人には話を聞いてくれる誰かが必要

人生が精神的につらい時期にある時、人は感情の罠にはまってしまいます。そんな時にはあらゆる恐怖心や不安、懸念を手放す必要がありますが、いったい誰がその叫びに耳を傾けてくれるのでしょう?私たちには話を聞いてくれる誰かが必要です!この記事を読み進めて、このテーマについてもう少し詳しく掘り下げていきましょう!
人には話を聞いてくれる誰かが必要
Valeria Sabater

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Valeria Sabater.

最後の更新: 22 12月, 2022

「私には、話を聞いてくれる誰かが必要だ」、どんな人でもこんな気持ちを抱いたことがあるはずです。生きていれば、どうにも参ってしまうような状況に陥ることがありますよね。心がめちゃくちゃになり、何をやってもパッとしない上に将来の見通しもつかず、息をすることすら困難に感じてしまうような時期が、誰の人生にも訪れるものです。恐怖心や不安、悲しみなど、その時味わう負の感情を挙げ始めるとキリがありません。

これらの思考や感情を解きほぐす方法を学ぶよりももっと重要なことがあるとすれば、それは誰に胸の内を打ち明けるべきかをわかっておくことでしょう。なぜなら、誰もが聞き役として優れているわけではありませんし、全ての人が快くその役目を引き受けてくれるとは限らないからです。

また、時には一番身近な人々、例えばパートナーや友人家族などからのサポートが得られないことすら考えられます。そしてほんの一言のネガティブなコメントや役に立たないアドバイスであっても、すでにダメージを受けているあなたの精神状態をさらに悪化させてしまう恐れがあるのです。

何か特定のことに関して背負っている重荷をおろしたい、またはサポートを得たいと思っても、全ての人がその相談相手として適しているあるいは有能であるわけではないのです。

結局、そのような状況にいる時にはただ話したり意思疎通をする以上のことを相手に望んでしまいますよね。勝手な批判をすることなくあなたの姿を映し出してくれる「鏡のような相手」が必要になるはずです。

あなたは、避難場所のような相手、苦痛を止める手助けをしてくれるような相手を欲するでしょう。また、ただ目を見つめられるだけで、そしてただその存在を感じるだけで癒しを感じられるような相手だとなお理想的です。

話を聞いてくれる誰かが必要

誰かに話を聞いて欲しい:なぜ?誰に?そしてどのように?

コミュニケーション能力ほど、人間を人間たらしめているものなどありません。しかし、誰もが自分自身を表現する能力には秀でているとはいえ、感情面のコミュニケーションとなると同じようにスムーズにはいきません。

そしてこの側面に関してはよく問題が生じてしまいます。私たちが感情表現に控え目なのは、それが難しいことに思えるからです。また、自分がどんなことに傷ついているのか、どんなことを心配に思うかについて適切に話す方法を誰からも教えてもらえないまま育ってきたというのも理由として大きいでしょう。

パデュー大学(アメリカ合衆国)でBrant R. Burleson博士によって行われた研究などにより、親しい人々から精神的サポートを得るのは、私たち人間全員にとって最も重要なことだという事がわかっています。ただし、ここであるポイントについて明確にしておかねばなりません。それは、理想的な「精神的サポート」を提供してくれる相手がいるという状態は、必ずしもその相手と腹を割った本物の会話ができている状態を意味するわけではない、という点です。

これについてもっとよく理解していただけるように、一つ例を挙げてみましょう。例えば、普段のあなたはパートナーや母親などがもたらしてくれる親密さや精神的サポートを頼りにすることができています。しかし、もっと深い内容の事柄について真剣に相談したいという場合、こういった人々はその相手として最適とは言えないかもしれません。

なぜでしょうか?それは、何か辛いことが起こった時、きっとあなたはこういった近しい人々にはそれを知られたくない、と考えるはずだからです。あるいは、あなたのことをとても深く愛してくれている人であっても、鬱憤を晴らす手助けをするという面に関してはあまり適さない人々だというシンプルな理由も考えられます。これについてもっと詳しく見ていきましょう。

苦しい状況にいる時、話を聞いてくれる相手が必要になるのはなぜ?

自分の身に何か悪いことが降りかかったり、あるいは袋小路にはまったような気分になったり、ストレスを感じたり、何かを心配に思っていたりする時、人は誰か話を聞いてくれるような相手を心の底から欲します。人間には、「肩の荷を下ろし」て息抜きをすることがしばしば必要になるのです。そんな時は、おしゃべりや感情の共有といった基本的な、けれど強力な手段を用いるのが一番でしょう。その理由を以下に記しました。

  • 「やっと行動を起こすことができた」という感覚を得られるから。ある事柄について人と話すということは、能動的に行動を起こしていることを意味します。つまり、他人に心中を告白している時点ですでに自分自身のためにポジティブで健康的なことを行えているのです。これは一つの変化であり、変化というものはなんであれ望ましい兆候だと言えます。
  • 誰かに話すことで、ただ情報を伝えて感情を吐き出すだけでなく、同時に自分自身の声にも耳を傾けることができるから。この行為は鏡のような働きをするため、自己についての気づきを深めることに繋がるのです。
  • 自らの考えや気持ち、感情を口に出すことで、自分の置かれている状況はそれまで思っていたほどひどいものではないかもしれない、と気づけるから。口を閉ざしたままでいると感情の罠にはまり、悩みがエスカレートしてしまう恐れがあります。しかし言葉にして語ることで心はリラックスし始め、徐々に光を見出せるようになるのです。

誰に話を聞いてもらうべき?

