3つのモラルジレンマ

2020年2月9日
モラルジレンマは、単なる哲学的問題ではありません。実際に日々の生活や様々な出来事に応用できるものです。今回の記事でモラルジレンマの一例をご紹介します。

モラルジレンマは、価値観に矛盾のある逆説的な状況です。このような状況では、人の行動が必ず何かしらマイナスになります。どちらの選択肢の方がダメージが少ないか、どちらが倫理的一貫性をもつか判断する必要があります。

最も有名なモラルジレンマの一つに「トロッコ問題」があります。高速で電車が走っています。途中、線路に5人の人が縛り付けられているのに気づきます。あなたには、ルートを変えるボタンを押すという選択肢があります。しかし、変えたルートの先には、1人の人が縛り付けられています。

このケースでは自分はどうすべきかというところにジレンマがあります。電車のルートを変えず5人の人を殺すことと、ルートを変えて1人の人を殺すのは、倫理的にどちらが良いのでしょう? そのままにしておけばその1人が死ぬことはありません。しかしボタンを押すと、その人を死に至らせます。

この話から、他のモラルジレンマが生まれました。その中でも、トロッコ問題の派生問題、「ループした路線」、「庭にいる人」が有名です。ひとつずつ見ていきましょう。

モラルジレンマ

 

1.派生問題

これは、「トロッコ問題」から派生したモラルジレンマのひとつです。状況は似ており、電車は5人の人が線路に繋がれた場所に向かって走っています。ところが今回は、電車が5人にたどりつく前に重りを電車の前に落とし、電車を止めることができます

しかしそれができるのはレールの横に立っている太った男性です。彼を電車の前に突き落とせば、電車を止めて5人は死なずにすみます。どうするのが良いでしょう? 先ほどとの違いは、この場合人が亡くなるのに、あなたが自ら行動する必要があるというところです

功利主義では、犠牲者の数が決定要因になりますつまり、5人を救うため1人を犠牲にすることに価値があると考えるのです。一方で、人本主義の道徳的には異なります。レールの横にいる人には人権があります。その権利の一つが生きる権利で、それは人を救うための方法として使われるべきではありません。

 

2.ループした路線、最も大きなモラルジレンマのひとつ

モラルジレンマの枠の中で、「ループした線路」は先ほど紹介したものと似ています。この話では、線路が輪になっています。つまり何をしても電車は必ず出発地点に戻ってきます。

5人の人が線路に縛られています。あなたは、電車を違うルートに引き込むことができます。ここには、1人の人が繋がれています。その人は筋肉質で、5人の人が犠牲になる前に、電車を止めることができそうです。あなたならどうしますか?

最初の電車のジレンマの話では、2つのルートがありました。一方を通るか、もう一方を通るかです。避けられない道か、もう一方かです。この輪の線路では少し違って、慎重な考えを必要とする決断にせまられます。基本的には、1人が5人を救うための障害物として故意に使われるということになります。

モラルジレンマ

 

3.庭にいる人

ここでお話するモラルジレンマの3つ目は、「庭にいる人」です。状況は、最初の電車の話と同じです。ただ、今回は電車をそらす方法は脱線しかありません。結果的に、電車は庭に倒れることになり、そこには1人の人がハンモックで休んでいます。

つまり、あなたが電車を脱線させるのであれば、この状況とはまったく関係のない人が死ぬことになり、完全に外部的な決断により犠牲になります。これらすべてのモラルジレンマのポイントは、矛盾です。多数のためになることをするか、基本的権利に反し行動を起こすかのどちらかです

イギリス、オックスフォード大学のガイ・カハネによる研究では、人を救うために誰かに大きな損害をもたらすことに抵抗のない人は、反社会的だと示されています。さらに、このような人は人と向き合う時、あまり注意を向けず、その人を傷つけることをあまり考えないという結論が出されています。

Xibeca, G. (1995). Los dilemas morales. Un método para la educación en valores. Orientación, tutoría y psicopedagogía, 91.