あなたは体験回避障害ですか?

24 2月, 2019

精神障害とその治療法の分類は常に変化しています。第3世代療法の一モデルであるアクセプタンス&コミットメント・セラピーによると、精神的苦しみの多くは体験回避障害によって引き起こされていると言います。

体験回避障害の例はたくさんあります。体験回避障害は、この障害を持った人が望ましくないと思っている状況下で起こります。なので、その状況を回避したり、その状況から逃げたりすることによって、その状況に対処しなくてもいいようにしようとします。

しかし、不快感に対処したくない気持ち、あるいは不快感を受け入れるのではなくその気持ちから逃げたいという気持ちは障害ではありません。実際、これはどの動物にも見られる正常な反応です。ただ次のような凝り固まった思考があると、障害となります。

  • 「何かをするためには、いい気分がしなくちゃいけない。」
  • 「この仕事は私を不幸にしている。」
  • 「緊張してしまうのが耐えられない。こんなの終わりにしないといけない。」

これらはどれも息つく暇を与えてくれない不快感の根源です。

体験回避障害はどうやったら分かるの?

体験回避障害であると決定づけるものには以下のようなものがあります。

  • 「気分が悪い」「悲しい」「いい気分になろうと頑張る」といったことが軸になった思考や感情に常に襲われている。
  • 不快感や不確かさ、疑念を追いはらおうとする思考で頭がいっぱいになっている。
  • 日々の時間の多くをこうした思考を制御しようとするのに費やしている。
  • 自分の人生を取り戻す以前に、日常生活が「不快感を追いはらう」ことが中心となって回っている。自分は何もできないという気持ちを抱き始める。不快感が軸となった思考が消えるまでその気持ちは膨らむ。
  • 自分が価値を置いていること(例:子供と公園に行く、友人と時間を過ごす、浜辺を歩く)をする前に自分の気持ちが大丈夫になるまで待たなければならない。
とらわれた女性

体験回避障害の原因は?

体験回避障害の根っことなっているものは、不快感に対処する際に心理的に頑なな状態になっていることです。それが回避という形であれ、逃避という形であれです。この不適応性が体験回避障害を引き起こしています。この障害を持った人の人生は、痛みの感情や痛みを引き起こす思考を避けることを中心に回っています。

心理的に頑なな状態というのは、痛みを引き起こす思考や感情、記憶から自らを遮断するということです。そうした人達は柔軟性に欠けており、幸せと健康をもたらすはずの日々の活動をその状態で過ごすことになります。その不快感となるものが一つにしろ、たくさんあるにしろ関係ありません。この障害を持った人は何かを楽しむには「いい気分」でなければいけないという考えをもっています。

不安やうつといった既存の精神障害がある場合、この柔軟性に欠けた性質が悪い影響を及ぼします。不安やうつという不快感を受け入れず、人生を取り戻そうとしてその不快感を追いはらおうとすると2つの行く末が待っています。

  • 人生の軸を不快感に据えた上でその不快感を制御しようとすることは、ただその不快感を悪化させるだけです。私達の頭は働くことを止めないということを覚えておかなければいけません。決して消えない火にかけられている鍋のようなものです。悲しみや不安について考えることを止めようとすると、その考えをむしろ不快感という火を燃やす燃料として使ってしまうことになります。
  • 日々の生活を不快感との闘いにしてしまうことで、「目指す」ことができる良い生活の糧や達成感を減らしてしまいます。健康や幸せをもたらす活動をしなくなってしまいます。おまけに、人間関係も無視するようになり、不快感の中で孤立するようになります。

「いい気分」という罠

私達は、苦しみはできる限り遠ざけた上で、健康や幸せ、楽しいことを促進する社会に暮らしています。泣くこと、悲しみ、不安な気持ちは悪いものとして見ています。ですから、こうした気持ちや感情を一つでも体験すると、それに抗おうとします。

「いい気分でいる」ことを生活の主軸要素にしようとすればするほど、その罠に深くはまっていってしまいます。完璧な幸福・健康を探すという行為は、強い警戒心を抱かせる行為です。本来ならば正常な反応で適応することを目的とした負の感情に神経が集中してしまうのです。

自分の気持ちが良いか悪いかで思い悩むことで、不快な心理体験をもれなく拾い上げてしまうことになります。そうした体験に重要性を与えてしまっています。そうした悪い心理体験(思考や気持ち)を退けようとすることで、その体験をより強くしてしまっているのです。

悩む女性

体験回避障害になるとどうなるか

社会的な次元において、体験回避障害によって起こることは非常に重要です。映画に行くのに、友達と時間を過ごすのに、学校の後れを取り戻すのに、デートに行くのに・・・と無限にある活動をする前に、いい気分になるのを待たなければならなくなります。不快な心理体験を回避しようとする癖を身に付けてしまうのです。月日が経つにつれ、生活が完全に回避を中心に回っていくことになります。

そうして、なりたくない自分になるエキスパートになってしまうのです。自分の願望を、とりわけ回避しようとしているものを遠ざけることに定めてしまったわけです。そうなると、自分のアイデンティティと未来の展望は、大変弱いものになってしまいます。

体験回避は、不快感による症状を悪化させ、情緒を悪化させる以外の何物でもありません。だからこそ、(体験回避を克服するために作られた)アクセプタンス&コミットメント・セラピーは不快感を受容することを軸にしているのです。また、それは自分の価値観に基づいて目標を立てることでもあります。

体験回避障害の治療法

まず、この障害の解決策を受容に見つけることができます。これはつまり、自分の思考や感情、気持ちといった心理体験を批判の目で見ることなく、ありのままに観察することです。アクセプタンス&コミットメント・セラピーはその目標を達成するために、マインドフルネスや認知脱フュージョン、メタファーといった様々な方法を使います。

次に、体験回避障害の治療では、感情と向き合う時に個人の価値観の重要性に立ち戻ります。このセラピーに「コミットメント」という語が使われているのはそこからです。何があっても自分の価値観にコミットできるように後押しするのです。不快感との闘いを捨てるように後押しするのです。

解放される鳥

この障害と闘うことは難しく、困難な道のりです。ですが、思考の罠と凝り固まった信念から抜け出すにはしなくてはならないことです。このような思考や信念はいい気分になろうとして、結果、もっと気分が悪くなってしまうことです。個人の価値観を自分の生活の中心に置き、生きる上での不快感を受け入れることで、より解放され、より幸せになることができるでしょう。