考えの先走りを止めることはできるのか?

思考が先走ってしまうのを止める簡単な方法というのは存在しません。その代わり、思い浮かんだことを判断しないことにより、コントロールすることならできますよ。読み進めて、さらに詳しく見ていきましょう!
考えの先走りを止めることはできるのか?
Fátima Servián Franco

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Fátima Servián Franco.

最後の更新: 21 12月, 2022

人は、考えたくない、と望むことによってすでに思考してしまっています。そしてその後にはもうそれを止めるのがだいぶ難しくなってしまうのです。投薬によってこれを止めることもできますが、思考を止めることができないのであれば(あるいは少なくとも止めるのが難しいのであれば)、自分の考えを観察し、コントロールできるように試してみることならできますよ。

脳は覚醒している状態だと、思考や感情を生み出します。それらのうちの約90%以上が非意図的なものですが、時には思考や感情にとらわれてしまい、それらを自分が生み出したものだと誤って思い込んでしまうこともあります。しかしその2、3秒後にはまた別のことに注意は移っており、その思考は消えてしまうことが大半です。

注意力を精神的な対象に集中させてしまうと、大抵の場合、熟慮や不安に繋がってしまい、これが確証バイアスのような認知的なバイアスを生み出す可能性を高めてしまいます。確証バイアスとは、仮定や先入観、あるいは仮説などを確証する情報について、その正誤に関わらず粗探しをしてしまうような傾向のことを指します。

いくら頑張っても、経験しているものを変えることはできません。しかし、その戦いを終わらせることならば可能です。最近では、人々は生活のある側面に対処することにかなり慣れてきているため、これがほぼ自動的に行われるようになっています。思考がどのように頭に浮かんで来るのか知ることで、内なる葛藤を排除し、他者との関係性を改善することにつながります。

“感情は、風の強い日に空に浮かぶ雲のように、訪れては去って行く。意識的な呼吸が、私にとってよりどころとなる”

ティック・ナット・ハン

考えの先走り 止める

思考の先走りを止めるための回転すしのメタファー

黒い犬を想像してみてください。現実には、それはただの黒い犬です。しかし、あなたはあなた自身で特定の要素を加えてしまいます。もしかしたら、元恋人の犬に似た犬を想像しているかもしれません。そこから、その人と昔よく一緒に旅行していたことを懐かしがり始め、今でも一緒にいられたらいいのに、と願い始めてしまうのです。

そのような思考を止めるのは不可能ですが、それらをただ見ることなら可能です。これはつまり、思考にしがみつかずに受け流すという意味です。基本的には、思考が生まれては消えていくのを、それらを追いかけたりすでにそれらが持っている以上の勢いを持たせてしまうことなく、ただ見るだけにするということを目標にしてください。こちらのビデオは、回転寿司のメタファーについて説明するものです。何度も繰り返される無意味な思考に、”しがみつかない”ようにするヒントを教えてくれますよ。

さらに、これまでよりも思いやりを持つことによってでも、良くない出来事による影響を軽減させることが可能です。これは、困難な時に生じるネガティブな感情を打ち消す、という意味ではありません。そうではなく、その度合いを和らげるのです。

“不幸の一番の原因は、その状況ではなくそれに関する思考なのだ”

エックハルト・トール

思考は単なる思考であり、それ以上の意味は持たない

世界を知覚する時には、その人が何を考えているかがすでにその知覚に影響を与えています。自分の考えについて判断しないようにすれば、必ずそれまでよりも優しい世界観を持つことができるはずです。これにより、人生で歩んで行く道について、もっときっぱりと選択できるようになります。

次のことについて、少し考えてみてください。もし不愉快な状況について考え続けることになったら、あなたはどのような情報を脳に送るでしょうか?その情報について感情的に処理してしまうと、思考が歪められた微妙な立ち位置に追いやられてしまいます。

そして前述の通り、自動的に現れるネガティブな思考は止めることができません。なぜならこれらは認知の歪みの結果として現れることが多いからです。しかしその再発を抑えるために、どのようにこれらの思考が働くのかを特定し、理解することなら可能です。

“人間が感じる痛みの大部分は、不必要なものです。人生が観察されない考えによって支配されている限り、痛みは自発的に作られてしまいます。”

-エックハルト・トール-

考えの先走り 止めること

人が抱えている問題は、全て精神が作り出す幻想なのです。実際には何の問題も存在せず、あるのは直面せねばならない状況、あるいはそれらが変わるか自らコントロールできるようになるまで受け入れねばならない状況だけです。思考を止めることはできません。しかし、それらに見合う分の重要性を与えてやることならできるのです。

生活状況が人の心を進化させます。おそらく、「どの経験が私を成長させるのか、どうやったらわかるの?」と自身に問いかけていらっしゃるかもしれません。しかしその答えはシンプルです。一つ一つの場面があなたを成長させているのです。

“私の経験は、昔思っていたほど悪いものではないものばかりです。”

メアリー・ドリア・ラッセル


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  • Moix Queraltó, J. (2006). Las metáforas en la psicología cognitivo-conductual. Papeles del psicólogo27(2).

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