平穏な共存の重要性
共存は、多面的に人の命を支えている柱です。社会性の高い生き物である私達が、平穏でよく機能し、協調性のある共存をすることができると、集団としての生存を高めるだけでなく、ウェルビーイングや前進の力になります。
精神科医のエンリケ・ロハスは、共存とは他の命に参加し共有すると同時に、自分の存在にも関わってもらうことだと言っています。ご存知の通り、これは言うほど簡単ではありません。家族と一緒にひとつ屋根の下で平穏に暮らすことの難しさを知っているのであれば、国際的、世界的な共存がどんなに難しいかが分かるでしょう。
多少の言葉、賛同、平和条約だけで、調和した世界的な共存を保つことはできません。それを超えて、人の意志とコミットメントが必要とされます。つまりひとりひとりが大切な役割を担っているということです。山を動かすのではなく、山の構成要素である岩を動かしていくことで偉大な革命は達成されるのです。
本物の変化というのは静かなもので、小さいけれど重要な日々のステップにより達成されます。ここに私達ひとりひとりが関わることができるのです。
平穏な共存の柱
アメリカの心理学者ローレンス・コールバーグは、自身の道徳性理論を用い、子どもにとって最も重要なのは10歳の時に起こる自律のステージだと主張します。この時に私達は、社会的規範を超えたところにある人間のニーズを知ります。こうして初めて、個人の行動、利他主義、思いやりの価値に気づくのです。
共存とは、単に尊重のニーズに基づいて平穏に暮らすことではありません。これをはるかに超えるものです。平穏な共存には、日常的なすべての面におけるコミットメント、積極性、努力が必要とされます。また、衝突や違いを減らすために、平穏に暮らすことを学ぶことを求められているのは国だけではありません。
平穏な共存は、人の生活のすべての面の柱になります。恋愛、同棲、結婚、子育ての中心です。すべてのコミュニティ、集団、職場、人と繋がるあらゆる場において平穏な共存が欠かせません。
平穏な共存を達成するには、互いを知り、理解し、自分を人に反映させ、それを認識するという責任が伴います。このような社会的関係性が、共感、感情、耐性の向上に役立ちます。
それでは、他の要素も見てみましょう。
あらゆる形での暴力を排除する
5月16日は、「平和に共存する国際デー」です。平穏な共存という目標に向かい、私達それぞれが内省するのにいい機会です。
そのひとつとして、非暴力に対するコミットメントがあります。物理的な暴力が非常に明白で具体的な形であることは間違いありませんが、それだけが「暴力」ではないということを知っておくことは重要です。
- 攻撃的なコミュニケションにならないよう、尊敬の念をもって人と話すのもひとつの方法です。
- 攻撃、批判、排除ではなく、差別をせずに違いを受け入れ、理解することが必要です。
- ガンジーは非暴力の美について多くのことを語っており、個人や国の関係において平穏な共存を目指すにはこれしかないと言っています。
思いやりと連帯
人には自分と同じように自身の意見、生まれや価値観、ニーズを持っています。これを受けいれ、他人を大切にすることができなければ、平穏な共存は不可能です。私達はそれぞれ異なりますが、平等です。誰もが称賛、尊重、自分の思う人生を生きるチャンスを与えられるべきです。
そのためには、連帯と思いやりに対する意識を高めなければなりません。
同じ目標に向かい共に前へ進むことの重要性
歴史的にみても、変化し続け、不確かなことや新たな脅威であふれるこの世の中で、人は共存のために共に努力を続けてきました。このようにして私達は人間という生き物として生き延びてきましたし、これからの困難な時代にも立ち向かい続けます。
この高貴な目標を達成するためには、違い、利己性、個人的嗜好は脇に置く必要があります。
地球の保護
地球という環境を考慮せず、共存の重要性について語ることはできません。地球は私達の住処であり、ひとりひとりの存在があるのは地球のおかげです。平和、社会的平等、差別やあらゆる暴力の排除を目指すことが大切であることは誰もが理解しています。しかし、忘れてはいけないのが、地球や生態系を保護し、大切にすることです。
調和した共存の仕方を学ぶことによりバランスが保たれます。私達は、今の私達、そして未来の世代のためにも、長い間私達を守ってくれた地球をより大切にすることを学ばなければなりません。
ひとりひとりが時間をとり、この重要な要素について考える必要があります。そして、共存は身近な人達と家庭から始まるということを忘れてはいけません。人の共存とういタペストリーにおいて、私達はそれぞれ社会的、精神的、存在的役割を担っているのです。