評価:試験で学生を正しく評価できるのか?

· 2019年3月9日

現在、学生を評価するための最も一般的な方法が、学生なら誰もが恐れるであろう試験です。ここで言う試験というのは、ある教科についての問題に学生たちが答えを書いていくテストのことを指します。しかし、こういった試験は学生の知識を評価するのに果たして一番いい方法なのでしょうか?他にもやり方はあるのでしょうか?

試験やその他の方法のメリット、デメリットをご紹介する前に、評価とは何なのか、そしてその目的が何なのかについて説明した方が良さそうです。例えばもし街頭で誰かに学生の評価とは何か、と尋ねたら、おそらく遠回しな回答しか返ってこないでしょう。学生なら持っているべきとされる知識を本当に持っているか確かめることだ、というような返事をしてくれるかもしれません。

ですからそういった知識が身についている学生は試験をパスできます。そうでない場合は、試験に落ちます。しかし、この理屈は現在教育現場で実際に起こっていることとは程遠いというのが事実です。そしてこれはつまり、学校が試験を行う目的も実際とはかなり異なるということを意味します。

マーク式テスト

教育に関して言うと、評価は学生の持つ知識や能力を確認することに焦点を当てています。なぜでしょうか?彼らが現在どの学習段階にいるのかを探るためです。ではその目的は何なのでしょうか?とてもシンプルなことなのですが、教師のほとんどが忘れがちです。その目的は、そこで採用されている教育システムが本当に学生の学びのために役立っているのかを査定することなのです。

つまり、学生の成績は単にその科目の知識を数値化したもの以上の意味を持つということです。評価は、教えた知識が学生に定着するために教師が採用したメソッドが、本当に機能しているのかを確認するためのものでもあるべきなのです。

したがって、評価システムは適切に使うことができれば、学生の学習プロセスのためのかなり強力なツールとなり得るのです。しかし、評価を単に学生の選別や分類だけに使用するのはとても残念な態度であり、本来の目的からずれてしまってもいます。

学生たちの成長が教育の目的ならば、彼らが不得意なものにまで評価システムを使い続けるべきではありません。

従来の試験の問題点とは?

評価システムが学生を正しく導くため、そして自身の教育方針を見直すためのツールであるとすれば、以下のような従来の試験の問題点が見えてくるでしょう。

  • 試験で評価されるのは学生のみである点。テストされるのは学生だけで、教師や教育環境が適切かどうかの査定はありません。学生たちを落第させるために試験を利用したり、パスするのが不可能な試験をわざと作ったりする教師すらいるのです。
  • 評価を決めるのは担当の教師だけである点。学生の評価は教師の基準次第で変わってしまいます。また、基準というのは教師が自身で決めるものしか存在しないのです。
  • 試験結果だけが重要視される点。従来の試験では確かに学生のその時点での知識レベルを測ることはできますが、その学習過程については分かりません。よくコンセプトを理解できていたとしても、そうではなく前日の夜に一気に暗記しただけだったとしても試験結果に違いは出ないため、点数が同じということもあり得るのです。
  • 知識しか確認できない点。学生それぞれの状況や個人的な強みや弱点への配慮は与えられません。彼らの能力を正確に把握できていないなら、学習状況についても特定することはできないのです。
  • 数値による評価でしかない点。最終的に、試験結果は一つの成績に落とし込まれます。そしてその成績は、科目数や学生が持っているスキルに沿ったものとなります。
  • 試験によって養われるのは協調性ではなく競争心である点。最高点をとった学生や最下位の学生を選び出したりすることで、競い合うような雰囲気ができてしまいます。直接でないにしても、このシステムは競争社会のようなものを作り上げてしまうことにつながるのです。そしてその結果起こってしまうのが、学習そのものよりもいい成績を取ることの方に焦点を当ててしまうという事態です。
採点する先生

従来の試験の代わりとなるもの

従来の試験のこういった問題点を考えると、そろそろ代替案を探すべき時のようです。理想的な評価システムの基礎とすべき、三つの基本的な柱があります。それは、(a)能力査定、(b)ポートフォリオシステム、(c)ICT(情報通信技術)の利用、の三つです。

能力査定

全ての科目には、学生にある一連の知識を学ばせ、また同時に特定の技術も習得してもらうという目的があります。例えば、数学の一つの目標は学生に公式や計算過程等を教え、覚えさせることではありますが、もっと重要なのは内容をしっかり理解させることと、問題を解く際にどう応用すべきかを学ばせることです。

評価は、その学問のどの分野が習得できていて、どれがまだなのかを特定するものであるべきです。それがわかれば、すでに獲得できている知識をもっと研ぎ澄ませられるように学習の方向性を示してあげることができるのに加えて、自分がまだ理解できていないことは何なのかを彼ら自身に把握させる手助けもしてあげられます。

ポートフォリオシステム

能力査定により、何を評価対象とすべきかが分かりましたが、まだそのやり方が不明のままですよ。ポートフォリオシステムは、学生一人一人を査定し、それぞれの成長に焦点を当てられるようなシステムです。しかし、ポートフォリオシステムとはどんなものなのでしょうか?

心理学者のバーティー・キンゴアはポートフォリオを以下のように定義づけました:「学生の提出課題の中から、彼らの授業態度や意欲、学習レベル、そして時間ごとの成長に関する情報が得られるものを厳選し、体系的に集積したもの」

つまり、ポートフォリオとは単に「フォルダー」のことを意味し、学生たちはここに各科目で課された課題を提出します。教師は定期的にこれをチェックし、彼らの学習度合いを確認することができるのです。このシステムは、教師たちが学生それぞれの学習段階についてより深く理解するための助けとなり、それにより授業内容の改善にも繋がります。そしてもちろん、求められたレベルまで知識や技術が身についたかどうかを知るためにも役立ちます。

このポートフォリオシステムの問題は、その情報量によっては全てを網羅するのがとても複雑な作業になってしまうという点です。これに対する解決案の一つを次のセクションでご紹介します。

評価査定:試験で学生を正しく評価できるのか?

ICT(情報通信技術)の利用

コンピューターやインターネット、またその他のコミュニケーションシステム(ICT)は、評価システムを改善するために非常に役に立ちます。ポートフォリオシステムの問題点を解決するには、ICTの利用がうってつけです。実は、学生と教師それぞれが別の電子ポートフォリオに入れた情報を網羅できるオンラインプログラムがあるのです。これにより、評価作業はグンと楽になるでしょう。

記事を締めくくりにあたり、一つ考えてみて欲しいことがあります。従来の試験システムは欠点だらけであり、ご紹介したような代替案も存在しているにも関わらず、なぜいまだに評価査定の主流は変わっていないままなのでしょうか?