あなたはバド・セックスをご存知ですか?
バド・セックスとは、純粋な快楽だけを求めてヘテロセクシャルの男性間で行われるセックスのことを指す用語です。しかし、ホモセクシャルではない男性がバド・セックスをすることなど不可能である、と多くの人が考えるでしょう。
議論が起こるのは、このセックスを行う男性たちが、ヘテロであるという自らのセクシュアリティを変えるわけではない、という点に対してです。彼らにはパートナーや子どもがいる場合もあります。単に欲望を満足させるためにバド・セックスをするのだ、というのが彼らの言い分です。
バド・セックスとは?
バド・セックスという現象は、ノースウェスタン大学のトニー・シルバという社会学者による研究の結果として明るみに出ました。彼は、農村部の白人男性の間で行われるこの行為について分析しました。彼らによる証言から、シルバはバド・セックスについての特徴をいくつか確立させることができました。また、彼らにとってこの行為が何を意味するのかについても知ることができたのです。
トニー・シルバは、自らの目標はバド・セックスを研究し、それを文化、社会的文脈、場所、歴史的瞬間、そして個人的な解釈といった、性自認に影響を及ぼすいくつもの要因に関連づけることである、と説明しました。
彼が入手したデータによると、彼らはセックスパートナーを男らしさや人種、そして性自認に基づいて選んでいました。これはつまり、これらの男性の多くが、自分と同じ人種の中から他の’男らしい’ヘテロセクシャルの男性、あるいは実はバイセクシャルの男性を選んでいるということです。従って、彼らは別の男性と性行為をしているにも関わらず、自らの性的経験をヘテロセクシャルで男らしいものだと考えているのです。
バド・セックスの特徴
バド・セックスにはロマンチックさはありません。しかし、この行為に関わる男性同士の間にはある種の感情的な結びつきが生まれることも事実です。それは、彼らの関係が友情の元に成り立っているものだからです。実は、彼らは普段から趣味や女遊びを共に楽しんだり、政治的意見を交わし合うなどしているのです。従って、彼らにとってセックスは、その関係性における一要素に過ぎないのです。
“愛のない性行為は、決して2人の人間の間の溝を繋げることはできない、刹那的なものをのぞいて。”
–エーリヒ・フロム–
バド・セックスのもう一つの特徴は、秘密主義です。研究の参加者の多くが、自分たちのしていることを秘密にしておく必要がある、と認めていました。
バド・セックスを行う男性のほとんどがヘテロセクシャルであり、白人で、50歳以上、そして子どものいる既婚者でした。さらに、彼らは長い間、異性愛規範や男性的なルールを内に抱いてきました。彼らの大半が、異性愛以外の性的欲求を表現するのが困難だった時代を生きた人々だったのです。もっと言えば、彼らにとって男らしさとは、ジェンダーの固定観念に基づく女性らしさがない状態を意味しているのです。
同性愛を嫌悪する姿勢
男性同士で性行為を行なっているにも関わらず、バド・セックスを行う男性の大半が同性愛嫌悪者です。彼らは女々しい男性すら拒絶します。
この意味では、この同性愛を嫌悪する姿勢はジェンダーロールが元となったステレオタイプの思考が原因のようです。彼らは、女性の属性は劣っており、男らしさこそが価値のあるものだと信じ込んでいるのです。
まとめると、かつて達成することのできなかった性的欲求を満たすためにバド・セックスに走る男性が存在する、ということです。しかし、この行動を管理しているのは彼らのモラルや規範です。つまり、この行為の行い方や、セックスパートナーの男らしさなどの特性によって、彼らは自らの信条を再確認することができるのです。
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