エピジェネティクス:悲劇は継承するのか?

2019年9月6日
何世代にもわたって行われているこれらの研究は、悲劇をどのように受け継いでいくのか示しています。

多くの世代が困難を経験しています。その中には戦争、飢餓、ジェノサイド、または厳しい経済危機などが挙げられます。これらの状況下で人々が受ける可能性のある身体的および心理的な悪影響についてはよく知られていますが、果たしてこれらの悲劇は、世代を超えて引き継がれるのでしょうか?

これらのネガティブな経験は、患者に遺伝的痕跡を残し、次世代に伝わる可能性があるのです。動物による実験ではそれが証明されました。

しかし、人間に関する研究は非倫理的なため、悲劇をどういった理由で、どのような形で引き継いでいるのかを明らかにすることは非常に難しいのです。

エピジェネティクス 悲劇は継承するのか?

最初のアクセスルート:社会心理学

人間の研究において最も注目されているのは社会心理学の分野での大規模な実験です。結果は非常にはっきりしていました。何世代にもわたって行われてきたこの研究により、動物と同様人間も悲劇を受け継いでいると証明されたのです。

社会心理学の研究だけでは影響を受ける遺伝子を特定することはできませんが、性別によってその遺伝にパターンがあることが判明しました。これは、心理学、社会学、遺伝学において革命的な発見でした。

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フィンランドと第二次世界大戦

ウプサラ大学のトルステン・サンタヴィラタ博士は、第二次世界大戦中にフィンランドから避難した子供の子孫は、それを経験しなかった子供の子孫よりも心理的問題を抱えており、入院率が高いことを発見しました。

また、研究では、これは女子にのみ影響することが示されました。この特異性は、精神疾患が少年よりも少女に多く見られるという事実に起因する可能性があります。しかしそれでも、偶然の一致は驚くべきものでした。

「次世代に伝わる精神医学的リスクは大きく、子どもの保護政策の際に潜在的なリスクを考慮する必要があります。」

-トルステン・サンタヴィラタ博士-

南部連合国軍の兵士

ジョージア州の捕虜収容所にいた南軍兵士の子孫に関する研究では、フィンランドで行われたものといくつかの類似点があります。

生き残った囚人の子供たちは、投獄されなかった他の退役軍人の子供たちよりも寿命が短かったのです。同じ親から生まれたのに、戦前に生まれた年上の兄弟よりも早く死ぬ子供たちもいました。これは、子供たちが両親のトラウマを受け継いだ可能性があることを意味します。

「遺伝的継承、文化的継承、知識の継承などよく知られた方法により、人間特性の世代間移行が見られる可能性があります。」

-ニール・ヨンソン-

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ホロコースト犠牲者の孫

ニューヨークのシナイ山病院センターは、強制収容所にいたユダヤ人のグループの遺伝子構成を研究し、それを彼らの子供たちと比較しました。

この研究は、ストレスホルモンを調節する特定の遺伝子に焦点を合わせました。その結果、生存者とその子供の遺伝子は、受け継がれたトラウマの影響を受けていたことがわかりました。第二世代の子どもたちが自分の心的外傷体験により、遺伝子が変わった可能性を除外するために、他にも結果を裏付けるための研究が行われました。

奇妙な性別の区別

これらの研究には説明できない側面もあります。フィンランドの研究では、トラウマは女性だけに伝わっていましたが、戦争の捕虜の場合は反対でした。トラウマは男性の子供たちに多く受け継がれたのです。

これらの研究は、身体的および精神的健康における新しい視点からのアプローチとして注目を集めています。私たち人間は、先祖が抱えていた困難を実際に受け継ぐ可能性があります。ただし、現在はまだ明らかになっていることよりも、疑問の方が多いようです。