母親の痛みと共に生きることは子供にとって辛いこと

母親の痛みと共に生きることは子供にとって辛いこと

最後の更新: 22 1月, 2018

お母さん、あなたを失いたくないんです。どうしても。そんなの嫌なんです。だから、自分のことをいたわって欲しいんです。諦めるんじゃなくて、闘い続けて欲しいんです。笑顔を失わないで。毎日優しく話して。輝き続けていて。本当の自分を守って。

だから、絶対に諦めないでとお願いしているんです、お母さん。たとえ、1001回目の戦いに対峙しなければいけなかったとしても。私の背中を頼って下さい。私の背筋は最も純粋で、深くて、永遠に続く愛でできていますから。私が責任を持てる、命を捧げられる愛でできていますから。

一緒に前進して、私達の間にはだかり、人生の道にはだかろうとするあらゆる障害を乗り越えましょう。だから、お母さん、絶対に私を置いて行かないでとお願いしているんです。そして、強くいてとお願いしているんです。この世で私達の旅が続く限り、あなたのことを気にかけ、あなたの側にいることを約束します。

人生というシンプルなルールによって、あなたの存在なしに生きていかないといけなくなる可能性があることを私は自覚しています。でも、あなたがいつだって私の中にい続けることを約束します。なぜなら、私の人生はあなたがいなければ、存在し得なかったのですから。でも、それは私の恐怖を和らげてはくれません・・・

「母親が持つ最大の欠陥は、やっと母親がしてきてくれたことに対して恩返しができるようになる前に死んでしまうことである。そして、私達は無力に感じ、罪悪感を感じ、必然的に孤児のように感じるのだ。幸い、母親は一人しか存在しない。母親を二度も失う痛みに耐えられる者など存在しないからだ。」
-イサベル・アジェンデ

白い服の母娘

母親の痛みと共に生きること、子供にとっての辛いプロセス

私達のインナーチャイルドはお化けや暗闇なんか怖くありません。ましてや、知らない人やカオスも恐れることはありません。インナーチャイルドが恐れていることは、愛着の対象である自分に関係した人を失うことなのです。そうした彼らの匂いを思い出せなくなってしまうこと、自分の目に彼らの髪が映らなくなってしまうこと、自分の心臓が彼らの温かみを感じられなくなってしまうことを恐れるのです。

人生を通して、女性は多数の役割を担います。母親、娘、彼女、パートナー、女など様々です。そのため、女性は終わりの見えない優先事項をたくさん抱える時を迎えてしまいます。単に女性だからという理由で女性に特定の義務を課す社会に生きているということを念頭に置くと、こうした役割をほどいていくことはとても複雑なことです。

私達は、女性の人生がもたらす生命に関わる独特の困難に加え、母親という役割の上に社会が押し付ける苦しむ女性という役割を付け足してしまっています。そうして、私達は命を授けてくれた人を多大に苦しめる極めて起爆性の高い状態を手にしてしまうのです。

ヨガする母娘

私達が目にする母親の痛みは、子供である私達にとって非常に破壊力のあるものです。私達は母親を弱っていく戦士として捉えてしまうのです。そして、この辛いプロセスのために、ある時点で自分の子供としての役割を逆転させて、「母親の母親・父親」として振る舞うようになることが避けられなくなります。この役割を担うことで、私達は母親を守り、母親が苦しむことを防ごうとするのです。

自分の子供がブランコから落ちてしまうのではないかと恐れる「初心者の親」になるのです。ですから、子供として、私達は保護者にならなければいけません。傷ついた人の生命的慣性を戻す機動力として動くのです。そして、女性の世界、具体的には母性の世界に存在する強大な力を実現させるのです。

同様の体験をしてきた人は誰であれ、こうしたことに対処することは簡単ではないことを知っています。しかし、こうした経験は間違いなく私達に情緒的な成長と発達への道を数歩進ませてくれます。母親の脆弱さを感じる時に母親を守るという情緒的な義務は私達に気付きを与えてくれます。それ自体でとても強力な気付きです。と同時に、それは少なくとも一時的に私達の心の均衡を疲弊させ、傷つけ、壊します。

なぜなら、自分の母親を失う覚悟はいつになってもできないからです。その結果、もう一歩深く踏み込むことのできる自分にさせてくれる偉大な力を自分の中に発見します。そうしてあなたは傷を負った母の傷を癒すことができる天使になるのです。そうすると、自分の内面の世界で何か素晴らしいことが起こります。インナーチャイルドの温かな眼差しが大人の良識と共に生きることを学ぶからです。そして、それは間違いなく、成熟への更なる一歩なのです。


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。