第一印象:あらゆる人間関係のスタート地点

第一印象:あらゆる人間関係のスタート地点
Adriana Díez

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Adriana Díez.

最後の更新: 21 12月, 2022

皆さんは、目の前にいる人物に対するイメージを固めるのがどれくらい早いか考えたことがありますか?あるいは一目見たときのイメージを、どうすればそんなに素早く感覚的なイメージに切り替えることができるか考えたことはありますか?自分の脳がほぼ自動的に周囲の人間を描写してしまっていることに気づいたことはありますか?これらは第一印象に伴う事柄のほんのいくつかに過ぎません。

バート・デッカーによってなされた研究で、私たちの脳は、誰かに対する第一印象を会ってからたった2秒間の間に形成してしまうことが証明されています。瞬きを1回する間に脳はその人のイメージの50%をもう作り上げてしまい、残りの50%も次の4分間で仕上がってしまうのです。この心の中のイメージは、今後その人とどう関わっていくかを左右していきます。なぜならたいていの場合、そのイメージはその後確固たるものになっていくからです。

私たちの言わんとしていることについて、シンプルな一例をお見せしましょう。たった今初めて会った相手に対してのイメージを作っていくときのことを少し想像してみてください。あなたはその人がフレンドリーだと感じるとします。そう思うのは、ほとんどの場合あなた自身もフレンドリーだったからである可能性が高いです。それを受けて相手もフレンドリーに接するのです。

フレンドリーではない相手だったとしても、次第にそうなっていく可能性はあります。第一印象を変えるのがそれほど難しいのには色々理由がありますが、とりわけ私たちの他人との関わり方は第一印象とともに始まるから、というのが大きいものです。

パズルのピースを手にする人々

私たちがどう第一印象を作り上げているのか理解するのは、とても興味深いことです。脳は無意識のうちに情報を満たそうとします。たとえなんの情報も得られなかったとしてもそうなのです。このことは、心理学者のナリーニ・アンバディが行った研究によって示されています。

彼女は、たった10秒間の教授の映ったビデオ映像が、学生たちにとって教授の第一印象を生み出すのに十分だったということを証明しました。それだけでなく、学生たちが抱いた平均的な第一印象は、その教授の授業に一学期まるまる参加した学生たちの抱いた第一印象とさほど違いはありませんでした。これは、脳がいかに短時間で人間に対するイメージを完成させられるかを示しています。

この結論の一つは、私たちの言語を介さない情報伝達や、周りに見られる外見がいかに重要かという点でしょう。初対面の瞬間に自分をどう体現するかによって大きな違いが生まれてくるのです。

「第一印象を与えるのに二度目のチャンスは決して存在しない。」

オスカー・ワイルド

社会や文化は第一印象にどう影響するのか?

社会や文化は、意識的にも無意識的にも私たちに影響を与えます。私たちを取り巻く全ての物事が、そしてそれらとともに生きてきた人生のストーリー全体が、脳内に蓄積されていく第一印象を決定づけていくのです。そして自分がそれを蓄積しているという事実を把握していないこともしばしばです。気づかぬうちに、その印象に見合った行動をとっているのです。

社会というのは、どう着飾ったりどう行動したりどう話したりすべきかを人々に訴えかけるものなので、誰かに対する第一印象を作り上げる時に用いられる基準も、同じようなものが土台となっているのです。彼らが社会的に良しとされている基準(あなたが良しとする基準、もしくはしない基準と一致していそうなもの)に見合っているのかがカギになってくるでしょう。

そういった基準から外れている人たちというのは他の人よりも注目を集めますし、それが第一印象の中でも突出した何かになり得ます。その場合は彼らに対してレッテルを貼るのもだいぶ早くなるでしょう。

こういったプロセスの多くが無意識のうちに行われるため、気づかぬうちにやってしまっているということになります。そのせいで、このプロセスに直接働きかけをするのが困難になのです。それでも、どのように第一印象が形作られるか把握して、それに対して懐疑的になることは可能です。信用できる部分だけは信用し、変更することも厭わないようにしましょう。そうすることで、新たな人間関係の構築にプラスになるため、人としてとても役立つ方法といえるでしょう。

女性の様々な表情

第一印象は正しいのか?

私たちは、第一印象や外見だけで決められる以上の存在です。私たち全員がもっとたくさんの個性を内に秘めており、全員が他人から時間をかけて知ってもらう価値を持っています。とは言え、ご覧いただいた通り、実は第一印象というのは数ヶ月後に抱く印象とかなり近い場合が多いのです。

しかし注意してほしいのが、これは教師と生徒のようなさほど深い関係ではない場合が多いということです。もっと親密な関係の場合、最初に受けるイメージは時間とともに何度も変化します。これはおそらく間違った印象を抱いていたせいかもしれませんし、単にその人が変わったからかもしれません。

第一印象を作り上げることに関して、私たちがいかに優れているかは研究で示されています。たった数秒間のうちに、人は他人に対する与えられてもいない情報を集めることができますし、それらの情報は正しいものなのです。

しかし正確にはここで何が起こっているのでしょうか?どう行動すべきかは社会によって決められてしまっているので、その社会が「正常」という線引きをしたエリア内で行動すればごく簡単に相手を欺くことができる、という考え方もあります。相手がどんな人物像を自分に期待しているのか事前に知ることができれば、それを作り上げるのは簡単なのです。

ですので第一印象というのはかなり良い場合が多いですが、それが正確なのは稀です。予想したり行動をとる際に役立つというのが第一印象の強みでしょう。しかし第一印象によって生まれた思い込みのせいで、相手をもっと深く知ろうとしなくなってしまうことが多い、という悪い面もあります。


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。