ナラティブ・アプローチ:衝突の解決策

ナラティブ・アプローチは、話し言葉のもつ力に原点があります。個人的な話を使い、衝突に関わるすべての人に、その状況を様々な視点から見てもらうのが、このメソッドの目的です。
ナラティブ・アプローチ:衝突の解決策

最後の更新: 13 9月, 2020

「ナラティブ・アプローチ」は、自分の置かれた状況での矛盾や納得できないことを、人がどのように表現するかを使い衝突を解決する方法です。その人の使う言葉が、その人自身の世界の見方に影響することを知っておくことは重要です。また、これは衝突の本当の性質に関する重要な手がかりにもなることも多いものです。

一般的にナラティブ・アプローチは、自分の関心や個人的なニーズをお互いに話す時に有用です。これにより、話者は対人関係を大切にし、互いを理解するよう努め、問題を解決するために人の話を解釈することが可能になります。

衝突は、問題の根本が認識された時解決に進みます。例えば、相手が自分に協力してくれないために、相手に対し怒りを覚えることがあります。そこでナラティブ・アプローチを使うと、相手が本当に嫌だと思っているのは、あなたが協力を求める時の言い方だと発見することができます。つまり、相手側の立場を話してもらうことができれば、相手が衝突をどのように物語るかを分析することができ、詳細が表面に現れるのです。

ナラティブ・アプローチ

ナラティブ・アプローチの基本概念

ナラティブ・アプローチを理解するため、まず、このメソッドにまつわる概念を学びましょう。

  • コンフリクト・ナラティブ:ひとりひとりが、衝突の物語を作る方法です。これにより、自分の位置や問題だと思う面やその要素について知ることができます。
  • オルタナティブ・ナラティブ:皆が衝突を乗り越える理想的な状態です。それぞれが自分の言葉を使い、自分の望むもの、問題解決のために自分は何ができるかを表現します。
  • メタ・ナラティブ:コンフリクト・ナラティブやオルタナティブ・ナラティブの中で暗黙的に現れるルールや価値観です。

話の要素

衝突に関して話す時、話の性質はナラティブ・アプローチの重要な要素になります。これが本当の問題を理解するプロセスの基礎となるのです。この特徴となる要素を次にご紹介します。

  • 話の筋:問題の原因、衝突につながった変化、複雑な要素、どのように解決できるかに関する表現の仕方です。
  • 題材:衝突に関する明確なものです。
  • 状況:問題が起こっている物質的、社会的環境です。
  • 登場人物:(何らかの形で)衝突に関係するすべての人です。

問題のある状況にある人の話は、大抵他の人の話とは異なります。それぞれが、全く違う問題について話しているかのように聞こえることも少なくありません。

衝突 ナラティブ・アプローチ

ナラティブ・アプローチのテクニック

ナラティブ・アプローチでは、衝突を解決するためにたくさんのテクニックが使われます。最終的な目標は、皆が納得する一つの物語を作ることです。また、この物語は全ての人を表すものであるべきで、統合した一つの物語になります。そのために、仲介となる人物は次のテクニックを使います。

  • ダブル・リスニング:人が話すネガティブな表現をポジティブなものに変えます。例えば、「彼女の自己中心的なところが嫌だ」という主張は、「彼女にもっと寛大になってほしいと思う」に変えられます。
  • パラフレーズ:仲介となる人は、それぞれが語ることをできるだけ統合します。話の筋を基礎とし、根本となる原因、変化、複雑な要素をまとめます。そして、仲介者を通し、それぞれが互いに耳を傾けるようにします。
  • 再考:攻撃的な表現に気を付け、より解決に向けた言葉に言い換えます。例えば、「彼は嘘つきだ」と誰かが言ったとすると、仲介者は「彼が言っていることに矛盾を感じると言うことでしょうか」と言い換えます。
  • 外在化:仲介者は、一方の、相手により生み出されるもっともネガティブな感情を探ります。例えば、怒りを感じているのであれば、衝突の解決を目指す人達は、より深い怒りを経験することとなり、怒りを表に出すことになるでしょう
  • 他の物語の包括:これはロールプレイにも似ています。仲介者は、衝突を他の人の身になって考えるよう促します。例えば、あなたが今言ったことに関して、警察だったら何と言うでしょう?などです。

まとめ

これらのテクニックはすべて、それぞれの物語を解釈しようとするものです。物語をよりオープンに、柔軟に、また関わる人すべてに分かりやすくすることが目標です。このテクニックは組織などにおいてうまくいく傾向があります。


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  • Garrido Soler, S., & Munuera Gómez, P. (2014). Contra la neutralidad. Ética y estética en el modelo circular-narrativo de mediación de conflictos. Revista Telemática de Filosofía del Derecho, (17), 139-166.


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