「ホームカミング」:感情と記憶にまつわる心理スリラー

2019年9月9日

ホームカミング」はジュリア・ロバーツ主演で制作され、少し前にアマゾンプライムで配信されたドラマです。この心理スリラーは、見ている人を震撼させました。軍隊での科学的発見について、物議をかもす問題に焦点が当てられています。

このドラマの構想は、コロンビア大学とマギル大学のチームが行った調査が元になっているようです。この研究により、同じ神経に貯蔵されている記憶を選択的に消すことができることが分かりました。昨年、「Current Biology journal(現生物学誌)」 で発表されました。

 

ホームカミングのあらすじ

このドラマは、米軍と契約を結んだ民間調査会社の話です。現地への派遣後、帰還した兵士のためのリハビリセンターが開設されました。彼らは、日常に戻れるようセラピーを受けるために、センターにいるよう言われます。

この会社は、経験のない心理士(ジュリア・ロバーツ)を雇います。彼女はセンターを任されますが、上から指示を受けます。多くの軍人が苦しむ心的外傷後ストレス障害の影響を断つことが期待される新薬を試すことが本当のねらいです。

心理士、ハイディが知っているのはこれだけですが、実際はこれに関しもっと多くのことが隠されています。見ようと思っている人が、ご自身で楽しめるように、あらすじは、ここまでにしておきましょう。

ホームカミング

 

実際の調査

感情と記憶にまつわる素晴らしい発見にこのドラマの起源があるようです。コロンビア大学の研究で、同じ神経にある記憶を選択的に消す方法が見つかりました。人間と同様の神経細胞の化学的性質をもつアメフラシという海の生き物を使って研究は行われました。また、この研究における発見は、後に心的外傷を与える出来事のネガティブな心理的影響を緩和するための研究へとつながりました

化学物質レベルで言うと、連合記憶と非連合記憶には違いがあります。私達が貯める多くの情報は、感情的に中立なものです。しかし、記憶とつながっている情報もあります。これらの両方が、一つのできごとの記憶を作りあげます。

研究者は、各タイプの記憶がそれぞれ異なるプロテインキナーゼMを使用することを発見しました。これは、記憶を貯蔵するために使われる神経伝達物質です。連合記憶はPKM APL III、非連合記憶はその異形であるPKM APL Iを使います。

 

研究結果

この研究により、キナーゼの形に合った阻害薬を適用することで、痛みを伴う記憶を消すことができると確認されました。この発見は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の新たな治療法につながります。

PTSDの対応に役立つ心理学的ツールはたくさんあります。しかし、セラピーでそれを完全に絶つことはできません。そのため、現在研究者たちはPTSDの治療のための薬理学的アプローチを開発し、記憶が患者に生み出す苦悩を断とうとしています。

悩む

 

心理スリラー

この心理スリラーでは、この調査ですでに人体実験を行っているかのようなストーリーが展開されます。この記事でも言及した薬理学的アプローチの開発の暗く、非人間的な面がこのドラマで見られます

「ホームカミング」の人体実験では、期待通りの結果だけでなく、予測していなかった結果も出ます。このような思いがけない結果は、薬物研究の次の段階で比較的容易に正されます。

実験の対象となっている人はこの「リハビリセラピー」の本当の目的に全く気づいていないことをここで記しておきましょう。

この心理スリラーは、実際社会の問題に光を当てました。しかし、第三世代と呼ばれる治療技術に基づいた研究について知るのはとても興味深いことです。これらの技術が、脳の化学的バランスに影響を与えることができることは、研究でも証明されています。