エルサレム症候群とは?

エルサレム症候群とは?
Roberto Muelas Lobato

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Roberto Muelas Lobato.

最後の更新: 21 12月, 2022

エルサレム症候群とは、現地の人も含め、エルサレムの観光客に生じる心の病です。精神病の一種で、妄想性があります。

通常、自分の知識をもとに、聖書の登場人物になりきります

モーセ、ダビデ王、ナザレのイエス、洗礼者ヨハネなどです。男性は男性、女性は女性になる傾向があります。

キリスト教信者は新約聖書の登場人物になることから、信仰する宗教も影響すると言えます。ユダヤ教は新約聖書ではなく、旧約聖書が聖典のため、旧約聖書の登場人物になります。

 

なぜ、エルサレムなのか?

エルサレムの壁と男性

イスラエル最大の観光地は嘆きの壁で、西の壁とも呼ばれます。エルサレム市内に位置します。

毎日、時間に関わらず、何千という観光客がこの壁を訪れ、お祈りをしたり、写真を撮ったり、式典やデモに参加します。歴史とスピリチュアルが融合したこの場所がもつ力は強く、この病的現象を引き起こすのです。

ここを訪れる多くの人が、不思議な体験に魅了され、スピリチュアルまた、宗教的になることがあります。特に夜中を過ぎてから作り出される雰囲気に魅了されるようです。

聖書の登場人物になったエルサレム症候群の人達は、エルサレム市内を歩き、道端で説教をします。ローブやシーツなどの衣装にも着替えます。

 

エルサレム症候群

精神科医ヤー・バーエルは、初めにエルサレム症候群を臨床学的に認めた人です。精神異常と診断された400人以上の観光客が診察を受けました。多くはユダヤ教やキリスト教の信者で、医師が共通する特性を認め、一つの病的現象としたものが、エルサレム症候群です。

エルサレム症候群は解離型ヒステリーの一つです。患者は別の人になり、後にそれを思い出すことはできません

古代都市エルサレムのスピリチュアルな雰囲気は、宗教、歴史、イデオロギー、神話であふれており、そこでは、様々なことが起こりました:戦争、聖戦、虐殺。これら全てを含んだこの土地を訪れた人々が、冷静でいられなくなるのも無理はないでしょう。

 

「素晴らしい芸術と熱い思いによる神聖な刺激を受けた。サンタ・クローチェを去るとき、心は打たれ、疲れ果て、倒れてしまうような気持になった。」

-マリ=アンリ・ベール(スタンダール)-

 

エルサレム症候群はフィレンツェやスタンダール・シンドロームと比較されます。フィレンツェを訪れ、衝動的に妙な行動をする人達です。めまいや混乱、しびれ、うつの症状がでます。一か所であまりに多くの作品を見た後、幻覚を見ることさえあります。

これらは、芸術や都市の美しさが起因したもので、エルサレム症候群は宗教がもとになっています。

 

エルサレム症候群の症状

エルサレム

エルサレム症候群の初期症状は、はっきりした理由のない心配や緊張です。一緒に旅行している人から離れ、孤立することがよくあります。

そして、洗面所やお風呂でお清めをするようになります。聖書の人物に見えるような衣服に着替えます。この時を表現するのに 「突然、何かが起こった」と彼らは言います。

数日後、「現実」へ戻り、恥を感じる人が多くいます。何が起こったか説明できず、自分の行動を後悔します。エルサレム症候群になる人は、元からその傾向があると考えられています。そして、その場所を訪れたとき、眠っていた症状が発症するのです。

エルサレムへ行ったことはありますか?エルサレムへ行き、噴水で身を清めている人、道で説教をしている人をみても、おかしい人だとは思わないでください。エルサレム症候群かもしれませんし、あなたがそれを経験することになるかもしれません。


引用された全ての情報源は、品質、信頼性、時代性、および妥当性を確保するために、私たちのチームによって綿密に審査されました。この記事の参考文献は、学術的または科学的に正確で信頼性があると考えられています。


  • Bamforth, I. (2010). Stendhal’s Syndrome. British Journal of General Practice60(581), 945-946.
  • Bar-El, Y., Durst, R., Katz, G., Zislin, J., Strauss, Z., & Knobler, H. Y. (2000). Jerusalem syndrome. The British Journal of Psychiatry176(1), 86-90.
  • Calabrese, J., & Al Khalili, Y. (2019). Psychosis. StatPearls. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK546579/
  • Kalian, M., & Witztum, E. (2000). Comments on Jerusalem syndrome. The British Journal of Psychiatry176(5), 492-492.
  • Villar, J. L. (2015). El síndrome de Jerusalén:¿ los vascos y la religión?. In El peso de la identidad: mitos y ritos de la historia vasca (pp. 81-107).
  • Witztum, E., & Kalian, M. (1999). The” Jerusalem syndrome”–fantasy and reality a survey of accounts from the 19th century to the end ot the second millennium. The Israel journal of psychiatry and related sciences36(4), 260.

このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。