話を聞いてもらう相手が必要だといっても、全ての人がその相手として適しているわけではありません。このことは始めの段階から意識しておく必要があります。たとえ自分を心から愛してくれている人たちがいるとしても、必ずしも聞き手として最善であるとは限りません。それは以下のような理由があるからです。

  • 自分を傷つけ、不安にさせている事柄について相談したいと思っている人には、プライバシーを尊重してくれる相手が必要だから。打ち明けた秘密を他の人にまで広められてはたまりませんよね。
  • 話の聞き方や寄り添い方を心得ている相手が必要だから。それ以外には何も要りません。意見を押し付けてきたり、こちらの言い分を変えようとしたり、あるいは「私があなたの立場だったらこうすると思う」などと諭してくるような相手は聞き手として最悪です。
  • 相手からジャッジされたり、あるいはこちらの言っていることに疑問を呈されたり批判されたりするようなことがあってはならないから。これらの行為をし始める聞き手は、こちらにとって有益であるどころか有害な場合があります。

また、相談相手となる人物はこちらが感情を伝えるのをやりやすくしてくれるような資質の持ち主でなければなりません。その資質とは例えば共感力、親身な姿勢、傾聴力、感受性、人間性などです。

友人にこの役割を担ってもらえる場合もあるでしょう。しかし、そうでない場合に話を聞いてもらう相手として最も適しているのは心理士です。先ほど指摘した資質を備えているだけでなく、必要なツールを提供して私たちが自らの問題と向き合うのを手助けしてくれます。

話を聞いてくれる誰かが必要

誰かに話を聞いて欲しい:何から始めれば良いの?

「誰かに話を聞いてもらいたいと思った時、私には何から始めれば良いのかがいつもわかりません。私の心の中はたくさんの気持ちや思い、そして感情で入り乱れています。私はただただ疲れ切っているのです。そしてその永遠に癒されることのない疲労感が私の心をさらにめちゃめちゃにします。だからこのような状況に陥った時はいつも何から始めるべきかがわからないのです」

このようなコメントを、初めてセラピーに訪れた人やあるいは身近な人に正直な胸の内を明かすことを決意した人の多くが口にします。

いずれにせよ、以下のようなシンプルなストラテジーが自分のためにも相手のためにも役立つでしょう。

  • 今現在、まさにこの瞬間に自分がどう感じているのかを説明しましょう。頭に浮かぶあれこれを吐き出し、内側で感じている感覚を言葉に出して伝えてください。
  • 声がうわずったりかすれ始めてしまっても恥ずかしく思う必要はありません。涙が出てきても心配しないでください。ただそのまま泣けば良いのです。自分が今いるのは安全な場所であること、そして感情をさらけ出すのは健全で必要不可欠な行為であることを覚えておきましょう。結果として気分がマシになるはずです。
  • その辛い期間がどれくらい続いているのかを説明しましょう。
  • 原因や諸悪の根源を見つけ出してみてください。そしてそれについて話しましょう。背後の事情を明白に説明してください。
  • 正直になりましょう。ごまかしたり、一部を隠して語っても何の助けにもなりません。心の底から誰かに話を聞いて欲しいと思うようになったのであれば、それはつまり内側にあるものを全て放出すべき時が来ているという意味です。心のバリアは全て取り払いましょう。
  • どんなことを言う時にも常に「私」という一人称を使ってみてください。そうすることで、自分自身の感情を吐き出しやすくなります(私は〜と感じています、私は〜を恐れています、私は〜だと考えています、など)。
  • 相手の目をしっかり見るようにしましょう。互いの親密さや相手の持つあたたかさは愛情とともに私たちを導き、より話しやすい空気を作ってくれます。

最後に、ほとんどの人が「誰かに相談する必要がある」と切実に感じるような瞬間を人生の中で経験するはずです。そういった状況では、相談相手の選択を誤らないようにしましょう。また、プロの心理士が助けを求める相手として最も適している場合が多いことも忘れないでください。


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  • Burleson, Brant. (2003). The Experience and Effects of Emotional Support: What the Study of Culture and Gender Differences Can Tell Us About Close Relationships, Emotion, and Interpersonal Communication. Personal Relationships. 10. 1 – 23. 10.1111/1475-6811.00033.

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