朝に感じる悲しみ:なぜこのような感情が生じるの?
朝目覚めた時に最初に感じるのは悲しみだ、と訴える人が大勢います。一日の他のどの時間帯でもなく、朝にそれが襲ってくるというのです。中にはこの感情が特別深刻なケースがあり、うつ病の兆候としてそれが現れている場合もあります。ただ、その日が経過していくにつれて気分はマシになっていき、例えば夜には何の悲しみも感じていないかもしれません。
朝に感じるこの悲しみは、「モーニング・デプレッション」や「日中の気分変調」などとも呼ばれており、症状が出る時間帯が非常に限られているという点で、他の種類のうつ病とは異なります。日中の数時間の間だけ表出するというのが主な特徴です。
一部のケースでは、朝の悲しみがうつ病と直接関連しているわけではなく、その他の原因の結果として生じています。また、他のケースではそれが単なる朝だけに生じる一過性の悲しみではなく、もっと深刻な疾患の一症状である可能性もあります。
なぜ朝に悲しみを感じる?
科学で確証されている内容によれば、朝の間に悲しみを感じるのは基本的に次の三つの要因のうち少なくとも一つが原因です。それが、うつ病、不十分な睡眠、そしてアルコール飲料の消費です。
一つ目の要因に関して言うと、朝の悲しみあるいはモーニング・デプレッションは、うつ病の症状が一日の始まりに、つまり目覚めた直後により強くなる場合に生じます。この時患者は、何事にも関心が持てない、やる気が出ない、心が空っぽな感じがするなどの感情を抱えており、それが消え去ってくれません。しかし時間が進むにつれてそれらの症状が、完全に消えるということはないにしても、徐々に和らいでいく場合があるのです。
朝に悲しみを感じる別の理由として、夜間の睡眠の質が悪いことも挙げられます。少しは眠れたとしても、その休息は前日の疲れから身体を回復させるには十分でなかったのかもしれません。もしかしたら寝室が良質な睡眠を取るのに理想的な状態ではないのかもしれませんし、あるいは適切な睡眠を妨げるような健康上の問題がある人もいるでしょう。いずれにせよ、こういった事情があると朝の気分は最悪なはずです。
最後に、朝の悲しみは前日の午後、眠りにつく前にアルコールを飲んだことが原因で生じる場合もあります。最初、アルコールは人を落ち着かせる作用がありますが、のちに睡眠サイクルにも影響を与え、夜間の睡眠を妨げるのです。一方で、アルコールは神経系に対しても悪影響を与える恐れがあります。そうなると、翌朝憂うつになったり悲しみを感じたりするということです。
モーニング・デプレッション
朝の悲しみには様々な原因がありますが、最も厄介なのはこれがうつ病によって生じている場合です。この病気は何らかの精神疾患の兆候あるいは始まりである可能性があるため、専門家の診断を受ける必要があります。以下に挙げるのがモーニング・デプレッションの主な症状です。
- 呼吸がしづらい、あるいはベッドから起き上がれない。まぶたが重くなり、身体を動かすことが不可能のように思われます。
- 夜に入眠の問題がある、あるいは夜間に複数回目がさめる。これは身体が夜間に通常より多量のコルチゾールを生成しているサインかもしれません。そうなると、夜の不安感が増し、眠りにつくのが困難になります。
- 過眠症。明確な理由もなく、通常よりも多く眠りたくなってしまう人々がいます。100%ではありませんが、これは抑うつの一症状の可能性があります。
- 不規則な食習慣。特に夕食の食べ過ぎあるいは食べなさ過ぎは、気分が本来あるべき正常な状態になっていないことのサインかもしれません。
- 集中力の欠如。日常的なタスクに集中するのが難しく、あまりにもたくさんのことを一度にやろうとしたり、あるいはたとえシンプルなタスクであっても、始めたものを最後までやり終えることができないといった問題が生じる可能性があります。
- 苛立ちやフラストレーション。これらの感情は朝の間最も強まりますが、一日中続く場合があります。ただ、時間とともに弱まる傾向が高いようです。
- 普段好んで行なっている物事への関心が失せる、空虚感を感じる。
対策するには?
朝の悲しみが非常に強い、あるいは頻繁に起きる場合には、医師の元を訪れるのが賢明でしょう。うつ病に苦しむ人の5人に1人が、何らかの睡眠障害も抱えています。また、睡眠を阻害しているその他の病気を見つけてもらえるかもしれません。
夜に仕事をすることも、それが高度なストレスを生む場合は特に、朝の悲しみの原因になり得ます。このような条件下では、肉体と頭脳とが酷使されている可能性があり、その結果生じた不均衡が翌朝悲しみという形で表出するのです。
何かを不安に思っていたり、あるいは常に無関心で絶望しているという人には、心理学的なサポートが必要かもしれません。助けを求めるのが早ければ早いほど良いでしょう。この提案に加えて、寝る時間と起きる時間を毎日同じにする、といった良い睡眠習慣を育むことも大切です。このような習慣は、十分な休息を取るための助けにもなります。
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