『8月の家族たち』:家族と心理的な影響

『8月の家族たち』:家族と心理的な影響
Sergio De Dios González

によってレビューと承認されています。 心理学者 Sergio De Dios González.

によって書かれた Sonia Budner

最後の更新: 21 12月, 2022

多くのケースで、家族というのは幼少時代を超えてなお影響を及ぼす起点です。こういった意味で、『8月の家族たち』はただののどかな家族以上のものを描き出しています。

外からは完璧に見える家族ですが、内にいる人間はそうとは思っていません。登場人物は、愛といらだち、嫉妬、競争心で溢れる冷たい環境の中で身動きが取れなくなったように感じています。

『8月の家族たち』の概要

家長が自殺を図ったのち、彼の妻は3人の娘に家に戻って葬式に出るように電話します。3人の娘にとって、帰郷は対立と過去の怒りを掘り返すきっかけになります。

娘たちの父親は何年も失踪しており、母親は麻薬中毒者です。彼らの結婚生活は破滅的なものでした。唯一父親がしてきたのは、母親の要求や不満を満たすことでした。しかし母親は、旦那に正当に扱われてないと思い込んでいます。何年も前に浮気をされたことで、母親は父親に罰を与え続けているのです。この浮気によって子どもが生まれ、このことは家族の秘密として守られています。

両親とも貧しい家の出で、親からの虐待に苦しみました。どちらも人生の辛さに慣れきってしまった人達だったのです。努力をして乗り越えたことを2人とも誇りに思っていました。

しかし、自分の欲求を娘たちに投影してしまい、さらにどの娘もその期待に応えることはありません。母親は、娘たちに対して深い軽蔑を抱いていて、彼女達の人生の決断に常に疑問を投げかけます。

受動攻撃的な母親

母親は自己陶酔的なひとです。自分の娘の間違いばかりに目が行きます。さらに、自分にはなかった機会を娘が得ていることに対して彼女たちを非難します。この母親は操作的で、自分の望むように事がいかないと極端で大げさに反応します。

母親は、すべての人と競っているように感じています。娘たちから得た情報を逆手にとって利用します。ネガティブなコメントに絡めてポジティブなことを言ってくることもあります。

母親は、自分の娘が自分たちの好きなように生きているのを見て攻撃されたように感じている、曲がった性格の女性です。家に帰って来させるためには何でもして、「母親に対する義務」を感じさせようとします。自分には何もなかったことを何度も口にして、恵まれた人生を送る娘たちを嫌な気分にさせます。

長女

長女は、妹たちまたは両親の間の家族の危機に置ける仲介者です。かなりコントロールしてしまうタイプで、これによって離婚した夫との間にたくさんの問題を生み出します。しかし、家族は彼女の離婚を誰も知りません。

元夫も娘も彼女に愛情を感じるものの、彼女の気が緩まることがないという事実を息苦しく感じていました。この長女は内面的な問題を抱え、親の失敗を繰り返したくないと考えています。

次女

この映画の次女は、両親の世話役です。結婚もせず、親の面倒を見る以外あまり何もしてきていません。これによって、両親や姉妹に対して微妙な感情を抱くようになります。そして、誰も存在を知らない 半いとこと奇妙な関係を保っています。

母親は次女が面倒を見てくれることはありがたく思っています。しかし、常に彼女に当たってしまいます。さらに、女性らしくない見た目のせいで自分の家族を持てなかったと次女を責めます。さらに、母親は次女を馬鹿にします。次女は他人と関係を構築することができず、回避性パーソナリティ障害を発症しているように見えます。

末の娘

末の娘は完全に迷子です。みんなを喜ばせて認められたいだけの子供っぽくてか弱い女性です。大人になってからは次から次へと交際相手を変え、自分のことを正当に扱わない男性とお付き合いを重ねてきました。

末の娘は、感情的に依存した人間です。自分がどれだけ「幸せ」で、交際関係が完璧でのどかであると母親にアピールします。しかし、家族は彼女の彼氏を「今年の交際相手」としか見ていません。映画内の情報だけでは判断しづらいですが、 精神的に大人になり切れていないようです。

食事

パターン

この3人の娘たちは、権威主義的な環境で育っています。両親は子どもたちに愛情を与えることはありませんでした。子どもの人生に厳しい制御を敷いてきました。この環境にどの娘も違う方法で対処してきましたが、みな屈折した愛着のようなものを持っています。

しかし、家族の問題が出てきたときは、否定に走ってしまいます。これによって、偽りの家族環境を作り出してしまいます。生きるために一人一人が防衛メカニズムを発動してしまうのです。端的に言えば、外から見れば「ふつうの」家庭環境であるのに、実際は機能不全なのです。

このお話はただの映画ですが、家族がどれだけ心理的に影響を及ぼすかということを良く表わしています。

数か月前、カステリョンの管区病院がトレーニングの講習としてこの映画を分析しました。 治療的な観点から各問題を深掘りします。多くの人はこのような家庭のルールに共感したようです。このような環境に置かれた人の心理的な健康状態や、大人になってからの彼らの周りにいる人のためにも、もっと研究がなされるべき分野ではないでしょうか。


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