平穏と落着きの神経伝達物質:セロトニン

落ち着き、気分を楽にしたいと思う時、遠くを見る必要はありません。今回ご紹介する神経伝達物質は、あなたの内なる平穏に大きく関係しています。
平穏と落着きの神経伝達物質:セロトニン

最後の更新: 23 11月, 2020

平穏や落ち着きと聞くと、おそらく休息、開放的な心や優しさを思い浮かべるのではないでしょうか。一方で田園詩の一節のような、どこか手の届かない場所のように感じるかもしれません。実は、正しいツールがあれば、今すぐに平穏な場へ到達することは可能なのです。

まず、現実世界では、多くの人が日々のストレスによりコルチゾール値が上がっているということを頭にいれておきましょう。刺激の多い混沌とした環境に適応しようと、副腎が必至に働いているのです

そこで、ストレスを和らげ落ち着けるよう、体はセロトニンという物質を生成します。

この神経伝達物質は、中枢神経系と消化器官にある特定の細胞で作られます。セロトニンには様々な機能があり、その多くが健康や幸福、平穏と関係します。健康や幸福感において重要な役割を果たすため、「幸せホルモン」とも呼ばれます。

神経伝達物質 セロトニン

セロトニンにノーベル平和賞を!

中枢神経系においてセロトニンは、怒りを抑え攻撃性を抑制するのに重要な役割を果たします。そのため、この物質はたくさんの争いや口論の防止に役立っていると言うことができます。

セロトニン値が上昇すると、リラックスすることができ、幸福感、自尊心や集中力、モチベーションが高まります。非常に心地よくなり、平穏や落ち着きがもたらされるのです。

セロトニンは脳内で不安を調整し、気分をより良くし、幸せを感じさせます。また、生活の中で起こる物事をより良いものに見せてくれます。

セロトニンには主に次のような働きがあります。

  • 食欲調整(満腹感をあたえる)
  • 性欲の調整
  • 体温調整
  • 運動活動性
  • 知覚・認知機能

さらに、ドーパミンやノルアドレナリンなどの有名な神経伝達物質の働きを和らげる効果もあります。後者は不安や恐怖、攻撃性、摂食障害、依存症を発生させる可能性のあるものです。

セロトニンは胃腸の中に多くあり、消化機能を助けます。さらに、吐き気の調整も担います。セロトニン値が高まると、(下痢などにより)腸内の有毒物質の除去が促され、吐き気を司る脳の部位が刺激されます。

また、セロトニンは血管収縮にも役立ち、血中の血小板がセロトニンを放出し、血液凝固を起こして傷を治すのに一躍かっています。

セロトニンと睡眠周期

人を活性化させ、警戒状態にするコルチゾール値は、夜になると自然と低下します。これにより、セロトニンに負のフィードバックが起こり、睡眠ホルモンメラトニンが分泌され始めます。メラトニンの生成や睡眠周期は松果体が司ります。

太陽が昇ると、副腎は燃料となるコルチゾールを放出し始め、起きて1日を始める準備を整えます。これにより、セロトニンのメラトニンへの変容は行われなくなり、セロトニンは後退します。

また、セロトニン体内時計は、睡眠周期の生物学的機能を司ります。体温、コルチゾールの放出、メラトニンの生成などを調整します。すべてのバランスが整った時、眠りは深くなり、充分に体を休め、新しい1日へ備えるのです。

セロトニンが低下すると平穏や落ち着きが壊される?

男性は女性と比べ、最大50%多くセロトニンを生成します。そのため、女性はセロトニン値の変化により敏感です。エストロゲンとプロゲステロンはセロトニンと関連しています。卵巣のエストロゲンやプロゲステロンの生成量が多い女性は、セロトニン量も多くなり、ストレス耐性が高くなります。

また、エストロゲンやプロゲステロンが少ない女性は、セロトニン量も少なくなります。そのため、特に月経周期の初めに、敵意、苛立ち、落ち込み、怒りを感じやすくなります。

ストレス、血糖値、ホルモンの変化はすべて、セロトニンに影響します。そしてセロトニン値は気分に現れます。セロトニン値が低い場合、攻撃性、朝の気分不良、不安、落ち込みなどが見られます。また、低いセロトニン値は血管の拡張にもつながるため、片頭痛の原因にもなります

セロトニン値低下の原因

低いセロトニン値は、うつ病の人に顕著に現れます(ネガティブな思考、不快感など)。繊維筋痛症の人もまたセロトニン値が低く、痛みを感じる原因にもなっています。また、セロトニン値は、睡眠障害にも影響します。

学習障害や記憶や集中に障害がある人も、セロトニン値が低いことがあります。セロトニンの不足は、性欲や食欲の変化にもつながります。また、甘いものを欲したり、頻繁に食べたくなることもあります。

足りないものや人が自分をどう思うかを考える負の思考は破壊的なだけでなく、セロトニン不足を表すものでもあります。そしてこのような考えは、悲惨な結果をもたらす恐れもあります。

セロトニン

季節との関係

春や夏になると、太陽光の増加に伴いセロトニン値は増加します。そして、健康感や幸福、性欲の増加にもつながります

セロトニンは、性欲やセックスにおける役割から「快楽ホルモン」とも呼ばれます。オーガズムを迎えるに当たり、脳の偉大な指揮者である視床下部が、内分泌系(特に脳下垂体)に働きかけ、オキシトシン(愛のホルモン)を分泌します。そして射精の後は脳内のセロトニン値が高まり、平穏や落ち着きの感覚が広がります。

セロトニン値に関係する食べ物もあります。例えば、トリプトファンはセロトニンの前駆体です。これは食物(牛乳、乳製品、卵、鶏肉、七面鳥、大豆、豆類、バナナ、パイナップル、トマト、パスタ、穀物、米、チーズ、ダークチョコレート、赤身の肉)からのみ得られる必須アミノ酸です。

セロトニンと運動

運動によりエンドルフィンが分泌されることはご存知かもしれませんが、セロトニンも放出されることをご存知でしたか? 心配や筋骨格系への効果に加え、ヨガや瞑想、外で過ごす時間、ダンス、遊びはセロトニン値を高めます。また、何か新しいことを学ぶことやルーティーンの変化も、セロトニンの増加につながります。

まとめると、あなたの幸せや健康、平穏はすべて、セロトニンと関連しています。この値を高めるためにできるだけのことをするため、今すぐ始めましょう!

「平和はあなたが世界を見るレンズになる。平和になり、平和を生き、平和を広げよう。平和は内にある」

-ウェイン・ダイアー-

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