COVID-19サバイバー症候群:新たな現実

20 5月, 2020
親戚は亡くなってしまったのに、私はなぜコロナウイルスを克服したのだろう?他の人の病状は深刻なのに、なぜ私にはあまり症状が出ないのだろう?今、多くの人々が「COVID-19サバイバー症候群」と呼ばれるものに苦しんでいます。

現在のパンデミックに関連して、メンタルヘルスに関する問題の発生率が急速に上昇しています。今後数日間、そして数週間の間にどのような影響が出てくるのか正確に予測することは不可能であり、少しずつ一日一日こういった影響が現れてきます。これに関して、残念ながらかなりの広がりを見せつつあるのが、「COVID-19サバイバー症候群」です。

おそらくこれは多くの人々を驚かせる現象でしょう。誰かがコロナウイルスを打ち負かしたというニュースを聞くたびに、私たちは大きな喜びや希望のような感覚を味わいます。例えば、アルベルト・ベルッチという101歳でコロナウイルスから生還して退院し、家族の元に戻ることができた男性のケースが話題になりました。彼は自分は幸運だったと感じており、家族も大喜びしています。

しかし、誰もがこのように感じているわけではありません。実は、多くの人々が以下のように考えているのです。

  • 父は亡くなってしまったのになぜ私は生きているのだろう?
  • 兄は命を失ったのになぜ私は生き残ってしまったのか?
  • 他の人々は人工呼吸器を付けられているのになぜ私の症状は軽いのだろうか?

これに関しては、誰もがそれぞれ独自の問題を抱えていることを覚えておくことが重要です。こういった現実が存在していることに、私たちは気を配らねばなりません。さらに、ご自身が、あるいは知り合いの誰かが苦しんでいる場合にはためらわずに助けを求めましょう。まず理解すべきなのは、その苦しみは多くの似たような文脈で発生しがちな非常によく見られる「サバイバー症候群」というものであることを理解することです。

COVID-19サバイバー症候群

COVID-19サバイバー症候群

この私たちを取り巻く状況の中において極めて明白なのは、不安が心の中でマグマのように形成されつつあり、今にも外に噴火しそうな状態だと言うことです。しかし、誰もがこれを同じような形で感じたり表したりするわけではありません。

一部の人々は、夜間の睡眠がほとんど取れなくなりました。また、日中はベッドで過ごし、テレビを見たり食事したり、メッセージを送る以外のことがほとんどできない人々もいます。

一方で、過度に活動的になってしまう人々も出てきています。彼らにとって重要なのは、現在の状況についてあまり考えすぎずに済むように、頭を他のことでいっぱいにできるような活動を行うことなのです。また、不安障害に苦しんでいる人たちも、この驚くほど困難な状況に全力で対処しようとしています。

あらゆる形でこういった精神状態への影響が現れている中で、多くの人々がCOVID-19サバイバー症候群に苦しんでいます。

なぜ私が?

日々が過ぎ行く中、私たちは心に残り続けるようなストーリーを多数目にしています。これは、世界中の全員が苦しんでいるためです。パンデミックには国境はなく、国籍や社会階級など関係のないものだからなのです。

私たちの誰もが、価値のある不可欠な存在です。全員が必要とされているのです。そんな中、サバイバー症候群を抱える人々は様々な要因からこの苦しみを味わうことになります。

最も深刻なのが、愛する人を亡くした喪失感です。例えば、パートナーを新型コロナウイルスで失った人々がいます。さらに、親を亡くした子どもたちもいれば、逆に我が子を失った親たちもいるのです。

こういった状況では、怒りや混乱、そして罪悪感を感じてしまうのが非常によくあるケースです。私は平気だったのになぜ彼らは苦しまねばならなかったの?これが、彼らが常に自問してしまう問いかけなのです。一方で、病気になった同僚や失業者、あるいは先の見えない将来に直面している人々を思って気持ちが辛くなってしまうようなケースもあります。

また、コロナウイルスの生還者の一部も、この葛藤に囚われます。他の人々が体調を崩したり亡くなっていく様子を見ると、頭の中で疑問が湧き上がり現実感を失ってしまいます。

サバイバー症候群の再定義

こういった類の状況を経験すると、どうしてもサバイバー症候群にかかってしまいます。この症候群が発生するのはトラウマになるような出来事を経験した後です。それは戦争かもしれませんし、自然災害や交通事故、暴力行為、あるいはテロリストの攻撃などもあり得ます。こういった出来事は、多くの人々を罪悪感や苦痛、そして継続的なストレスといった精神状態に陥れるのです。

サバイバー症候群には、以下のような症状があります。

  • 苛立ちや気分のムラ
  • 不眠
  • モチベーションの欠如
  • 頭痛や筋肉の痛みなどの心身症
  • 現実から切り離されたような感覚
  • トラウマとなった出来事のフラッシュバックや記憶

COVID-19サバイバー症候群の場合も、同様の症状が現れると思われます。しかしおそらくここで最も厄介なのが、コロナウイルス危機は現在進行形で起こっている事態であるため、こういった負の感情を振り払うのが難しいという点でしょう。

COVID-19サバイバー症候群

罪悪感を感じてしまったらどうすればいいの?

まずは、こういった感情を抱いてしまうのは完全に正常なことだ、と理解しなければなりません。誰か親しい人を失ってしまった場合であればなおさらです。このような考え方をしてしまうのは当たり前なのです。今できる最善のことは、自らの感情全てを受け止め、ストレスを発散し、周囲の人の助けを借りて喪に服すことでしょう。

起こった現実を、罪悪感に支配されてしまうことなく受け入れることが絶対的に不可欠です。一方で、葛藤や空虚感、あるいは非現実的な感覚を和らげる一つの方法として、他の人々と交流して逃げ場を見つけるという手段もあります。

自らの価値観や人生の目標、優先事項を見直して自分自身を再び立て直さなければなりません。自分と近しい人々やサポートしてくれる友人たち、離れて暮らす家族などを気にかけて過ごすことも効果的です。

ルーティーンを確立し、自らの感情を受け入れ、新たな目標を設定することで、再び自分の人生に集中できるようになるはずです。自分の手ではどうにもできないことがこの世には存在しており、今はただそれらを受け入れるしかないのだ、と理解することが、心身ともに良好な状態を目指すためのカギとなります。