人の楽観性に関する驚くべき調査結果

ミシガン州立大学は、7万5000人もの人々を対象にして楽観性に関する調査を行いました。調査対象となったのは幅広い年齢層の人々で、これにより非常に興味深い結論が導き出されています。
人の楽観性に関する驚くべき調査結果

最後の更新: 31 12月, 2020

ミシガン州立大学は最近、楽観性について調べるために実施した調査で得られた魅力的な結果を発表しました。この種の研究が行われたのはこれが初めてではありませんが、今回のものが最大規模の調査です。また、発見された内容を考えても、最も意外性の高い部類に入る調査だと言えるでしょう。

楽観性は、現実をポジティブ思考というレンズを通して判断するような思考態度と定義されています。これは、一部の人々には生まれつき備わっていて、その他の人々からはある種の人生哲学として採用されている、出来事を解釈するための特別な方法なのです。

楽観主義に関するこの研究を主導したのはウィリアム・チョピック教授で、これはこの種の研究としては最大規模のものだと見なされています。それはサンプルサイズが巨大だったためで、16歳〜101歳の年齢層のアメリカ人、ドイツ人、そしてオランダ人、合わせて7万5000人分もの情報が集められました。

“楽観主義とは、何かを成し遂げることに繋がる信念です。希望や自信なしに完了できるものなど一つもありません”

-ヘレン・ケラー-

人の楽観性 調査結果

楽観性の調査

この調査は、様々な年代の男女の楽観性の度合いや将来への期待を計測することを目的として開始されました。また、結婚や離婚、新たな職場への就職、喪失などの、人々が共通して経験する出来事がいかにその人のポジティブな人生観に影響を与えているのかも大きなテーマでした。

ただ、参加者の中には尋常ではないような経験(それがポジティブなものであれネガティブなものであれ)をした人は含まれていません。この調査はあくまで、ありふれた達成や喪失を伴う「典型的な」人生の範囲内にいる人々のみを対象としています。つまり、「無難な」状況の中で起こる「正常な」人生ということです。

研究者たちはまた、楽観性が時を経て変わるのか否か、あるいは何らかの形で年齢と関連しているのかどうかといった点についても確かめようとしました。先行研究では、中高年の人々の方が楽観的な傾向があることが示唆されていたのです。

困難な時期

この調査によって導き出された驚くべき結論の一つが、悲劇的な出来事や困難な時期を経験したとしてもその人のポジティブな見解にさほどの衝撃は与えられない、というものです。誰かの死や離婚といったシチュエーションが、世界に対する楽天的な見方全体を変えてしまう傾向は低かったのです。また、情緒バランスを維持するためには物事のポジティブな面に焦点を当てるべきだということを参加者のほとんどが理解していた、という事実も発見されました。

本調査の責任者ウィリアム・チョピックは、以前まで考えられていたよりも人々の持つ逆境への抵抗力は強いのだ、と強調しています。 悲劇的な出来事は人の人生観をネガティブな方向に変えてしまうはずだ、という一般認識が私たちの間には存在していますが、それは単純に間違いなのです。この研究は、たとえ過酷な経験を乗り越えた後でも、人間は未来に対して希望を持つことができるのだということを示してくれました。

楽観性と年齢

この調査からはもう一つ、年齢と思考態度に関する面白い結果が出ています。全般的に、楽観性は16歳頃から向上し始めて70歳頃に上昇が止まるということがわかったのです。この長い人生ステージにいる間、多くの人々は希望と興奮とともに未来を見つめています。

これは、このステージが最も重要でワクワクするような出来事が起こる、つまり恋をしたり様々な仕事に挑戦したり、勉強したり自立したりなどを経験する、期間であるという事実を反映しているようです。これらは全て、楽天的な見解を持つための重要な要因です。

しかし70歳になると様子は一変し始めます。ほとんどの人が、歳を重ねるごとに楽観性を少しずつ失っていくのです。これはおそらく、人生の大半がすでに終わってしまったことを感じるから、そして自身の健康問題が露見し始めるから、といった理由のせいでしょう。

人の楽観性に関する驚くべき調査結果

楽観性の大切さ

この調査の中で参考として引用された別の研究では、楽観性が人生の初期の経験と密接に関連していることが示されていました。幼少期に意義深く、安定した愛着を大人との間に結べていた人々は人生に対するポジティブな見方を発達させていき、それが一生涯続きます。

また、楽観性と何かを達成することとの間には相互に好影響を与え合う関係性があることを示すデータも存在しています。つまり、楽観的な人々は設定した目標を達成できる傾向が強く、同時にその達成によってポジティブな見解が強化されているということです。


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  • Librán, E. C. (2002). Optimismo disposicional como predictor de estrategias de afrontamiento. Psicothema, 14(3), 544-550.


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