フードフォビアの種類と原因、治療法について

あなたはこれまでにフードフォビアという言葉を聞いたことがありますか?フードフォビアとは、深刻な結果をもたらし、人々の生活を制限してしまう恐怖症です。記事を読み進めて、もっと詳しく学んでいきましょう。
フードフォビアの種類と原因、治療法について

最後の更新: 02 3月, 2021

あなたは、フォビア(恐怖症)を何種類知っていますか?よく知られているものもあればそうでないものもありますが、フォビアは何百種類も存在します。特に、犬恐怖症、暗所恐怖症、高所恐怖症などは有名ですよね。きっとあなた、もしくはあなたの身近な人も、何らかのフォビアを経験したことがあるか、今まさに経験しているのではないでしょうか。それはさておき、世の中にはそれほど知られていないのに生活にかなりの支障をきたすような、そしてあなたもおそらく耳にしたことがないような病的な恐怖症が存在します。その一例が、フードフォビア(食物恐怖症)です。

フードフォビアには、新しい食べ物を食べてみることを恐れるものから食べ物を飲み込むこと(嚥下)を恐れるもの、そして食中毒を不安に思うがあまり特定の食べ物を食べることを恐れるものまで、あらゆる種類の食べ物への恐怖が含まれます。しかし食べることは人間の基本的な欲求であり、何も食べずにいれば深刻な影響につながりかねません。

フードフォビアの中で最も多いのはどんなタイプなのでしょう?神経性無食欲症などのその他の摂食障害と関係しているのでしょうか?フードフォビアがもたらす影響とは?今回はこういった疑問にお答えした上で、他にも色々な情報をお伝えしますよ。

“時には、ほんの少しの光の存在だけでフォビアを羽ばたく蝶たちへ変えるには十分なことがある”

-マリーナ・マティス-

フードフォビア 原因

フォビアとは正確にはどんなもの?

フォビアとは、無害な刺激や、あるいはある意味で有害ではあれど大抵の人が自らの手で抑えつけられることのできる(例えば、その刺激に対処するためのリソースを有している)刺激に対して起こる、不合理な恐怖心による反応です。

フォビア的反応は不適応的であり、人々の日常生活に支障をきたしかねません。そのため、観察と治療が求められます。特に、そのフォビアによって影響を受けるのが食欲のような基本的欲求である場合にはなおさらです。

実は、フォビアというのは普通、幼少期あるいは思春期に表出するものであり、ほとんどの場合学習によって発症します。恐怖の対象である刺激と直接的に遭遇した経験や、代行学習(他人の経験を見ること)が、フォビアが生まれる主なルートです。例えば、ピーナッツを喉に詰まらせかけた経験がある人は、ピーナッツを食べることに対するフォビアを持つようになるかもしれません。

また、ガルシア効果というかなり興味深い現象も存在します。これは食あたりを恐れる心理状態であり、人が過去に食べて体調不良になった特定の種類の食べ物(あるいはそれと似た味)を系統的に拒絶してしまう理由を説明する現象です。

食中毒を経験すると、あるいは何らかの食べ物を食べて違和感(ほんの僅かだとしても)を感じた経験があると、その味に対する嫌悪感が条件づけられます。これは、頭脳がその味と不愉快な感覚とを結びつけるためです。

フォビアにはたくさんのタイプがありますが、本日の記事では先述のフードフォビアに焦点を当てていきます。フードフォビアとはどんなもので、いくつ種類があるのでしょうか?

フードフォビアを掘り下げよう

フードフォビアとは、食べ物の様々な側面に関連したフォビアの集まりを言います。新しい食べ物を食べてみることを恐れる、食べ物を飲み込むのを恐れる、食中毒を恐れる、あるいは特定の食品群を食べることを恐れるなど、種類は様々です。また、先ほどお伝えした通り、大抵のフォビアと同様に、フードフォビアもほとんどが学習によって生じます。

その結果まず見られるのが、恐怖の元となる刺激の能動的回避です。そして実はこれが、過度の食事制限や栄養失調に繋がる恐れがあります。

ネオフォビア、未知の食べ物に対する恐怖

これは新たな食べ物を食べることへの拒絶を指しており、文字通り「よく知らない食べ物を食べてみることへの恐怖」を意味しています。ネオフォビア(新奇性恐怖)は子どもに多く、特に2歳〜3歳の年頃の子によく見られる現象です。大抵は5歳頃までに消失しますが、大人になるまで続くケースもあります。

この現象に関しては、進化学の観点から説明することができます。フード・ネオフォビアは防衛機制だと言えるのです。というのも、かつて人類が食べ物を自ら狩猟・採集していた自体には、未知の食べ物は食中毒や、あるいは最悪のケースでは死に繋がることのある危険な存在だったからです。

したがって、新しい食べ物を嫌がる2歳児や3歳児は、食べ物を選り好みしているわけではありません。新たな味や食感に慣れようとしている最中なのであって、一部の例外を除いてそれらの食べ物に徐々に耐えられるようになっていきます。

