会的ネットワークを持つことも含まれます。楽しい会話は、未来のことばかりではなく、「今、ここ」に集中するための素晴らしい手段なのです。

最後に、予期不安に対処できるようになりたいという方には、もう一つ無視してはならない側面をお伝えしておきます。それは、自分一人でやろうとするとうまくいかない場合もある、ということです。ケアされることのなかった不安感は慢性化する恐れがあるということを忘れないようにしましょう。毎日直面する現実が自分の手には負えなくなっていると感じるのであれば、ためらわずに専門家に助けを求めてください。


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