男性のうつ病のサイン

15 12月, 2019
男性は感情を隠し、「強く」あることが期待される社会では、男性のうつ病を発見し、診断することが難しい場合があります。よく知られた一般的な症状とは異なることもあるため、男性のうつ病のサインを理解しておくことは大切です。

人間のもつ様々な感情には性差がありません。しかし、慢性的な悲しさや憂うつ感は女性にしかないと考える人も多いものです。うつ病は弱さの証拠であるという思い込みがあり、多くの人が弱さと女性とを結びつける間違った考えをもっているのです。

人々が心理学やメンタルヘルスの知識をたくさんもつ今日でさえ、うつ病の人たちはある種の偏見の目で見られがちです。そのため男性はうつ病を隠そうとしたり、悲しみを否定したりします。男性の平均寿命の低さ、自殺率の高さ、女性よりも病気になりやすい傾向などは、これが一因なのかもしれません。

「悲しみは獣ではなく、人間のために作られた。しかし憂うつを助長しすぎると、人間も獣同然になってしまうのだ。」

― ミゲル・デ・セルバンテス ―

こういった思い込みやステレオタイプが意味するのは、男性にはうつが異なる形で現れるということです。うつ病を発見したり診断したりするのが難しい場合があるのもこれが原因です。患者本人も自分がうつ病であることに気が付かないことも少なくありません。

男性のうつ病のサイン

ネガティブなセルフイメージ

自己効力感の低さや罪悪感、無力感なども男性にみられるうつ病のサインです。うつ病の男性は自分にとても厳しいことが多く、その結果として様々な状況に対処することができないように感じます。そのせいで挫折感や無価値感を感じてしまうのです。

一方で、男性は女性に比べて、自分のことを自習性があるとみなす傾向があります。男性には自立や自己決定、自由が必要なのです(Hankin, 2010; Liu and Alloy, 2010)。うつ病になると、そういった基準や要求が弱まります。理想通りに振る舞いたくても、そうする力が無いように感じ、上手くいかなくなってしまうのです。その結果、罪悪感を感じたり、非常に自己批判的になったりします

男性 うつ病

虚無感といつもと違う言動

うつ病の男性は、心に何かが欠けている感覚、つまり虚無感に苦しむ傾向があります。これはその男性が周りの人から隠そうとする深い喪失感に伴う場合がしばしばあります。

うつ病の男性は感情的に不安定なため、普段とは異なる言動をとるものです。今度はそのせいで状況に手が付けられなくなっていると感じ、そしてさらに無力感を感じるという悪循環に陥ってしまいます。

無感動、低い自尊心、悲しみなど、うつ病の症状の中には性差が全くないものもあります。

社会的、性的、職業的活動の増加

男性にみられるうつ病の重要な症状に、逃避的な行動があります。うつ病の男性は、仕事をしたり、遊びに出かけたり、セックスをしたりなどの活動量が増えることもあります。恋愛関係は表面的になり、パートナーを次々に乗り換える場合もあるかもしれません。

これはその男性が常に忙しくしていたいからです。そうすることで自分の考えや問題に集中する時間が減るのです。ベネットら(2005)はこの逃避的な手段には二つの目的があると信じています。

  • 認知:たくさんの心配事や悩み事を避けるために忙しくしている。
  • 感情:他のことをやって気を紛らわせることで、うつ病による虚無感を抑える。

自滅的行動と自殺

一般的に、深刻なうつ病を患う男性は自滅的行動や自殺を行う確率が高いとされています。

うつ病の男性が自分を傷つけるために用いる最も一般的な手段は、ドラッグやリスクの高いセックスです。男性がこういった行動をとるのは自分に対する怒りがあるためです。問題は、そのような感情が極端に走ると、自殺につながる場合もあるということです。

ネガティブな発言

男性が泣いたり悲しみを表現したりする姿はなかなか見かけません。男性の症状は女性に比べるとあからさまでないのです。男性がそういった感情を表現する方法のひとつは、世の中や自分自身のことを悲観的に話すことです。

自分の気分についてネガティブな言葉で話すことも、男性のうつ病を示す可能性があるサインです。

おそらく自分の感情をそのまま話すことはありませんが、あらゆることに対して懐疑的な態度を示すかもしれません。うつ病の男性は物事が悪化していくことや、将来に悪いことしか起こらないことなどを頻繁に口にするかもしれません。

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無感動、うつ病、将来への悲観

うつ病の男性にみられるもう一つのサインは、以前は好きだった活動への興味を失うことです。やがて、特に必要というわけでない活動すべてに対してどんどん無感動になります。以前は楽しかった物事を重荷に感じ始めるかもしれません。うつ病の男性は通常よりもよく眠ったり、テレビを何時間も見続けたり、思考や感情を避けるために何かをすることがあるかもしれません。

そのルーティンを止めるよう話してみると、彼らは苛立ちを見せるでしょう。もう一つのサインは、外見を気にかけなくなることです。「怠け」からひげを剃らなくなったり、自分の外見に注意を払わなくなったりすることがあります。

将来を悲観的に感じるのもうつ病の男性の一般的なサインです。自己の成長のための機会が足りないこと、自分の目的や目標に沿わない期待などについて常に心配しているかもしれません。これらのことがうつ病の男性に起こるのは、彼らが自分の問題や感情に対処するための個人資源を持ち合わせていないからです。

しかし、悲観的な考えは、絶え間なく心配することと、不確定な事柄に耐えられないことの組み合わせであると考える著者も多いものです。

最後に、男性のうつ病においてもっとも難しいのは、彼ら自身にそれを認識させることです。うつ病であると認めることに対する彼らの心理的な抵抗感は非常に強力です。時には、彼らに問題があると認めてもらうために、うつ病というレッテルを貼らないことが最適な方法である場合もあります。こうすることで、本人が専門家の助けを求める後押しをしやすくなります。