FOBU − 恋人と破局する恐怖

FOBU − 恋人と破局する恐怖
Gema Sánchez Cuevas

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Gema Sánchez Cuevas.

最後の更新: 22 5月, 2019

恋愛関係において、幸福よりも苦痛を感じることの方が多いなら、あるいは愛が単に尽きてしまったなら、最も論理的なのは関係を終わらせて次のページへ進むことです。もちろん、それがいつでも簡単にできるわけではありません。ただ別れることを考えるだけで人は本物の恐怖を感じてしまうのです。こういった人々が苦しんでいるのはFOBUとして知られる、恋人と破局する恐怖です。

FOBUは英語のFear Of Breaking Upの略語です(恋愛関係を終わらせることに対する恐怖)。これはあらゆる世代・地位の人々に見られる行動パターンです。しかし、ミレニアル世代ジェネレーションYと言われる世代のように、他の世代よりもこの現象の影響を受けやすい人々がいることも事実です。

ティンダーやワッツアップ、インスタグラムといったアプリが、恋愛関連のやり取りのために使われ始めた新しいプラットフォームの例です。実は、一度も直接顔を合わせたことがないカップルが何千組も存在するのです。

物理的なコミュニケーションがないというのは諸刃の剣です。一方では打撃を和らげることにつながりますが、他方ではこれにより若者たちはもっと傷つきやすくなってしまうのです。彼らは、重大なトラウマに立ち向かうまでに、親や祖父母の世代よりも長い時間を必要とします。これらは適切な知能と感情の発達において欠かせないものです。だからこそこの世代の人々はよりFOBUの苦しみの影響を受けやすいのです。

“成功したからといってそれがゴールではないし失敗したからといってもう取り返しがつかないというわけでもない。重要なのはやり続ける勇気だ”

-ウィンストン・チャーチル-

なぜFOBUが起こるのか?

FOBUは主に低い自尊心や一人になる恐怖や、基本的には、再び一からやり直すことへの恐怖が原因で起こります。有害な恋愛関係に囚われていると感じている場合、たとえ苦しんでいる時であっても、どんな形であれ自立を試みるにはかなりの労力を要するのです。もしその関係が長い間続いてきたものだったなら、それを終わらせることはつまり抜本的な変化を意味します。

慣れ親しんだルーティーンは、私たちをほろ苦くも快適なゾーンに留まらせます。もし恋人の家族や友人たちとも親密な関係を築いているなら、破局することを考えるのはとても胸が痛むことでしょう。恐怖の中には彼らにどう思われるか出会ったり、道端ですれ違った時にどんな顔をされるだろうかという不安も含まれています。また、シンプルにかなり親しくなった人々との関わりが失われてしまうという恐れもあるのです。

恋人と破局する恐怖
交際関係が終わった時、その決断をした方はたいていその痛みや原因に対して責任感を感じたり罪悪感を感じたりしてしまいます。誰のことも傷つけたくはないけれど自分が刑罰の実行者のように感じ、代わりに自らを数週間に渡って罰するのです。また、苦しみを味わうだろうことも理解しており、それがさらに恐怖心を募らせます。その問題に対してどう向き合えばいいのかわからないので、生活は疑念と重荷の連鎖となってしまうのです。

FOBUを引き起こすもう一つの大きな原因が、シンプルに一人で生きていく方法がわからないというものです。生活の中で他人の存在や彼らの同意を必要とする人々がいるのです。そのせいで破局を考えることすら不可能になってしまいます。もうその人とは付き合っていたくないという分かりきった事実を認めるよりも、不幸せで惨めな生活を送る方がまだマシだと感じてしまうのです。

どうすればFOBUを乗り越えられる?

FOBUを克服する唯一の方法は、その状況にしっかり向き合うことです。その勇気を出すのはとても難しいことですが、それが自分自身の幸せのためのただ一つの手段なのです。幸せよりも苦痛の方が大きいような状態にとどまり続けるのは無駄なことです。

もし関係性は健全で本物だったとしても愛の炎が燃え尽きてしまったなら、正直に相手と話し合うのが論理的です。もう愛してはいないとしても、過去には愛した人だということを忘れないでください。つまり、その人には最大限の敬意を払わなければならないのです。まだ愛が残っているかのように信じさせて相手を騙すのは、とても自己本位的なだけでなく卑怯なやり方です。

もし関係性が有害で依存しあうようなものなら、メンタルヘルスのことを考えれば別れることを最優先させるべきです。人には、尊敬され、価値を見出され、同じ気持ちを抱きあっている相手から愛される権利があるのです。苦しみや痛みのある状況に自分自身を陥れても、自尊心を蝕み、袋小路に陥ってしまうだけです

依存しあう関係は健全ではない

何れにせよ、疑念や後悔はいつまでもついて回ることは頭に入れておいてください。人生には変化が訪れるものであり、様々なことを懐かしく思ったり、特に昔付き合っていた人を、それが不健全な関係性だったとしても、恋しく思ってしまうでしょう。寂しさを感じ、元恋人とよりを戻すという考えに至ってしまうことさえありえます。しかし、それは心からの願いではなくルーティーンが失われてしまったことへの嘆きにすぎません。

専門家に話を聞く

一人になる恐怖や恋人と別れる恐怖が異常なほど悪影響を及ぼし始めたと感じているなら、専門家に相談するべきです。もしかしたら何らかのトラウマ性の出来事によって引き起こされた病状が悪化してきているのかもしれません。例えば、それ以前に経験した別れが原因であったり、あるいは自尊心の問題に働きかける必要があるかもしれません。

こういった場合、自分自身に敬意を払い、自分の価値を知ることが必要不可欠です。もはやあなたを満たしてはくれないことをどう終わらせればよいか知るために、自分自身を十分に愛してあげましょう。 他人の考えは関係ありません。

覚悟を決め、行動に移しましょう

自分がFOBUの犠牲者だと気づいているならば、これ以上待つのはやめにしてください。この恐怖はあなたをさらに陥れ、決断できなくさせてしまうでしょう。

そして、ようやく関係を終わらせるという決断ができたとしても、相手のリアクションがあまり良くない可能性があることを覚えておいてください。それは相手の心を傷つけてしまったから、あるいはなんとしてでもあなたを支配下に留まらせておきたいからのどちらかが理由です。一番大切なのは、自分の身はあなた自身で守るということです。特に理由が二つ目の場合はなおさらです。


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。