非定型うつ病

2019年10月10日
非定型うつ病とは診断が難しい病気です。気持ちが晴れ晴れしている時もあるので、非定型うつ病で苦しんでいる人のほとんどが、病気であることに気づきません。しかし、心配になったり、気が滅入ったり、モチベーションを減少させる厚い雲はまたすぐにやってきます。

名前とは裏腹に、非定型うつ病は実際よくある病気です。うつ病とよく似ていますが、非定型うつ病に悩む人は稀な症状を発症します。例えば、周りの環境にポジティブに反応したり、食欲もあるのに、腕と脚が重く感じたりします。

心理学者は50年代に初めてこの臨床用語を使用しました。普通の抗うつ剤の効き目がない患者を表すために、はじめは気軽に使っていたようです。その後、さらなる分析と研究で、それらの患者に共通する要因と、どのような症状と戦っているのかということが明らかになりました。

はじめにわかったのは、腕と脚に痛みを感じているということです。そのような患者は、手足が重く感じ、動くのが難しいと訴えました。心理学者また、過眠症や過食症などの、うつ病とは異なるサインや症状に気づきました。

また、1日の中で症状が悪化することもわかりました。朝は、褒め言葉にも気分良く答えることができ、周囲の人と楽しく時間を過ごせて、ポジティブに反応することができても、午後には態度が大きく変わります。このようなよく見られる症状のデータを収集した結果、この特定の状態を非定型うつと名付けました。

以後、この病気に対する薬を以前に比べて容易に開発することが可能となりました。また、メンタルヘルスの専門家によると、全てのうつの約20%がこの非定型うつであるとしています。ですので、この病気の治療に必要な心理的および薬理学的なアプローチの開発が重要です。それでは詳しくみていきましょう。

非定型うつ

非定型うつ:特徴と症状

カリフォルニア大学のジョナサン・R・T・デイビッドソンの研究によると、非定型うつのもっともよくある症状は生物学的または受動的なものだとしています。他の研究もこれと同じような結果を得ています。非定型うつの患者は身体の障害を特に訴えます。疲れがひどく、身体が思うように動かないとよく感じます。

これが、非定型うつを診断するのを難しくしている要因の一つです。体のだるさは、働きすぎや、疲れすぎ、食生活の乱れ、運動不足などが原因だと勘違いしがちです。しかし、精神障害の診断・統計マニュアル第5版によると、非定型うつの症状は継続して起こるとしています。よって、もし適切な処置を受けることができなければ、メンタルヘルスがどんどん悪化していくことになります

では、心理的な症状の特徴はどんなものでしょうか?みていきましょう。

ポジティブな刺激に気分が反応する

うつ病(気分変調症)の特徴に、ポジティブな状況や刺激に反応することができないという症状があります。うつ病患者にとって、喜びや幸せを感じることが大変難しいということです。一方で、非定型うつ病の患者は、好きな知り合いに会ったり、褒められたり、励まされたりすると一時的にポジティブな気分になります

不安、緊張、休めない、そして不信感

非定型うつ病は他の病気との並存症の可能性が高く、不安や、双極性障害と関わっている場合もあります。その結果、主な症状に、緊張感、過敏症、もしくは常に何か悪いことが起こるのではないかという感覚に襲われることなどがあります。

また、非定型うつの患者が、幸せで安定した関係性を維持することは非常に難しいことです。他人を信頼することができず、批判にとても敏感で、見捨てられたり裏切られたりすることを非常に恐れています。

鉛様麻痺

鉛様麻痺とは、記事の冒頭でも紹介したように、身体が鉛のように重く感じる症状です。この鉛様麻痺の症状がある患者は、ひどい疲れや、体の動きを制限してしまう腕や足の痛みを感じます。

過眠症

過剰な睡眠は非定型うつ病のもう一つの症状です。長時間睡眠をとったり、長い昼寝をしたり、朝遅くに起きて、仕事が捗らないなどの症状があります。どれだけ睡眠を取るかに関わらず、常に疲れを感じています。休息をとっても、元気が出たり、疲れが取れたりすることはありません。

非定型うつ

過剰な食欲

不安や緊張感は、過食に繋がることがあります。これは、常に空腹感を感じ、衝動的に食べてしまうことをさします

非定型うつの治療法とは?

クリスタンチョ・オレアドンとサーセの2012年の研究によると、非定型うつは慢性的であり、女性と若者によくみられる病気だとしています。また、このタイプのうつは、病院外で専門家に治療してもらうことがほとんどです。非定型うつを発症しているのに治療せずに放っておくと、症状が悪化し、重症になることがあります。不安や双極性障害と並存していればなおさらです。

一番良い方法が何かはそれぞれの患者の状況によります。例えば、非定型うつ病に悩む女性は過食症などの摂食障害の治療を受けることが必要です。しかし、適切な心理療法や、薬の服用で症状は大幅に改善されます。

最後に、もう一つ非定型うつ病について大切なことを書いておきましょう。それは、この病気は思っているよりも身近な病気で、多くの人が20代で発症するということです。早めに症状に気づくことで、専門家も患者が自身の人生をよりよくコントロールする手助けができ、幸せで自信のある人になるための方法や手段を提供してくれるでしょう。

  • Davidson, J. R. T., Miller, R. D., Turnbull, C. D., & Sullivan, J. L. (1982). Atypical Depression. Archives of General Psychiatry39(5), 527–534. https://doi.org/10.1001/archpsyc.1982.04290050015005