金縛りはどうして起きる?

2019年8月4日
目は覚めていて聞いたり、見たり感じたりすることはできるのに、動くことができません。これは睡眠麻痺の症状で、俗に言う金縛りです。

医学的に睡眠麻痺として知られている金縛りは、睡眠サイクルの初めに起こる鮮明な知覚体験です。入眠時幻覚は視覚的、触覚的、聴覚的現象に満ちた非常に鮮明な夢です。対照的に、催眠術の幻覚は、起きているときに現れる同様の体験です。

フレデリック W.H. マイヤーズによって造られたギリシャ語のHypnos(眠り)およびpomp(厳粛な移行)を意味するこの用語は、入眠時幻覚を意味し、1918年に初めて使用されました。これは、睡眠と覚醒の移行期間に起こった現象を説明するのにも役立ちました。

フランスの精神科医バイヤルジェは1846年に入眠時幻覚について発言しています。彼はこれを精神感覚幻覚と呼びました。さらに、アルフレッド・モーリーによれば、Hypnos(睡眠)およびagogos(誘発)という用語は、夢をつくりだす幻覚または幻想を意味しています。

これらの幻覚は人が起きていると信じるときに現れます。見る、聞く、感じることはできますが、動くことはできません。このように、入眠時幻覚は睡眠麻痺と密接に関係しています。

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入眠時幻覚の罹患率と病歴

一般の人が睡眠麻痺および入眠時幻覚にかかる率は、ナルコレプシー(居眠り病)に罹患している人の25~30%であると言われています。(2) 1957年、著者のヨスとダリーはナルコレプシーの診断基準にこれらの幻覚を含めました。ナルコレプシーは日中に突然、耐え難い眠気に襲われて眠り込んでしまう特徴があります。また、多くの人が、入眠前や入眠と同時に鮮明な幻覚を経験しています。(3.4)

さらに、カート(5)やハシシュ(6)などの麻薬性物質は、睡眠麻痺および入眠時幻覚を誘発します。

 

睡眠麻痺および入眠時幻覚

睡眠麻痺である金縛りは意識がはっきりしていながら、体を動かしたり話したりできない一過性現象です。入眠時幻覚は基本的に睡眠 – 覚醒移行の間に起こります。

以前は、睡眠麻痺と入眠時幻覚は悪夢の象徴として知られていました。人々はこれらの症状を超自然的存在によって引き起こされると信じていました。睡眠麻痺や幻覚は悪魔による訪問だと考える人もいました。

1834年、マクニッシュは初めて悪夢を定義しました。

「頻繁に引き起こされる悪夢は想像しがたく、また適切な言葉でそれらを説明することができません。肉体的または道徳的に恐ろしく、非常に不快で、ぞっとするようなこと全てが、現れます。蛇に襲われ、悪魔に拷問されて鈍い声と幻影の冷たい感触に愕然としショックを受けます。悪魔が隣にいるような感覚に陥るかもしれません。とてもぞっとするような光景を避けるために、目を閉じますが、それでもその恐ろしい存在は消える事はありません。氷のような息が顔を覆い、悪魔は存在を大きくし、悪魔と向かい合っている錯覚に陥ります。恐る恐る見上げると、恐ろしい目の悪魔がますます恐ろしい顔でニヤリと笑っているのが見えるでしょう。」

このレポートや他の同様のものを読むと、「悪夢」という用語が過去150年間で変わったことが明らかになります。今日では、恐怖を生み出し何回も目覚めることになる、とても鮮明で不快な夢のことを指しています。

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金縛り:怖い体験

インキュバス:夜行性の悪魔

アーネスト・ジョーンズは、彼の著書 『The the Nightmare』の中で、「ナイトメア(悪夢)」という言葉は元々は「インキュバス」(男性の悪魔)を意味すると説明しています。地元の民間伝承によると、夜行性の悪魔は夢の中で恐ろしい経験をする際に登場しました。

インキュバスは、眠っている女性を襲った男性型の悪魔です。マーリンの伝説で述べられているように、悪魔の意図は女性たちを強姦することでした。 (8)眠っている男性を襲う女性型の悪魔は、サキュバスと呼ばれました。

人々は、インキュバスが夜間に家に忍び込み、胸を固定し、動けなくすると信じていました。ジョーンズはこの信念はほぼ世界共通だと述べています。このように幻覚は、夜行性の悪魔によって引き起こされていると考えられていたのです。

今回ご紹介した睡眠麻痺や入眠時幻覚は現在ナルコレプシーの症状として研究されています。しかし、それらは健康な人にも時に起こり、多くの人が金縛りを経験しています。 (9)

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