男性同士の輪:そのメリットとは?

2019年11月15日
頑なで保守的な男らしさの文脈では、弱さはあまり好ましく思われません。しかし男性同士の連帯のおかげで、多くの男性たちが初めて自身の感情や恐れ、ニーズなどについて語ることができるようになりました。従って、これには大きなセラピー的効能があるのです。

男性同士の集まりにより、大きな心理学的恩恵のある活動が作り出されています。実際、昔行われていたことを取り入れている人たちもいます。以前までは、キャンプファイアの周りに集まって語り合ったり、問題解決に取り組んだり、助言を求めたり、何かを学んだり、恐怖心をさらけ出したりするのは一般的なことでした。現在では、こういった集まりが、安心して他人の話を聞いたり自分のことを話したりできる初めての場所だと感じる人が多くいます。

全く知らない人同士が、サポートや親密な付き合いを求めたり不満や疑念を発し合うために一つの部屋あるいは森の中の一角に集まることを、奇妙で不自然だと感じる人もかなりの確率でいるでしょう。これは男性同士のグループに対してはなおさら当てはまります。それは、男性たちが自身の生活の深くて感情的な側面を他人、しかも知らない男性相手に共有するというのは極めて稀なことだからです。

我々の暮らす社会では、男性らしさというものが何十年間も非常に堅実で支配的なモデルとして見なされてきました。男性としてのアイデンティティを構築していく過程は、誰もが疑うことなく当てはめなければならない決まった枠に自信を押し込めていくようなものです。このような柔軟性のないスキームを与えられてしまうと、それに対する疑問や感情、あるいは弱さといった要素が入り込む余地がなくなるのは明らかです。

ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校の男性と男性らしさ研究センターの設立者でセンター長であるマイケル・キンメルは、幸運にも全てのこういった事態が変わりつつある、と指摘しています。最近では、男性らしさの定義は一つに留まらなくなっており、その言葉が示す範囲はあらゆるタイプのアイデンティティ、表現、そしてニーズが含まれるほどに広がっています。

男性同士 連帯 メリット

男性同士の集まり:その実態と目的とは?

国立統計研究所(NIE)は、毎年自殺に関するデータを提供しています。これは人々にこの話題について深く考えさせるようなデータです。そのうちの一つが、男性の自殺数は女性の自殺数よりも三倍多い、というものです。例えばスペインでは、自ら命を絶つことを選んだ人のうち75%が男性でした。同じようなことが、他の国々にも当てはまります。このことが示しているのは、ジェンダーという観点で言えば、最も悲劇的な死を選ぶ性別は男性である、ということになります。

また、世界保健機関(WHO)が行った自殺予防に関する報告でも、なぜこのような数の差が出るのかは説明できない、と指摘されています。原因がわからないのです。しかし、それを特定するための情報が少ないことだけはわかっています。そこで、ヒューストン大学の研究教授であるブレネー・ブラウン博士をはじめとしたこの分野の専門家たちは、男性たちが、自分は男として他人から多くのことを要求されている、というプレッシャーを多いに感じている事実を立証しました。

男性でいる、ということは常に力強さや支配力、成功、また高い自制心などを持つことと同等だ、と考えられてきました。しかし、失業や将来の展望のなさ、アイデンティティの問題や失敗へ対処できないことなどといった現実が、自分でも把握し切れない虚無を生み出してしまうことがよくあります。ほとんどの場合、男性に求められているジェンダーロールというのは彼らを孤独にさせてしまうようなものです。その結果、男性たちは素直に感情を出せず、弱さが怒りに変えられてしまうような世界に晒されてしまうこととなり、これがメンタルヘルスの問題を引き起こします。

男性同士 輪 メリット

男性たちの輪:つながりを得られる場所

現在、男性たちの輪は、男らしさという概念を変え、幾分和らげてくれるような理想的な機会であると考えられています。これは、あらゆる年代の、様々な社会的バックグラウンドを持つ男性たちが互いに集まるための場所です。ここで重要なのが、そのうちの一人としてその集まり以前に顔を合わせたことのある人はいない、という点でしょう。周知の事実ですが、時には全く知らない相手と話すことで、家族や友人たちにさえ共有できないような側面について伝えることができるのです。基本的に、これによって男性たちが自己表現するための安全な場所が確保できます。

“人間の中に、純粋な男性らしさあるいは女性らしさなどというものは心理学的な意味でも生物学的な意味でも見つけることはできない”

ジークムント・フロイト

現代社会では、常にある特定の行動や言葉が良くないものとされたり、槍玉に挙げられたりします。男性たちはこれによって被害を被っていると感じずにはいられないのです。ほとんどの場合、男性たちは強くあらねばならない、本当の感情は隠さねばならない、と教えられることによってこういった重荷のようなものを背負うこととなってしまいます。しかし、男性たちの輪の中では、心を開いて正直になり、他の男性たちから認められ、サポートを得ることができる安全な場所が提供されるのです。

こういった集まりや助け合いの目的とは?

男性たちの輪の目的は、ポジティブなものでもあり、挑戦的なものでもあります。その最終目標は、男性たちに感情面での成熟さや力強さを感じさせ、他人や自分自身の傷をどう癒すべきなのかを学んでもらうことです。これは個人的な成長に関する献身的な活動であると言えるでしょう。

こういった集まりから男性たちが得ることのできる影響や恩恵は以下のようなものです:

  • 批判されたりすることなく、敬意と共感を持つ他の男性たちから話を聞いてもらうことができる。
  • 自らの感情や気持ち、恐れ、痛ましい経験についてどう表現したり伝えるべきなのか学ぶことができる。
  • 自分自身のアイデンティティについて理解を深めることができる。
  • 助けを求めたり助言を求められるようになる。
  • 互いに助け合えるような友情を形成できる。
  • 弱さをさらけ出せるようになる。
  • 自信を高めることができる。
  • 生きる目的を明確にできる。
  • 自分自身あるいは他人に対する強い関わりを持つことができるようになる。責任感や尊敬の念を抱くことができるようになり、自らの感情やニーズをしっかりと持つことができるようになる。
  • 男性らしさという概念を、アップデートした価値観を持って捉えられるようになる。
男性同士 輪 メリット

男性たちの輪はどこで行われているのか?

こういった男性たちの集まりは、時代とともにさらに人気が高まってきています。中でも英国、オーストラリア、スペイン、北欧諸国などで盛んです。そしてアメリカでも、こういった類の伝統は常に行われてきました。例えば、マンカインドプロジェクトという非営利組織は30年以上に渡って男性たちのサポートや個人的な成長といった面への働きかけを行っています。事実、この組織は現在ほぼ全世界に支社を広げています。

最後に言っておかねばならないのが、こういった助け合いの場に参加してみたいと願う男性たちは、躊躇すべきではないということです。むしろ、そういった男性たちにはぜひこのような集まりに特化したセンターを訪ねてみることをお勧めします。時には、ほんの小さな決断の結果として大きくて重要な変化を手に入れることができるのです。

“弱さとは、イノベーションやクリエイティビティ、そして変革が生まれる場所だ”

-ブレネー・ブラウン-