家庭内暴力の見えざる傷

2019年3月17日

暴力について語る時、人々は過去に起きた惨殺な事件の数暴力事件による死者数をその引き合いに出します。

しかし、実際の暴力の数というのはそのような表立った事件数よりも多く、より多くの人が苦しめられています。さらに、統計で示されているのは、全暴力被害者の一部のみであり、誤判決などは含まれていません。

暴力を振るう加害者について語る機会というのはあまりなく、それが見えないところで行われている暴力であれば尚更です。また、暴力によって傷つくのは体だけではありません。しっかりとした治療を受けないと、重大な精神疾患も併発してしまうのです。だからこそ、これらのことを声を大にして伝える必要があるのです。

私は今だに、明確な意思と計画を持ってして継続的に暴力を振るうことができる人間がいるということ、そして弱者を暴力のターゲットとしているという事実が信じられません。

-マリア・ホセ・ロドリゲス・デ・アルメンタ-

暴力被害によって生じる心的外傷後ストレス障害(PTSD)

PTSDについて語る時、人々は災害や残虐な事件、軍人をその例として挙げ、暴力との関係性についてはあまり触れません。

PTSDの症状には、トラウマのフラッシュバックや不安感、記憶障害などがあり、これらは性暴力によって引き起こされるケースも非常に多いのです。

また、性暴力によるPTSDには明確な特徴があります。被害者はトラウマとなった体験を追体験するのです。そして被害者の身内が加害者になることが多いため、暴力を受けた人は焦燥感や不信感を断続的に感じることになります。

被害のトラウマが徐々に精神の健康を蝕んでいき、通常、助けを求めるようになるまでも数年かかります。実際、暴力を避けるために加害者と共にいるケースが多く、それが被害者から問題解決のための活力を奪っています(無力感や自暴自棄など)。

助け

被虐待症候群

暴力から抜け出すことができないという絶望感や無力感から、被虐待症候群を発症することがあります。これにより、被害者は現状に甘んじることで、苦痛を最小限にしようとしてしまいます。さらに、現実を湾曲させ、問題における深刻さを否定するようになってしまうのです。

その他にも、被虐待症候群患者は他人や自分自身に対して以前とは異なった認識をするようになったり、自分の中で嘘や加害者を理想化することもあります。さらには、加害者からの暴力は愛情表現であると思い込もうとします。このように、被害者は加害者の暴力行動を自分のせいにして、自分の待遇を甘んじて受け入れてしまうのです。

暴力とうつ病

通常、暴力を受けている被害者は自分自身の自尊心を満たせていません。また、そのような人々は社会から孤立していることが多く、社会的支援を受けられず前向きな気持ちになることができません。これらの状況がさらに被害者を追い込み、うつ病を併発させてしまいます。

一度うつ病になってしまうと決断力や集中力が鈍り、仕事上のパフォーマンスの低下や不安感の増長なども引き起こします。つまり、被害者たちは暴力行為から抜け出すことのできない悪循環に陥ってしまうと言うことです。

最悪の場合、うつ病は自殺につながります。いくつかの調査により、自殺未遂によって緊急治療室に運び込まれた女性の29%は暴力の被害にあっていたとことが分かっており、そのような女性の自殺率は通常よりも5倍高いといいます。

「他者への支配欲​や権力に対する不合理な欲求が、夫婦間における家庭内暴力を助長する主な原動力となる」

-ルイ・ロハス・マルコス-

不安

暴力によって生じる不安感

想像できるように、暴力の被害者には不安障害を抱えている人が多くいます。このような状況下に置かれている人はPTSDのみならず、広場恐怖症や不安障害、強迫障害などの様々な恐怖症や障害に悩まされる確率が高くなります。

強迫障害(OCD)とは、予測不能な状況によって引き起こされる不安感をコントロールしようとすることで生じる障害です。そのため、被害者たちは不安感を減らすために強迫行動を取るようになってしまうのです。

「残虐的な行為に直面した時、私たちは被害者の味方につかなくてはいけない。沈黙はその行為を助長させるだけなのだ」

-エリ・ヴィーゼル-

加害者たちは自らの力を行使して被害者を身体的にも精神的にもずたずたに傷つけようとします。そして、被害者は精神的に大きな傷を負います。だからこそ、このような暴力行為に注意を払い、救いの手を差し伸べることが大切なのです