腸管神経系:第二の脳

09 9月, 2019

腸管神経系は、「第二の脳」と考えられています。小脳や結腸など特定の部位を覆う一億以上の神経細胞がある複雑なネットワークです。さらに、これは脳自体から自立して働くことができます。

自律神経系のこの部分は、消化の過程を調節する役割を果たし、体内で最も興味深い部位と言えるでしょう。ここ数年、腸管神経系を第二の脳だとする研究が増えています。

この考えを支持しない科学的学派もあるということをここで言及しておく必要があるでしょう。マイケル・D・ガーション博士は、この分野でとても有名です。コロンビア大学の病理学部と細胞生物学部の学部長です。著書「セカンドブレイン」で、重要な発見について述べています。例えば、セロトニンの95%、ドーパミンの50%は、消化器系から生じていることなどです。

今年5月、オーストラリアのフリンダ―ス大学は、より目覚ましい発見をし、「ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス(神経科学誌)」 に掲載しました。その発見とは、腸管神経系は、電位活動を生み出すことができるというものです。とてもユニークで、脳とは異なる方法で行われます。

この構造を学ぶことにより、人間の仕組みに関して知らなかった面が明らかになるでしょう。

「腸管神経系の機能に関して私達がもつ知識は、中世のレベルにとどまっている。今こそ、それが私達にしてくれていることを見出す時である」

-マイケル・D・ガーション博士-

腸管神経系

 

腸管神経系:場所と機能

腸管神経系は非常に広範囲にわたります。食道から肛門まであります。消化器系全体であり、30フィートの長さがあります。前にも述べた通り、腸内と同じようにこの中には、多数の神経細胞があります。

他にも興味深いのは、特殊であることに加え、この部分は、自立的に機能することが可能であるということです。さらに、伝達は中枢神経系の助けを得て行われますが、脳自体に多くの情報を送ることができます。その他の実体と特徴を見ていきましょう。

腸管神経系は単なる消化の過程ではない

  • 腸管神経系には、細菌、ウイルス、神経伝達物質、神経細胞が何百万とありますこれらすべての要素が私達の健康状態を調整します。
  • この部位には、遠心性ニューロン、求心性ニューロン、介在ニューロンの3種類の神経細胞があります
  • 神経線維のプロセスを調整する神経伝達物質は、アセチルコリン、ノルアドレナリン、アドレナリンです。
  • さらに、神経系とおなじように、セロトニン、ドーパミン、痛みに対する麻薬様物質などを合成します。そのため、体の化学実験室と呼ばれます。
  • バーモント大学神経科学部のゲイリー・モーエ教授は、消化器官ほど、繊細で複雑なものはないと言います。また、腸管神経系が、食物を分解するのに最適な消化酵素を決めていることも頭に入れておきましょう。
  • 酸性度を監視し、腸の動きを促し、防衛レベルもチェックしています。
  • 摂取した食物に細菌が入っていないかを感知することも確認されています。また、そうであれば、下痢や嘔吐などのプロセスを誘発します。
細菌

 

脳、迷走神経、腸管神経系

腸管神経系が、中枢神経系から自立して機能することが可能だということは前にも書きました。これが特に素晴らしい理由をマイケル・D・ガーションが指摘しています。腸は、自立して機能できる体の唯一の器官です。

しかし、どこかで、脳との伝達は必要になります。これに関しては、迷走神経を通して伝達されているのです。

脳と腸管神経系の感情的伝達

デューク・バイオメディカル・エンジニアリング・スクールが行った研究で、脳と腸の伝達は10回中9回が脳発信だと分かっています。

  • 腸管神経系と脳のメッセージのひとつに、空腹または満腹だという信号を後者に送るというものがあります。これは、健康や満足感を生み出す一連のホルモンを調整することによって行われています。
  • 同様に、好きなものや気分を高めてくれる食物を摂取した時、これらの神経は、脳へ快感を与えます
  • ストレスを体感する時、腸管神経系はこの状態や生じた変化に対し、非常に敏感です。例えば、「お腹がねじれたような痛み」があると、腸管神経系はこのエリアの血流を増やします。
  • ここ数年、腸内の微生物が行動や感情にどう影響しているかを調べる調査が行われています。悪い細菌叢が気分に影響を及ぼすことが分かっています。しかし、仮定を支持するデータはまだ出ていません。
笑顔の女性

最後に、一つ加えておくべきことがあります。腸管神経系を「第二の脳」とすることは間違いだと考える科学者もいます。現時点でも、神経生物学的議論は行われていますが、十分実質的であると考える人もいます。

いずれにせよ、もう一つ詳細を述べる価値はあるでしょう。これら一連の神経線維は、「考える」のではなく、感じます。腸管神経系は、ストレスや感情に敏感であり、体の多数の機能を調整することができます。そのため、腸管神経系は、欠かすことのできないもう一つの指令センターなのです