実存主義哲学者の伝記:ジャン=ポール・サルトル

2019年4月17日
ジャン=ポール・サルトルは世界最高の文学作品の一つ、「嘔吐」を執筆しました。この小説では、この世の全てに意味はないということを常に頭に置きつつ、暴君に反抗し、内なる自由を活用するようにと私達をいざなっています。

哲学者であり、活動家であり、ジャーナリストであり、政治家であり、作家でもある…。ジャン=ポール・サルトルは実存主義と人道的マルクス主義の最たる代表者の一人です。彼の作品は、本質的には彼の同世代の信念を反映しています。彼の考えや遺産は心理学に強い影響を与えました。

フッサールやハイデッガーなどの偉大なドイツ人思想家に影響を受けたサルトルは、ノーベル賞に選出されながらも受賞を拒否しました。彼は自分の理念に則って生きる必要が断固としてある、という理由から受賞を拒否しました。また、サルトルはアフリカ人の自由のために闘いを挑んだ人でもありました。彼はこうした態度を持って、自由には真の献身が求められることを示しました。

哲学者、活動家、そして作家としての彼の作品以上に、彼が心理学に与えた影響を知ると魅了されます。ジャン=ポール・サルトルはこの分野で新しいトレンド、実存主義的人道主義の基礎を作りました自らの行動に対して人間として責任を持つという考えや、自己認識、そして「我思う故に我あり」という主張は心理学の新時代を開きました。

「幸福とはしたいことをすることではなく、自分のしていることをしたいと思うことだ。」

-ジャン=ポール・サルトル‐

ジャン=ポール・サルトル

若き日のサルトル

サルトルは、1905年6月21日にパリで生まれました。彼は、海軍隊員の息子でした。幼少期に父を亡くしたため、母と祖父に育てられました。母アン・マリー・シュヴァイツァーは自らの文学愛を息子に注ぎました。一方、祖父であるシャルル・シュヴァイツァーは、孫に哲学への興味を持たせました。

1929年、サルトルは哲学博士となりました。学生時にシモーネ・ド・ボーヴォワールに出会いました。彼女は次第に彼の生涯の伴侶となり、彼にとってかけがえのない知的な味方となりました。

全ては、第二次世界大戦開始と共に著しく変わりました。事実、サルトルはドイツ人に捕えられたりもしました。1941年に再び自由を得た後、この出来事が彼の作品に多大な影響を与えました。サルトルは解放後すぐに働き始め、アルベール・カミュと共同でレジスタンスの新聞である「コンバ」に取り組みました。

サルトルとシモーネ・ド・ボーヴォワール

社会活動に献身した男

1945年、ジャン=ポール・サルトルとシモーネ・ド・ボーヴォワールは、偉大な社会的プロジェクトであり、政治的かつ文学的刊行誌である「レ・タン・モデルヌ」を共に開始しました。彼らの社会的理想は、彼らの人生におけるこの重要な時期に既に強固なものになっていました。

サルトルは、ベトナム戦争の痛烈な批判者でした。事実、彼はアメリカによる罪と不当を全世界に見せることを自分の使命としました。後、1964年に、サルトルは哲学への貢献でノーベル賞に選出されます。ですが、上記にもありますが、彼はそれを受け取りませんでした。

サルトルによると、ノーベル賞を受賞することで、哲学者としての批判的な目を失ってしまうとのことでした。彼は全人生を多くの運動に捧げ、つつましく暮らしました。

1980年4月15日、サルトルは74歳で亡くなりました。何千人もの人が葬儀に訪れました。現在、彼の遺体はパリにあるモンパルナス墓地に安置されています。

「嘔吐」ジャン=ポール・サルトルの代表的文学作品

ジャン=ポール・サルトルの遺産や彼の実存主義的人道主義への貢献を理解するには、彼の作品である「嘔吐」に目を通さなければいけません。この本は、文学作品として異論のない品質を超えて、社会に新しい世界の理解の仕方を紹介するものとなりました。

「嘔吐」の影響

サルトルはこの本を26歳を少し過ぎた頃、ベルリンで暮らしていた時に執筆しました。それはヒトラーの権威即位と時を同じくしました。当時、彼はフッサールやハイデッガーしか読みませんでした。フッサールの現象学や彼の出来事の描写に強く魅了されました

サルトルの最も著名な作品が現象学の実践であったのはそのためです。著書の中で、彼は自身の高校教師としての体験を記述しています。この環境下で彼が唯一感じたことは闇、空しさ、そして無意味さでした

タバコを吸うサルトル

サルトルの分身、アントワーヌ・ロカンタン

「嘔吐」の主人公はサルトルの分身であるアントワーヌ・ロカンタンです。アントワーヌの中に、非常に具体的な目標を持って空想上の町に落ち着こうとインドシナにやって来た青年を見ることができます。彼は、18世紀の貴族についての伝記を書き終わらせたかったのです。この主人公が唯一することと言えば、書く事、ホテルのオーナーと会話すること、ジャズを聴くこと、そして、独学者と話すこと。

この主人公は非常に無感動な人です。この本を読むと、彼が自分の身の周りで起きていることを何も理解していないことに気付きます。

「私の考えは私である。だから、止められないのだ。考えるから私は存在するのだ・・・。そして、私は考えることを止められない。この瞬間も考えただけで恐ろしい。もし私が存在するならば、それは恐ろしいことだ。なぜなら、私は存在することを恐れているからだ。私の憧れる無というものから自らを引きずり降ろそうとしているのが私自身なのだ。」

―ジャン=ポール・サルトル、「嘔吐」―

この本を理解したければ、一つ念頭に置いておかなければいけないことがあります。サルトルがこの本に記述したことは、1936年から1938年の間に起こったことだということです。これは、ドイツでナチス主義が台頭していた時期です。また、フランス社会が奥深い倫理危機に面していた時期でもあります。サルトルはこうした危機を目撃し、「嘔吐」の中で巧みに内省してみせたのです

最後に

この本の中で、サルトルは私達に「何も意味を持たないという否定できない真実を受け入れたなら、人は暴君に対して反乱を起こし、独自の道を選ぶことができる」ということを理解して欲しかったのだと思います。

  • Cohen Sola, Annie (2005) Sartre. Madrid: Edhasa
  • Sartre, J. P. (2006). El existencialismo es un humanismo (Vol. 37). UNAM.
  • Sartre, Jean-Paul (2011) La náusea. Alianza