実は、この種のフォビアには遺伝的素因があります。推定によれば、フード・ネオフォビアの78%が遺伝によるものなのだそうです。それに加えて、学習も重要な役割を担っています。言い換えると、子どもたちはロールモデルである親や兄、姉たちを見て大いに学習しているということです。そのため、家庭内で目にしたものを自分自身でも繰り返すことが予想されます。したがって、ロールモデルが何らかの食べ物を食べることを拒否するのを見ると、子ども自身もそれが正しいことなのだと考えてその食べ物を拒否するでしょう。

フードフォビア 原因

ファゴフォビア(恐食症)、食べ物を飲み込むことへの恐怖

このフォビアは、嚥下中に食べ物が喉に詰まったり窒息したという嫌な経験によって生まれる、食べ物を飲み込むことへの恐怖です。ネオフォビアとは異なり、どの年齢でも生じ得ます。

窒息寸前の思いをしたことがあるのならば、以後はその食べ物を拒否しようという考えになったとしても不思議ではありません。二度とそのような経験をしたくないはずですからね。ただし、問題なのはその恐怖心が普遍化し、その他の食べ物にまで広がってしまった時です。そうなると実際に食べられるものの範囲がかなり狭められてしまうでしょう。中には、液体までをも含むあらゆる種類の食べ物に恐怖を抱くようになった人々もいるのです。

ファゴフォビアの人々は例えば、固形物を飲み込むことへの恐怖心から液状の食べ物や粉状の食べ物を食べ始めるかもしれません。このような人々はまず、簡単に粉々になるような噛みやすい食べ物から食べられるようにしていくべきです。その後、固形の食べ物に進みます。小さなものから徐々に大きいものを食べられるようにしていきます。

また、フォビアが液体を飲み込むことに対するものの場合には、増粘剤を使って飲み物の食感を変えて、適切に水分補給をし続けられるようにすることから始めると良いでしょう。そして徐々に増粘剤の比率を減らしていきます。

シボフォビア(嫌食症)、アレルギー反応や食中毒への恐怖

このフォビアは食の安全性全般への関連性がより高いもので、食中毒やアレルギー反応を起こすことへの恐怖心です。シボフォビアの人々は食べる前に食べ物の状態を徹底的にチェックしたり、賞味期限を確認したりします。

シボフォビアは前述のガルシア効果と密接に関係しています。どういうことかと言うと、過去に何らかの食べ物を食べた後に食中毒やアレルギー反応を起こした経験が大きく関わっているということです。ただし、ある特定の食べ物から始まったとしても、その恐怖が似たような種類の食べ物全般にまで拡大してしまう可能性があります。

その他のフードフォビア

マイコフォビア(キノコ恐怖症)は、毒におかされることへの不安が元になっているキノコ類への恐怖心です。興味深いことに、このフォビアの対象はキノコ類だけにとどまりません。恐怖が普遍化することもありますし、キノコ類の標本を見たり触れたりしただけで嫌悪感や恐怖が生じる場合もあります。

また、ラカノフォビア(野菜恐怖症)の人々は特定の野菜のみあるいは野菜全般を恐れます。

これは幼少期のトラウマ的経験、つまり強制的に食べさせられた経験との関係性が強いようです。例えば、えずいているにも関わらず無理やり食べさせられた経験などがこれに当てはまります。あるいは、前日の夕食で出たほうれん草を次の日にも食べなければならなかった、というケースもあり得るでしょう。また、野菜の中に虫が湧いているのを見つけてしまった経験が関わっている場合もあります。

フードフォビアの原因

フードフォビア vs 摂食障害

ご覧いただいた通り、最初は特定の食べ物が起因となっていたとしても、フードフォビアが普遍化する恐れがあります。さらに、食べることのできる食べ物の範囲が狭められてしまうため、食生活全体の質までもが落ちてしまうのです。その結果、体重の大幅な減少に繋がることがあります。

標準より低体重になるという症状は、神経性無食欲症といった一部の摂食障害に共通しています。しかし、摂食障害における減量は体重制限のために自ら意図的に食べ物の量や種類を減らした結果として起こる現象です。

その点が、フードフォビアと摂食障害の一番の違いなのです。フードフォビアは食べ物それ自体に密接に関わる側面を中心としており、例えばその食べ物が属するグループ全体や、食べ物の保存状態の悪さといった点に目が向けられます。対照的に、神経性無食欲症とは体重が増加することに対する病的な恐怖心なのです。

だからこそ、低体重の背後にどんな問題が隠れているのかを探究しなければなりません。つまり、どんな恐怖心がその体重現象に繋がったのかを解明すべきだということです。原因が違えば、それに対処するためのアプローチ法も異なります。

フードフォビア治療についての所見

神経性無食欲症の治療は、患者の生物学的安定性を確実なものとするために栄養面のリハビリテーションから始めます。その後、セラピストは患者の認知レベルへのアプローチに進みます。つまり、自身の身体像(ボディ・イメージ)に対する歪められた認識や、体重についての過剰な信念といったものを修正していくということです。

フードフォビアに関しては、フォビアによる影響が深刻で長期間続いているのであれば、まずは体重を元に戻すことが必要かもしれません。ただし、フォビアの治療は対象物へ漸進的に近づけるように促すことにもっと重きが置かれます。そうすることで、誤った条件付けを解除することを目指すのです。

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