抽象的思考とは?

抽象的思考とは何でしょう? 今回の記事では、抽象的思考の特性と機能、具体的思考との違いについてお話します。
抽象的思考とは?

最後の更新: 06 4月, 2021

抽象的思考について、おそらく一度や二度は聞いたことがあるでしょう。では、抽象的思考とは何かご存知ですか? 基本的には、現在の空間や瞬間には存在しない物事に関する思考のタイプを指します。また、抽象的思考は、日常生活および勉学や仕事における一般的な概念や原則に反映することができるものでもあります。

抽象的思考には利点があるのでしょうか? アムステルダム大学が行った2006年の研究では、人は抽象的に考えることができる時、より自分には力があると感じることが分かっています。ここから、抽象的思考は、限定的な具体的思考より好まれることがあると言えます。

具体的思考との違いやその目的、利点など、抽象的思考について詳しく知りたくありませんか? ぜひ続きを読んでみてください!

抽象的思考とその目的とは?

心理学辞典によると、抽象的思考とは、基本的で誰もが知っている性質を理解する力です。ある状況の様々な面を考え、予測し、未来のために計画し、体系的に考えて結論を導くのに役立ちます。今の空間と時間に基づいた逐語的思考を意味する具体的思考とは反対のものです

このタイプの思考は何のためにあるのでしょう? お分かりのように、抽象的思考により私達は、様々なアイデアや信念、外的および内的環境の両方の要素を繋ぐことができます。さらに、イノベーション、想像、創造、新しいアイデア、過去の経験からの学習、将来への熟考などにも役立ちます。

また、抽象的思考は、認知能力も構成します。より詳しく言うと、進化レベルで、人間が最後に取得する認知能力の一つなのです。難しい話はおいておき、抽象的思考についてもう少し掘り下げていきます。

抽象的思考

抽象的思考の特徴を見ていきましょう。

特徴

これらの特徴は、抽象的思考の機能、内容、形成に焦点が当てたものです。

簡単に言うと、抽象的思考とは次の通りです。

  • 現在にはない要素に焦点を当てる(現在の環境を超越する)
  • 想像、創造、イノベーションに役立つ
  • 内省的で深い思考を促す
  • 各状況での様々な意味を見出すのに役立つ
  • 興味深く抽象的なアイデアの創造を可能にする
  • 仮説演繹的思考である。言い換えると、実際に試すことなく、仮説を立てることができる
  • 柔軟性があり、決断を促す

抽象的思考への理解を深めるために、具体例を挙げましょう。これは、目の前にある物を超えて考えられる人のことです。つまり、例えばある特定の本について考えている人がいるとします。これは抽象的思考ではありません。同じ部屋や目の前にあるとは限らない複数の本を想像する時、抽象的思考が用いられるのです。

あるいは、以前に読んだことがある本、自分にとって大切な本、自分を表していると思う本について考えることもそうです。お分かりいただけたように、抽象的思考には、想像力が大きく関係します。画家が自分の絵に最も良い色は何かを考える時、作曲家が交響曲の終わりの音は何にするのがベストかを考える時、これも抽象的思考です。

他の例を見てみましょう。作詞家が曲に詞をつけるのに自分のアイデアを使ったり、数学者が結論を導くために数字を分析するのもそうです(物理学者がデータから意味のある関係を導くときの思考も同様です)。実は、現況を超えて考えることを必要とする状況の分析をする時、私達は日常的に抽象的思考を使っているのです。

いつ現れる?ピアジェの理論

スイスの認識論の専門家で生物学者であるジャン・ピアジェ(1896~1980)は、抽象的思考について語っています。特に、ピアジェは抽象的思考および推論は、発達の最後のステージ(形式的操作期)に現れるという理論を主張しました。実際、抽象的思考がこの進化的ステージに現れるため、ピアジェはこれを「形式的思考」と呼んでいます。

形式的操作期は11~15歳で始まり、大人になるまで続きます。このステージでは次の要素が欠かせません。

  • 仮説的推論
  • 抽象的推論
  • 体系的問題解決
  • 抽象的思考

ピアジェによると、このタイプの考えは、問題解決能力と論理と深く関係しています。これは、人間と動物を分ける人間の特有の性質です。

応用の仕方

抽象的思考を日常生活に応用することは可能でしょうか? その場合、どのような分野にできるのでしょうか? その答えは、個人の成長、精神性や抽象的分野で非常に有用です。

また、分析的推論には抽象的思考が必要なため、数学や科学においても役立ちます。あるトピックや知識を理解するためには、より実践的にするため、現実と結び付けることを忘れてはいけません。

抽象的思考

抽象的思考と具体的思考の違い

記事の最初で、具体的思考は抽象的思考の反対だと言いました。では、この2つの違いは何でしょう? 抽象的思考により、人は脳の情報を処理し、描写し、操作することができます。具体的思考も同様のことを行いますが、物質的世界にある物が伴います。

一方で、前にも説明した通り、抽象的思考は仮説演繹的です。つまり、実際に試すことなく仮説を立てることができます。具体的思考を用いる時、知識は質問となる現象の直接的な経験を通し形成されます(帰納的思考と呼ばれる)。

一方、抽象的思考は全般から詳細へと向かい、これにより、例えば原則や理論の形成が可能になります。一方で、詳細的思考は詳細から全般へと向かいます。そして、抽象的思考は柔軟性のある思考で、これにより私達は内省したり議論を行うことができます。反対に具体的思考は、有体で明確なものに基づいているため限定的です。

お分かりいただけたように、抽象的思考はあらゆるところで見られ、内省や論理などその他のタイプの思考を促すのに非常に有効です。収束的、発散的、実践的、理論的、逐語的思考など様々なタイプがあります。では、その中でどれが最も良い思考でしょう? 答えはすべてであり、どれでもありません。一番良いのは、自分が行おうとしているタスクに最も適したものになります。ここから、柔軟性が人間の認知の美徳であることが分かります。

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ジャン・ピアジェは子どもの認知発達の研究には欠かせない存在です。彼は生涯を子どもについての研究に捧げました。そして、発達の中にある秘密を調べる為に自身の子も研究対象としたのです。また、彼はレフ・ヴィゴツキーのように、構成主義の父の一人としても有名です。



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  • Piaget, J. (1986). Psicología evolutiva. Madrid: Editorial Paidós.