エーコーパーソナリティー障害:ボロボロになった自尊心

2019年1月17日

エーコーパーソナリティー障害とは、ギリシャ神話のナルキッソスとエーコーから名前を取っています。エーコーはヘーラーから罰を受けた森の妖精で、常に聞こえた会話の最後の言葉を繰り返さなくてはいけません。この神話上の人物は、自分の言葉を聞いてもらおうともがく現代人を象徴しているようです。多くの場合、自分に耳を傾けてもらうのがそれほど難しいのは、そばに自己陶酔者がいるからです。

心理学の最新用語のひとつが、エーコーイズム(echoism)です。この元となった言葉(エコー)を聞くと、聴覚的な問題関連の何かを思い浮かべるかもしれません。しかし、すでにお話ししたように、この用語は、美しい羊飼いの少年、ナルキッソスに恋をしたヘリコン山の妖精の名前から来ています。

ハーバード大学メディカル・スクールの心理学教授であるクレイグ・マルキン医師は、エーコーイズムという言葉を、著書の『Rethinking Narcissism: The Secret to Recognizing and Coping with Narcissists(ナルシシズムの再考:自己陶酔者を見分けて対処するための秘密)』で紹介した初めての人物です。この本が出版されたのち、科学界や一般の人は、この新しい人格の特徴に興味を抱くようになりました。

エーコーイズムの人は、他人に異常に依存して、自己陶酔者と不健全な関係を形成します。注目の的になるのを好まない、愛情深くて感情的に敏感な人です。自分のニーズを表現することを恐れます。エーコーパーソナリティー障害の人は、人の欲求や欲望を優先させます。周りにいる自己陶酔的な人からのプレッシャーのお陰で、受け身になりあまりアサーティブではありません。

叫び
エーコーパーソナリティー障害:起源と特徴

これから、この用語をもっと耳にすることになるでしょう。人々は、エーコーパーソナリティー障害に興味を持ち始めています。自己陶酔者が現代社会には多いからです。ドイツのルール大学ボーフムの研究員による研究では、FacebookなどのSNSがこれらを助長させていると示しています。

結果的に、多くの自己陶酔者がこういった人たちに影響を及ぼします。自己陶酔者の存在が、彼らのアイデンティティーや自尊心を制限します。一方で、エーコーの話をよく見てみると、独特の何かに気づくはずです。エーコーは、もともとアサーティブで会話の上手な人でした。素晴らしい機知のお陰で、話すたびにみな虜になりました。

その才能のお陰で、こっそり抜け出して他の女性と遊びに出かけたいゼウスは、ヘーラーを楽しませて気をそらせるようエーコーを利用します。ヘーラーがこれを知った時、エーコーの声を奪うことで彼女を罰しました。エーコーができるのは、他の人が言ったことを繰り返すことだけです。ナルキッソスに恋をして、この呪いのせいで彼に馬鹿にされたことから、エーコーの苦しみは激しさを増します。

この際、エーコーは深い絶望と悲しみに打ちのめされます。拒絶と屈辱は声を失うことよりも苦しいことでした。エーコーイズムは、この基本的な考えを体現しています。とても能力があり、強く、機知に富んだ人だったかもしれません。しかし、自己陶酔的な人の存在が、あなたを台無しにしてしまう力を及ぼして来ます。隠れて、エーコーのようにへリコン山の暗い山に逃げ込むようになります。

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エーコーパーソナリティー障害の人の特徴

エーコーパーソナリティー障害(EPD)は、低い自尊心と依存だけが問題ではありません。それよりも複雑です。

  • EPDの人は感情的に繊細
  • 他人の話を聞いて共感力を見せる。しかし、自分の欲求を他人と共有することに対して安心感や自信を感じられない。
  • EPDに苦しむ人は、自分の価値に感謝できず、自分の偉業を認めることがあまりない。
  • 他の人の邪魔になりたくないがゆえに率先しない。少しでも他人に問題を引き起こす可能性があれば、EPDの人はプロジェクトを断る。
  • EPDに苦しむ人は、自己陶酔的な親を持つ場合が多い。片方または両方の親が、感情的・個人的欲求をないがしろにしている可能性がある。
  • EPDを持つ人は自分の問題を理解し意識している。
  • 内面的な対立状態にある。自分を聞き入れてもらおうと努力し、境界線を設定して、欲求を明確にしようとする。しかし、自分の目標を達成することはあまりなく、継続的な内面的対立状態に陥る。
  • 自己陶酔的な人と感情的な関係を持つことが多い。どちらの人格もお互いに依存しあう。しかし、どちらもその関係に満足していない。

 

女性

心理的病気か

EPDは、心理的な病気ではありません。エーコーイズムは、不運な生き残りメカニズムから生まれた性質です。

EPDは、子ども時代に不安定な愛着を持っていたことが原因で起こります。子供時代にそばにいた自己陶酔的な人が、彼らの感情的欲求を埋もれさせてしまったのです。少しずつ、言葉を持たなくなり、沈黙に生きて、誰の邪魔にもならないようになります。自己陶酔的な人が利用して操作できるような人格になることを学んでいきます。

誰だって自分の洞窟から出てくることは可能です。例えばエーコーは、報復にネメシスを利用しました。しかし、そこまで極端になる必要はありません。結局、ナルキッソスの罰によって、エーコーの雄弁さが戻ってくる事はなかったのです。

自尊心に磨きをかけることこそ、必要なことです。自分を見てもらって、声を出して、要求を表現して、他人から愛情を受ける価値があなたにはあります。たまにはナルキッソスのように、自分の姿を見てどれだけ自分に価値があるかを知るのも悪くはないですよ。