認識バイアス:考えないとき、人は過ちを犯す

2019年6月14日
認識バイアスとは、思考を歪める心理的作用です。ヒューリスティックのように、これらのバイアスには認識に使うためのリソースを守るための役割があります。しかし、このバイアスによって、人は時に深刻な間違いを犯すことがあります。

人は毎日、多くのことを決断しています。そしてそれらの多くは深く考えることなく光の速さで決められており。その他の選択肢のそれぞれの結果を熟考することは珍しいです。つまり、人は選ぶことができる解決策の中から盲目的に選択しているのです。

時に重要な決断をする時などでは、最適な選択肢をとるためにすべての情報を見極めます。しかし、私たちが行う意志決定や私たちが選ぶ解決方法に影響する、あることが存在します。それが、認識バイアスです。このようなバイアス(偏見)は非現実的かつ不適切な決断を招くことがあるため、危険なものです。

しかし、認識バイアスやヒューリスティクスバイアスそのもの自体は悪いことではありません。実際、それらのバイアスは精神的ショートカットの一種だと言うことができます。なぜなら、このショートカットにより、精神的なエネルギー(認知的資源)の消費を抑えることができるからです。

例えば、あなたがバーに行ったとき、どの飲み物を頼むか30分間考えこんでいたとします。この時、あなたはそれぞれの飲み物の価値を別々に考え、最善策をとるために時間をとっているのです。

そして、あなたはそこにすべての精神的エネルギーを使い果たし、疲れてしまいます。他のことに費やすことのできた時間を無駄にしてしまったのです。ヒューリスティクスバイアスや認識バイアスには、思考プロセスの速度を上げ、他のより大事なタスクに割くためのリソースを守ってくれるのです。

認識バイアス:考えないとき、人は過ちを犯す

2つの思考方法

ダニエル・カーネマンによると、思考方法には2つの方法があるといいます。彼はそれぞれの思考方法を「速い思考」と「遅い思考」と呼んでいます。思考の最初のシステムである「早い思考」においては、人は自動的に思考しており、これらは無意識下で実行されています。この種の思考プロセスでは、感情が大切な役割を担っています。その結果として、ステレオタイプだらけの考えを導いてしまうのです。

遅い思考のシステムには人の直感を生じさせる機能があります。それが役に立つこともあれば、それに裏切られる時もあります。この熟考的な思考システムが働くこと場面は少なく、またそれには多くの労力を要します。

人はこのような思考を意識上で論理的かつ計画的な方法で行っています。つまり、早い思考とは真逆ということです。この思考の主な機能は最終的な決断を下すことです。早い思考が生み出す直観を観察、コントロールするための役割を担っていると言ってよいでしょう。

1つ目の思考のほうがより支配的であり、2つ目の思考はより非活動的な傾向にあります。通常、人は早い思考用いて段階を踏んでいきます。しかし、想像できるように、そのような傾向には反動があります。

すぐに結果を求めてしまい、第一印象の重要性を過大評価してしまうのです。さらに、偶発的な関係性やすでに知っている場所への信頼感を混同させてしまいます。速い思考に囚われている限り、自分自身の周りにある他の情報を考慮できない傾向があります。

ヒューリスティクス思考

ヒューリスティクスとは、精神プロセスのショートカットだと定義することができます。仮に、人の認識(精神的)容量が限られているならば、そのためのリソースを分割する必要があります。通常、人はそのようなリソースを多大な精神的労力がかかるもの(心配事、活動、人々について)に割り当てます。

注意を向けずに思考することは簡単です。しかし、道が険しく、下に落ちてしまうのかもしれないと思うのあれば、より多くの認識リソースを用います。自分の行く末に見つめ、注意を払うようになるのです。

一般的なヒューリスティクス

  • 利用可能性ヒューリスティクス:人は何かが起こる可能性を推測するときにこれを用いります。そのために、自分自身がすでに知っている情報にその推測を委ねます。例えば、テレビ内には数多くの暴力シーンがあるとします。このようなテレビを多く見る人は、見ない人と比べて暴力事件の犯罪は多いと思うようになるのです。
  • シミュレーションヒューリスティクス:これは、人々が想像のしやすいさに基づいて何かが起こる可能性を推測する傾向のことです。人は想像しやすいもののほうが、その実現性を信じやすくなります。テロがあったときなどには、イスラム教の戦士が関与していると信じることのほうが他のグループが関与していると考えるよりも簡単です。なぜなら、他のグループのテロ行為の頻度はより少なく、彼らの手法が通常異なっているからです。
  • アンカリングヒューリスティクス:疑念を払うときに人はこれを用います。そこにはアンカーとなる基準点があり、自分自身の結論を導きだすことを調整します。例えば、自分のチームが1年前の大会で優勝したとします。そうすると、過去に1度しか優勝したことがないにも関わらず、自分のチームが再度優勝するとより信じることができるようになるのです。
  • 代表性ヒューリスティクス:これは人や行動、イベントなどの刺激を伴う可能性のある一定のカテゴリーに属しています。例えば、学校で理科がとても得意な人を知っており、数年後、その人が白衣を着ている姿を見たとします。そうすると、その人が肉屋ではなく科学者であると推論すると思います。しかし実際、本当にその推論が正しいのか知る術はないのです。
識バイアス:考えないとき、人は過ちを犯す

認識バイアス

認識バイアスとは、思考を歪める心理的作用です。ヒューリスティックのように、これらのバイアスには認識に使うためのリソースを守るための役割があります。しかし、このバイアスによって、人は時に深刻な間違いを犯すことがあります。一方で、認識バイアスはより効率的かつ迅速な判断をするための手助けとなる場合もあります。

認識バイアスの一般的な事例

  • 確証バイアス:これはすでに自分の信じていることを確定させる方法でのみ情報を収集、解釈する傾向のことを言います。例えば、株に投資するとき、投資に関する自分の意見を支持する記事やブログのみに目を通すことなどがこれにあたります。ここでは、自分の意見にそぐわない意見は無視される傾向にあります。同様に、車を買うときには、その車の良い側面だけを引き立たせる意見しか探さないようになります。つまり、自分の決断の妥当性をはかる方法をとるということです。
  • 偽の合意バイアス:このバイアスは自分の意見や信念、価値観、習慣が現実よりも一般的だと信じてしまう傾向のことを言います。自分が死刑に反対しているのあれば、自分の国のほとんどの人々が同じように考えていると信じてしまうことなどがこのバイアスにあたります。
  • 根本的な帰属の誤り(FAE):対応バイアスとも呼ばれています。これは、他者の行動に対して個人的な見解を重視しすぎてしまう傾向のことです。例えば、自分と同じ状況下でクラスメートがテストを落第した時、彼がついていなったと考えるよりも、彼の怠惰さにその原因を求めてしまいます。
  • 後知恵バイアス:これは、過去の出来事を予測可能なものと見なす傾向のことです。例えば、友人が職場で解雇されたと知った時、それを予測できていなかったのにも関わらず、業績の低迷により解雇されることがわかっていということなどがこのバイアスに該当します。

認識バイアスやヒューリスティクスバイアスについて理解することで、より効率的に決断を下せることができるようになるはずです。確かにこれのバイアスを避けることは難しい(不可能なこともあります)ですが、その仕組みを知り、自覚的になることで、思考のバイアスを減らすことができます。

選択肢を見極め、自分の信念と矛盾する情報を探すことも、それらのバイアスを減らすための方法です。そして認知バイアスを避けることによって、より創造的な思考が可能になるのです。